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Story 58.二人のきーちゃん。
きーちゃん達が起きるまでの間に、昨日思いついた計画を話した。 旦那も真ちゃんもボー然としている。 いきなり過ぎるから当たり前だとは思うけど、何か反応して欲しい。 「大阪で産みたいっていうのは分かったけど…ちょっと待って混乱しとる」
旦那は少し考えた後、「どうしても大阪やないとあかんのか?」と言った。 自分の氣持ちだけを取ればYESだ。 「ねーちゃんの事で負担かけたのも分かってるけど、もし大阪で今日みたいに体調崩したらどうすんねん」 それを言われると何も返せない。 きーちゃんは、もし私の言っていることが通ったら大阪にいる間一緒に居てくれると言っていた。 実際、きーちゃんはそうしてくれるだろう。 けど、それをアテにして旦那を説得できるとは思えない。 「しかもまだアキラにも聞いてへん。滞在のアテはアイツだけって言うのはどうかと思うねんけど。アキラが無理や言うたらどうすんねん。」 たしかに旦那の言う通りで、自分の希望だけで思いつきのように言い出した自分が浅はかなのは分かってる。 明らかに旦那はこの件について乗り氣では無かった。 「ホンマに大阪で産みたいんか?」 もう一度旦那が言った。 やっぱり答えはYESだった。 「多分、ほとんど一緒におれんで。」 「分かってる」 「全部1人でやれるんか?」 このわがままを通すならやるしかない。
しばらく沈黙。 その間にマハルときーちゃんが起きてしまった。 マハルは私の姿を見ると、起き上がって私の膝に座った。 マハルを撫でながら考える。 かなり無謀なことを言い出したのは分かってる。 しかも、感情だけで言っているのも自分で分かってる。 自分には両親がもう居ないし、大阪に行くならきーちゃんは手伝ってくれると言ってくれてるけど頼りきるわけにいかない。 旦那には、こうやって私がまだ揺れていることがバレていると思う。 だから、答えを出していない。
「ねーさんのお話してるの?」 まだ眠たそうな声できーちゃんが真ちゃんに聞いている。 「キリエは聞いてた?」 「美樹ちゃんたちが飲みに行った日聞いたー」 真ちゃんは着ていたパーカーを脱いできーちゃんにかける。 「だからね、もし美樹ちゃんが良いって言ったらね、ねーさんがこっちいる間はお手伝いにねーさんの所に居るねって。赤ちゃん産まれる頃テスト休みだからマハルくんみてられるよって」
「本当は、美樹ちゃんが居て、ねーさんが安心できる所がいいの分かってるけどね、私がマハルくんが産まれた時みたいにお手伝い出来たらなって思っちゃった。でもね、学校にも行きたいからねーさんが大阪来れたらいいのにーって思っちゃった。美樹ちゃん。わがまま言ってごめんなさい。だから、ねーさんを怒らないで」 きーちゃんには、旦那が怒っているように見えるのか。旦那だけでなくて、多分この空氣を見たのかもしれない。 わがまま言ってごめんなさい。と言う言葉は、決してその場を終わらせるためのごめんなさいでは無いように思うけれど、きーちゃんが何を言おうとしていたのかを汲み取れずにいた。 ただ、寝ぼけて言っているだけでは無い氣はする。 「私が思うと、ねーさんはキャッチしてくれるから。だから、私が帰った後に聞いてー。そしたら、ねーさんがホントに思ってること、言えるから」 そう言うと、きーちゃんはまた眠ってしまった。
「きーちゃんの言うてたのは分かったけど、半分わからん」と旦那。 「キリコは何をキャッチしたん?」と真ちゃんに聞く。 「多分、キリエがこうして欲しいって思ってることをキリコが感じ取って自分がこうしたい。って思ってしまう。ってことかな」 私、そんな力ないってば。 たまたまじゃないかしら。 私も向こうの方が良いって思ってるよ?「最近氣付いたんやけどな、キリエが居ると敏感な人間ほど意見が極端になりやすいねん。無意識のうちに。」 ちょっと意味が分かんない。 「例えばキリコの例やと、今回大阪で産みたい。これ、出来たらええなー。位にしか思ってなかった?」 うん、思ってたよ。 「けど、キリエに話したら、絶対大阪で産む。美樹が反対したら離婚してでも大阪で産んでやる。って行き着かへんかった?」 図星。 なんかテンションがうわーって上がってそう思ってた。 「その顔、図星やな。そんなに大阪で産みたいんやったら段取りせんとあかんやんか。出産場所が原因で離婚されたら困るわ」と旦那が笑う。 「これやねん。『離婚してでも大阪で産みたい』に普通そこまでの考えにならんやんか。よく言えば、意思を固めやすい。悪く言えば、極端な結論に振り切って意固地になりやすい」 確かに極端な結論に振り切って意固地になってるかも。 「こうしたい。ってのを増幅させる言うか。悪いこと違うかもしれんけど、視野を狭くさせてしまうってのかな。『それしかない』と錯覚させてしまうと言うか。綺麗に言えば、火を付ける。かな。」
自分の希望がしっかり固まっていれば、火を付けられてブースターになるからいいんだけど、 まだ自分の希望が固まらないうちに火をつけてしまうと見切り発車になってしまったり、これで良かったのかと後で悩みやすくなる。 と真ちゃんが話を続ける。 言っていることはなんとなく分かる。
「それときーちゃんと関係あるの?」 「キリエは火をつけてブーストさせてしまうねん。これはキリエの無意識のうちで」 「だから、美樹と離婚したって大阪で産む!って思ったってこと?」 「そう。キリコの希望は『大阪で産みたい』やろ。その希望が叶うなら方法は選ばないになっとるやん」 うん、なってるね。 「美樹が反対したとして、他に説得の方法はあるはずやのに『でないと離婚も辞さない』ってイキナリ飛び道具けしかけてるやろ」 「そう言われたらそうかも。なんなら離婚することを考えてたわ。」 「考えてたんかい!」 旦那の冷静なツッコミ。 けど、うん、考えた。笑
「キリエが帰ったらってのは時間が経って冷静になるのもあるけど、ブースターが無くなるからゴールするために手段は問わない。では無くなるから。手段は問わずゴールに向かう方がええ時もあるけど、これは違うからなぁ。」 「じゃあ、私が意固地になってるってこと?」 「単に『大阪で産みたい』だけでええやん。『許してくれなかったら離婚!』って脅さんでも」 「まあ、そうだよね。」 「そういうこと」 なんか、分かったのか分からなかったのか。微妙だなぁ。 「ブースターになってしまうってきーちゃんは自分で氣が付いてんの?」 素朴な疑問。氣付いてるから今こう言ったんだろうけど。 「多分、氣ぃついてへん」 あら?じゃあ、今のは? 「半分寝てるから」 何それ!意味分からないってば。
「半分寝てるから繋がりやすいっていうか。自我が邪魔せんから特にキリエの場合さっきみたいな状態だと自分で氣付いてないことでも言うことがある」 便利なんだか、不便なんだか。 「まあ、これは夫婦の問題やでうちらが口を挟めないし、もし大阪で産むって決めたら教えて。場所決めて滞在中どうするか考えるから」 「真ちゃんは大阪で産んでいいの?」 「だから、それはうちが口挟む話じゃないって。でもキリコはキリエのねーちゃんなんやろ。そしたら協力せんわけにいかんやん。新生児と2歳児抱えた産婦の受け入れ拒否したらこっちがキリエに離婚されるわwww」 真ちゃんは笑ってるけど、ちょっと感動したわ。 まあ、あなた達は結婚してないから離婚じゃないでしょ。 似たようなもんだし、スルーしとこ。
「それやったら尚更今答え出した方がええやんか」と旦那は頭を抱える。 「ホンマ大阪で産みたいんか?」 だから、一番の希望はそうだって。 「仕事があるから産まれる時立ち会えるかわからんし、産まれた後に大阪行って、すぐ帰るってなるで?」 そこは、もう覚悟してる。 「予定より早くなって学校行ってる間やったらどないすんねん。産氣付きながら一時保育連れてくんか?」 そこまで考えてなかった。 「病院も受け入れてくれる所探さないとあかんやん」 それは、ちゃんと探します。 「産まれてから、こっち帰ってくるまでの間アキラがあかんかったらどうすんねん」 それは、早めに確認してダメならウィークリーマンションとか探すじゃだめかしら。 向こうは都会だからたくさんあるわよ。「アレがあかんかった時、最悪うちでええならええで。狭いけど」 と真ちゃんが助けを出してくれる。 「キリエが学校行ってる間やったらってのも、大体の目処つき出したらマハル1人にせんようには出来るから、そこもまず外してええで。てか、ちょっと待って、キリエ起こすわ。キリコがホンマこっちで産みたいってのと、美樹はそれでええのかっての考えとってや。そこから考えた方が早いと思うけど?」 と、真ちゃん。
きーちゃんを起こすけど、なかなか起きない。 ねんねスイッチ入ってるね。スイッチ入ってるとなかなか起きないもんね。 てか、起こしてめちゃくちゃ機嫌悪くならない?大丈夫なの?
心配無いなら大阪で産みたい。ってのは変わらない。 そこにきーちゃん達に手間をかけさせちゃうとか、旦那はその間どうしようとかがくっついてくるからややこしいんだけど。 こっちで産むにしても、いつ生まれても大丈夫だと言われた所で旦那がフルで休んで付きっきりって無理だし。 ひとりの時に産氣付いたらって、こっちでも変わらないよね。
そんな事を考えているときーちゃんがようやく起きる。 まだ眠いーと言いながら真ちゃんにくっついて甘えてるのを見て、寝起きのマハルそっくりだなーと思う。 そうか。さっき寝てると繋がりやすいって言ってたのがわかった。 寝てるとき繋がるってのは、本当の自分に繋がるってことか。 きーちゃんの場合は、小さいきーちゃん。 きーちゃんの場合、特に普段のきーちゃんと小さいきーちゃんとの差がはっきりしてるから、半分寝てる時に出てくるのが自我が邪魔しない本当の姿だし、そのブースターになってしまうっていう持ってる能力もそのまま発揮されるのか。
なるほど、なるほど。 ってことは、今の寝起きのきーちゃんの状態のがきーちゃんの不思議な感覚が鋭くなってるのか。 本当の自分で自我が邪魔されないってトランスとか言われる状態に近いってこと?
確かに寝起きのきーちゃんは、起きてしばらくの間は雰囲氣違うしものすごく寝起きが悪い。後、眠たいスイッチが入りそうな時もそう。これは、普段のきーちゃんから小さいきーちゃんに移ってるからなのか。 きーちゃんの持ってる力感覚は小さいきーちゃんの力ってこと? そういえば、小さい子って見えないものが見えるって言われるよね。 真ちゃんも前に、こういう力がある子は成長して力が弱くなるか逆に鋭くなるかするって言ってたな。 じゃあ、きーちゃんの中の小さいきーちゃんが満たされて成長すればきーちゃんの感覚は普通の人と変わらなくなるんだろうか。 もしくは、もっと鋭くなる。 最近また見えないお友達とも会えることもあるって言ってたよね。だから普段のきーちゃんも感覚は鋭くなってるってこと?
あ、今スッキリしたはずなのに、よく分からなくなってきたぞ。 でも何か、今の話題と関係ないけど疑問だったのが、ぼんやりとだけど解けた。氣がする。
「もう帰るん?あ、美樹ちゃんおかえりー」 ようやく目が覚めてきたきーちゃんは旦那に手を振る。 「ただいま。ありがとな」と言いつつ、きーちゃんは相変わらず真ちゃんの膝の上で甘えてるもんだから、旦那は複雑な表情をしてちょっと面白い。 「キリコがな、大阪で産みたい言うとって…」と真ちゃんが改めてきーちゃんに今の状況を説明してくれる。 「段取り考えてたりする?」 旦那の怖い視線に氣が付いたのか、真ちゃんちょっと居心地悪そう。笑 「段取り?」 きーちゃんは、敏感にその場の空氣を読めるけど旦那の視線は感じないらしい。 「そう。この時はこうしておこうみたいなやつ」 「例えば?」 きーちゃん、そろそろ真ちゃんから離れてあげて。旦那が雑念だらけになるから。 「きーちゃんがテスト休みじゃなくて学校行ってる間に生まれそうになった時とか」と旦那。 「マハルくん1人でお留守番になるから?」 「そう」 そのままの体勢でしばらく考えるきーちゃん。 「大体、そろそろ生まれそうだなーって分かるやん?そしたら私が学校の時は毎日一時保育は?朝、私が連れて行って帰り迎えに行けるよ」 ねー。って真ちゃんの顔を見るきーちゃん。 その仕草可愛いけど、旦那の顔が…眉間のシワが戻らなくなっちゃう笑 「ねーさん、大阪に来ていいのー?」と旦那に聞くきーちゃん。 「いや、大阪で産むってなったら、色々解決しとかなあかんことあるやんか」 「でも、大阪じゃダメってなったら考えたの全部いらんくなるで?」
うん、今、その無限ループ中。
「美樹ちゃんは嫌?」 いきなり核心つくな、きーちゃん。 「嫌っていうか、全く思ってなかったからちょっと混乱中」 そうなん?と真ちゃんに聞いて「そうやで」と返事する真ちゃん。 「何で混乱するんー?」 いきなり考えてなかったこと言われたら混乱すると思うよ。 「おまけをいっぱいくっつけるから混乱してるの?」 おまけ? 「おまけ置いといて、どうしたいー?ってのハッキリしないと決められへんやんー」 何かいい事言ってるっぽいけど、分かりづらいよ。 「まず美樹がキリコにこっちで産んでほしいと思ってるか、うちでもええかって思ってるってこと?」と真ちゃんが確認してくれる。
「うん。後はおまけでしょー?そこふわっとしたままだと、おまけがごちゃごちゃーってこんがらがると思うー」 おまけって何ー?と思ったら、真ちゃんがそのまま聞いてくれた。 「ねーさんが1人の時に生まれそうになったらマハルくんどうする?とかー、兄ちゃんちあかんかった場合どこに住むの?とかー。おまけでしょ?まず、一番ってねーさんがどこで赤ちゃん産みたいかと美樹ちゃんはどう思ってるかじゃない?」 と言ってうふふと笑ってる。 そう言われてみると、おまけだね。
「美樹ちゃんは大阪行ってもいいって思ってる?それとも嫌ー?」 「おまけ無しで?」 「うん。一番思ってることー」 しばし考える旦那。 その間、きーちゃんは真ちゃんの膝の上に座ったまま真ちゃんの髪や顔に触れたり小さい子みたいに遊んでる。 まだ小さいきーちゃんなのかしら? にしても、真ちゃんは慣れた様子でそんなきーちゃんの相手をしていてお父さんみたい。
「出来ればいつでも居れる所におって欲しい。けど、キリコがしたいようにして欲しいのもある」 あら、ちょっと嬉しいじゃん。 「ねーさんはー?」 いきなり振られて焦る。 「私もそりゃ美樹が居てくれた方がいいけど、出来ればここでは嫌かな。ごめん、正直、義姉さん達が産まれてすぐに来たりすると持たないと思う。それなら、きーちゃんに近くにいて欲しい」 義姉達に対して、旦那に対してものすごく失礼なのは分かってるんだけどね。つい。
「ほらー、大阪で産みたいってのおまけだったー」と言ってきーちゃんが笑う。 「ねーさんは、おばちゃんとか姪ちゃんが来るのしんどいから来れない大阪がいいなーってなってるんだと思うー。赤ちゃん産まれてマハルくんも居るし、美樹ちゃんお仕事だから1人の時にプラスして氣を使うのしんどいって。絶対来ないって分かってたらそんなに大阪来る!って言わないんちゃうー?」 きーちゃん、わりかし攻めるね。 何かそう思ってるだけ、痛いわ。 旦那がそうなん?とか聞いてくるから余計に痛いわ。まあ、それが大きいって答えたけど。 そうしたら、旦那は「ごめん」ってまた頭抱えてるから、それを見るのも辛い。
「おばちゃん達絶対来ないって決まってるとしたら、ねーさんはそれでも大阪で赤ちゃん産みたいー?」 そう来るか。 「うーん。あ、でもやっぱりきーちゃんがいて欲しいな。頼る氣満々だけど。」 「頼る氣満々だけど。はいらないー」とまた笑うきーちゃん。 「私がこっちに来るよーって言ったらここにするー?」 「え?こっちに行くん?ワタシどうするん?」 これには真ちゃんが驚いてる。 「例えばー」と言って笑うきーちゃん。 「きーちゃん居てくれるならこっちでもいい。けど、由佳たち来るかもしんないよ?」 「『けど』は今は無しー」 すみません。 「私が居たら、こっちでもいいって。ねーさん頼りにしてくれてるの嬉しー」と言って真ちゃんの顔を見るきーちゃん。 やっぱり小さいきーちゃんモードっぽい。 「脱線、脱線ー」と言ってまた笑うきーちゃん。 「だからね、ねーさんのおまけ無しはー、赤ちゃんとマハルくん以外の心配が無いところで赤ちゃんが産みたいなー。でしょ」 うん、そうなるね。 「美樹ちゃんは、さっきいつでも美樹ちゃんが居られる所にいて欲しいって言ってたねー。あと、ねーさんのしたいようにして欲しいって。どっちもおまけじゃないと思うー」 どっちか片方だけにしなきゃいけないと思ってたら二つでもいいんだ。 「じゃあ、2人のを合わせてパーフェクトなのはどれー?」 パーフェクトなの? 旦那はこっちのが良いってことだよね。 で、私のしたいように…だから、義姉達の襲来もなくきーちゃんが居てくれる。 「こっちで産んで、義姉さん達が来なくて、きーちゃんがここに来てくれる。か、美樹も一緒に大阪来て、大阪で産む」 言ってて、わがままだなぁ。と思う。 姪のわがままが可愛く思えるわ。 旦那もそうなるわなー。と納得してくれてるけど。 「テスト休みだと来れるんだけどなー。でも真ちゃんが来れないかー。真ちゃん居ないとやだなぁ。難しいねー」と悩むきーちゃん。 良かったね、真ちゃん居ないと嫌なんだって。真ちゃん、嬉しそうだけど、旦那はやっぱり複雑な表情をしていて面白い。 「それにおばちゃん達絶対来ないでって言っても来る時は来そうだしー」と1人でブツブツ。 意外と義姉達の件について、ズバっと事実を言うね。
「美樹ちゃんお休みはどれ位取れるのー?」 「その頃は有給出来てるから、全部使って振替とか入れたら10日くらいちゃうか?」 「おばちゃん達に絶対来ないでって出来るー?」 「…出来ると言いたいけど、実際その時でないとわからんなぁ」と答えて何故か私に「ごめん」と謝る旦那。
「パーフェクトって難しいねー」 「パーフェクトだけで行こう思うから難しいんちゃうか?決めるのは美樹たちやで、選択肢を出すくらいでええねんで」と真ちゃん。 「そっかー。じゃあ、パーフェクト狙わなくていいのねー」 「ねーさん1人の時に産まれそうになったらマハルくんどうしよー。ってここでも同じちゃう?」 それは思った。 「産まれてからの住む場所。こっちだとこのおうち。大阪だとどうしよー。だっけ?」 と真ちゃんに確認するきーちゃん。 「そう。アキラに言うて大丈夫ならあの家か、それがあかんかった時、狭くてええならうちでもええよ。って言うた」 「そうだね。うちでも良いねー」と目からウロコが落ちた位納得してるきーちゃん。
「美樹ちゃんどうー?最悪うちで過ごすんやったら大阪でもいいやーってなる?」 「それやったら、別にうちはええけど、きーちゃんらに迷惑かけるやん」 「それおまけー。おまけいーらーんー」 このモードのきーちゃんって結構攻めるね。
「ループになるねー」ときーちゃん。 「さっきからループなってんすよ」と真ちゃん。 「えっとーオマケなんだっけ?」 「1人の時、マハルどうするか」 きーちゃんに上手にフォロー入れる真ちゃん。 意外とこういうの慣れてるのかしら。 「大阪の場合、さっきのじゃダメ?」と私たちに聞くきーちゃん。 ダメではなく、むしろその案使いたい。 「こっちの場合はー?」 こっちの場合のがこれは悩むね。 一時保育してくれる所ほとんどないからなー。 「なるべく付いてるつもりやけどなぁ。これに関しては大阪のが安心やな」と旦那。
「きーちゃん達のお家にお邪魔して大丈夫なの?」 真ちゃんときーちゃんは顔を見合わせる。 「あ、ちょい待って」と真ちゃんが立ち上がって部屋を出る。きーちゃんも何故か付いていく。 小さいモードだから?後追い的な感じかな? 「きーちゃん、あんな感じやったっけ?」部屋を出る2人の姿を見送ると旦那が言った。確かにちょっと雰囲氣は違うよね。幼いんだけど、すごくしっかりしてるというか。今のきーちゃんは初めて見るきーちゃんっぽい。
「うちや無くても実家でもええで。婆たちその辺り家空けるから」と手帳を見ながら真ちゃん達が戻ってきた。 「おばーちゃんちなら広いもんねー」 また同じ体勢で座るきーちゃん達。 今立ったのに、わざわざまた真ちゃんの膝の上でなくても良くない? 「他のおまけはー?」 「きーちゃん達に頼って大丈夫?なるべく自分でしようと思ってるけど、入院中とか絶対迷惑かけるけど」 「ねーさん達が心配じゃなかったらいいよー。真ちゃん居るから任せて!あ、真ちゃんはー?ごめんー忘れてた」 真ちゃんの顔を見上げる笑うきーちゃん。 「キリエのええようにしていいで」 「だってー」
「出来たねー」と笑うきーちゃん。 何が? 「こっちで産むか、大阪で産むか選びやすくなったよー」 そういや、そうだね。 「本当はね、学校が確実にお休みならこっち来るよーって言いたいけど…そうしたら、両方同じになるんだけどね」 こっちと大阪とメリットデメリットを揃えてくれようとしたのね。 「でも大阪の方のおまけ無くなったからいい?」と真ちゃんに確認している。 「ええよ、ごくろうさん」 真ちゃんの言葉を聞いて、少し笑うとそのまま目を閉じて寝てしまった。 「5分10分で起きると思うわ」と真ちゃん。
「今のってトランス的なやつ?」 ついでだから聞いてみる。 「そうって言えばそうかな?今日のは割とキリエの意識入ってたと思うけど」 最近、こんな感じで悩み事の相談の時、仕事を手伝うことがあるんだって。 今日の場合、きーちゃん自身の希望も入っちゃってるからお仕事の時と全く一緒ではないってことらしい。 こういうのは本当は中立でないとあかんねんけどな。と笑う。 きーちゃんの希望が入らない時はもっと完全に入ってしまうらしいけど。 だから、慣れた感じだったのね。 てことは、人の前であんな感じ?それ大丈夫なの?エラいひっついてましたけど? 「意外と何も言われへんで」 なんか、職権濫用してる氣がするんだけどー。
「あのさ、さっきのきーちゃんってもう1人のきーちゃん?」 「もう1人のきーちゃんってなんやねん。」 と旦那。 氣付いてだけど確認してなかった、普段のきーちゃんと小さいきーちゃんのことを聞いてみた。 「だいたい合ってるかな。鋭いな」と感心されてしまった。 やっぱり小さいきーちゃんで居る時の方が感覚は鋭いらしい。 さっきみたいに問題を整理していくのもそうだし、必要ならその時に必要な言葉を引っ張ってくることも出来るらしい。 「どこから必要な言葉を引っ張ってくるの?」 「自分らが感知できない領域」 あ、空中戦の予感。 「きーちゃんは自分達が分からない所にある言葉を持ってこれるってこと?」 「キリコが言う『小さいきーちゃん』やったらな」 「小さいきーちゃんが大きくなったら出来なくなるの?」 「どうやろな?そんなことないんちゃうか?」 そこは分かんないんだ。 「小さい頃からずっとやってることは成長しても出来るから出来るんちゃう?」 そんなものなんだ。 自転車に乗るみたいな感じ?「小さいきーちゃんが居ると問題あったりする?小さいきーちゃんがいるってことは多重人格みたいなやつ?」 「問題?それはキリコが良く知ってるやん」と笑う。 人の思いなんかを敏感にキャッチしたりして混乱したり、見えないモノが見えたりとか普段のきーちゃんを過ごしにくく感じてるやつか。 「多重人格とはちょっと違うかな。限りなく近いかもしれんからグレーかも」と笑う真ちゃん。
そんな話をしてると、きーちゃんが起きる。 「もう帰る?めっちゃ寝ちゃった」 「さっきのは覚えてないの?」 「さっき?ねーさんの話のこと?」 話をしていたことは覚えてるけど、内容は覚えていないらしい。 「そろそろ帰らなあかんな。行くか?」と真ちゃん。 「そうだね(´・ω・`)」 きーちゃんは明らかに残念そう。 「そんな顔してたらいつまでも帰られんやん」と真ちゃんが笑った。