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Story 01.小さな女の子。
私達が出会ったのはうんと昔。
まだまだゆるーい時代。
最初に出会った日。
当時バンギャだった私は、とあるバンドのライブ会場に向かっていた。
大きなターミナル駅。
賑やかな所は好きだけど、ラッシュの時間に重なって目眩がしそうなくらいな人混みにイライラしながら旦那の仕事上がりに合わせて車で行けば良かったと若干後悔していると 女の子が半分泣きながら壁際で座り込んでいるのを見つけた。
「一人?ママは?」
迷子かもしれない。氣になって声を掛けてみる。
「ここに行くのはどこの出口に行けば良いですか?」とその子は手にしっかりと握りしめていたチケットを差し出す。
お目当てのバンド、確かに若い子も来ていたけど、もう一段と若い中学生くらい。
下手したら小学生かもしれない。
ショートボブの黒髪と白い肌で、声がとっても印象的で不思議な雰囲氣の女の子を見て市松人形みたいな子だなぁが第一印象。
髪の毛を伸ばしたら一段とお人形さんというか浮世離れして絵になりそう。
こんな子がライブに行くの?
チケットを見せて貰って確認すると同じライブに行きたいみたい。
「さすがに小学生が1人ってことはないよねー」と思いながら、聞いてみたら1人だと言うので同じ会場へ向かうし…ってことで一緒に行くことにした。
名前を聞くと「キリエちゃん」
あら、私《キリコ》と一字違い。
急に親近感。
「きーちゃんって呼んでいい?」と聞くと、笑顔で頷くのがとっても可愛い。
道中、10分くらいかなー。
その間とってもきーちゃんに興味を持ったので根掘り葉掘り質問責めした私。
その質問にきちんと敬語で一生懸命返してくれるきーちゃん。
超かわいい。笑
妹、欲しかったのよねー。
質問責めのうちに判明したのは、小学校を卒業したばっかりで今度中学生。
卒業記念に初のライブ参戦。
V系が好き。
同じ沿線に住んでる。
なんか、家庭複雑そう。
でも、素直なんだろうなー。って印象。
初めてのライブ参戦で緊張してたみたいだけど。
会場に着いて、旦那たちは到着してなかったので一緒に入ってツアーグッズ買うことにした。
人混みの中で何が売ってるのかを見ようと必死に背伸びして確認するのもかわいい。
結局、きーちゃんはツアーパンフを買って嬉しそうに抱き抱えてる。
さすがに席は離れてたから開演直前まで一緒に居て、終わったら待ち合わせて一緒に晩御飯食べて帰る約束をして各自の席へ向かった。
きーちゃん、初参戦で4列目とかラッキーガール過ぎる。2階席の私はちょっと羨ましい。
2階席からきーちゃんが言ってた席辺りをのぞいて見ると座席にちょこんと座って、さっき買ったツアーパンフを見ている姿を発見。上から見える所に座ってるとか運命的だよね。
開演ギリギリに来た旦那たちにきーちゃんのことを話したら、信じてもらえなかった。
「そんな子供が1人でライブ来るわけなかろう」
「しかもご飯食べて帰ったらめっちゃ遅くなるのに普通親に怒られるだろ」
「更に、今日会って道を聞いただけの人間にホイホイ着いていかんやろ」って。自分の奥さん(当時は彼女だけど)を不審者扱いするなんてヒドイ。
だから、「あそこに座ってる子だってば!」と指さすとようやく信用してくれる旦那と後輩兄弟。
まあね、最後の言葉にはちょっと納得したから「もし居なくても仕方ないかー。このバンドのライブに来たらまた会えるかな」位に思いつつ、ライブを楽しんだワタシ。
ライブが終わって、待ち合わせしてた場所に行くと…
きーちゃん、みっけ♪
階段を降りた少し先。
まだ寒いのに薄着なのが氣になったけど、小学生(中学生?)は厚着しないのかな。
見つけた時、不安げな表情をしていたきーちゃんは私を見つけるとニコニコしながら小さく手を振ってくれて可愛い。
なんか、嬉しかったよね。
仕事のツナギのまま参戦した旦那と、外国のお母さんの血が濃い黙ってたら外国の人なアキちゃん(後輩兄)、3人の中で一番ライブ会場に居て違和感ないけど長髪黒づくめ真ちゃん(後輩弟)
旦那含め男子チーム180センチオーバー。私もヒール含め175オーバー。
その中に立つ一際ちっこいきーちゃん。
150センチ無いのかな?
ホントかわいいけど、やっぱりデカいのに囲まれて怖いのかちょっと顔が引きつっていて、ちょっとかわいそうになってきた。
「キリコ…あのさ」
真ちゃん(後輩兄弟の弟)がご飯食べに行く場所まできーちゃんと2人でタクシーで来いと言う。
「車で来てるんやし、車でいいじゃん」と返すと、いきなり知らない人間の車に乗って行けと言われたら怖がるんじゃないかと。
あら、優しい。
そう言われたらそうだよね。
よく氣が付くね。そら、この人モテるわ。
タクシー代は後で出してくれると聞いて手のひらを返す私。(いただけるものは有難く頂戴するタイプ)
タクシーで30分弱。
その間にも色々と話をしてみる。
と言っても、人生初のライブの感想やきーちゃんのあれこれを私が質問責めにするんだけど、きーちゃんはやっぱり一生懸命に答えてくれる。
ホントかわいい。
こんな妹が欲しかった。妹にしてしまいたい。
旦那たちと合流。
「小さい子って慣れてへんねん」と人見知り氣味だった旦那もお料理が運ばれてくると「これ食べな」とか「食べないと大きくならんで」と旦那なりに氣を使っているのか、きーちゃんの世話を焼こうとしているのが面白い。
アキちゃん(後輩兄)も女子中学生が珍しいみたいでアレコレ質問責めをしている。
きーちゃんはそれに一生懸命答えていてホント可愛い。
真ちゃんはきーちゃんを事あるごとにめっちゃ見つめてるのに氣が付いた。
えー?この人そういう趣味(幼女趣味)だったの?
歴代の彼女、年上ばっかじゃなかったっけ?
てっきり年上が好みだと思ってた。
きーちゃん、小学校卒業したところだよ?
極端ね。
アキちゃんは結構遊んでるからまだ分かるけど…
なんて若干引きつつそんな真ちゃんの様子を伺う。
「きーちゃんやんな?」
意を決したかのように真ちゃんが言った。
私、きーちゃんだって紹介したやん。何を言ってるんだと思ったら、小学校の名前を言う真ちゃん。
え?なに?
私だけで無くみんなハテナマーク飛んでたと思う。
当のきーちゃんもポカーンとしてる。
「覚えてへんかなー?公園で宿題したりさ、神社で遊んだん」と真ちゃん。
どういうこと?
話を聞いてみると、小学校に入ったばかりのきーちゃんと当時(ヤンチャしてた)中学生の真ちゃん。
その時に、真ちゃんが公園できーちゃんに宿題を教えたりして遊んだことがあったそう。
ヤンチャしてたくせに小学生のちびっ子と遊ぶとか…びっくりするわ。
きーちゃんは初めぽかーんとして事態が飲み込めてないようだったけど、何か思い出したらしく「しんちゃん!!」と答えた。
きーちゃんの言葉に真ちゃんは「あたり!大きくなったな。生きとってんなぁ。良かった」と言ってなんだか嬉しそう。
生きとったって何?
ちなみに、真ちゃんは、後にきーちゃんの師匠+保護者+父親+親友+相棒となる。
さすがにこの時は想像はできなかったけど。
これには、世間の狭さに驚いた。
イカついヤツが実は知ってる人だったと分かって安心したのかきーちゃんは少し表情が柔らかくなった。
けど、きーちゃんは人見知りしているみたいで旦那やアキちゃんにはまだ警戒しているのか2人が声をかけると少しずつ私の方に寄ってくるのがかわいい。
私にはもう警戒解けてるってことかなー。
可愛すぎて何度抱きついたか。
本当に妹にしてしまいたい。
その日はね、それで終わり。
最寄駅からまたバスに乗って帰るというから家の近所まで送って行った。
話をもっとしたいなーって感じがものすごい湧いてきたから、当時のバンギャの必須アイテム「ライブネーム入りの名刺」(今の若い子はわかんないかなー。今はそんなシステムないよね笑)と、私たちのバンドのチラシと次のライブのチケットをきーちゃんに渡して別れた。
車を降りる時何度も「ありがとうございました」と言って、見えなくなるまで見送ってくれる姿にまたメロメロになる。
この子、とてつもなく可愛い。
名刺には電話番号もいれてたし、電話かけてくれるかな?とかライブ来てくれるかな?とかなんか数日ソワソワしたりして。
久々に恋心に近い感情だったかもしれない。