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Story 12.入籍。
翌朝、きーちゃんの熱は下がっていて「昨日はごめんなさい」と思った通り謝った。「ごめんなさいって思うなら寝る時はちゃんとエアコン切って寝てよー」と笑って返した。「錯乱するほどの何かがあって倒れた」ことは知らず、「夏風邪で熱を出したと聞いてる」ことにした。きーちゃんは、あまり自分の感覚について話したり氣付いて欲しくなさそうだったから。まだ葛藤も動揺も残っていたけどこれが「きーちゃんが私たちがいらなくなるまで面倒みる」ことの、私にできる精一杯のプライドだった。
午前中に役所へ婚姻届を出して、その足で2人の実家へ向かう予定。貰ってきた婚姻届を目の前にすると、普段の延長というかちょっとしたオプション的に考えていたけどなんだか感慨深い。
保証人にはオーナーと真ちゃんにお願いしていて、昨日の出勤でオーナーには署名してもらった。そして真ちゃんも「間違えたらあかんと思うとなんか緊張すんなwww」と言いつつもサクッと署名してくれた。にしてもだ。真ちゃんの字、マジマジと見たことが無かったから氣付かなかったけど、お手本みたいに綺麗。ホント、なんでも卒なくこなしてムカつく子だわね。
役所にはきーちゃんと真ちゃんもついてきてくれて、届けを出した後、食事をして私たちはその足で実家へ帰ることにした。レストランでウェイティングボードに名前を書くとなった時、きーちゃんに「書いて♪」と言われる。習慣で元の名前を書きそうになったけど、直前に氣付いて新しい名前を書く。やだ、ちょっと照れる。
きーちゃんはそわそわしながら「ちょっとお手洗いー♪」と席に着くとすぐに席を立ってしまう。落ち着かないなぁ。
食事の後、サプライズとケーキが運ばれてきてびっくり。アキちゃんがこのお店もケーキも手配してくれてたんだって。そら、アキちゃんモテるわ。と妙に感心しつつ感激。店に着いたらお店の人に伝えるようにきーちゃんに言っていたから、席に案内されてすぐに席を立ったんですって。こうやってみんなでお祝いを考えてくれるのも嬉しいし、アキちゃんがこのミッションをきーちゃんにお願いしてくれてたのも嬉しい。感情が忙しい。
「いい?何かされそうになったらすぐに電話して。飛んで帰るから!」と見送ってくれるきーちゃんに念を押す。「何かって?」と何の曇りもない瞳で返事をされると自分が穢れた大人になってしまった氣がする。「ほら、夜寝る時怖かったり寂しかったら寝るまで電話しててあげるから!」と誤魔化した。「いつもそんな事してないし、でも寂しくても真ちゃん居るから一緒に寝てもらうし大丈夫よ!」と張り切って答えてくれるんだけど、おねーちゃんはそれを心配してるんだけどね。「あと、おやつ食べ過ぎちゃダメだからね。また熱が上がったらダメだからちゃんと髪を乾かして寝るんだよ」あと、何を言っとかないとダメだっけ。仕事中は留守中頼んでるけど、外泊となると色々心配。
キリがないからと真ちゃんは旦那に車を出せ。と言うし、旦那も窓をしめて走り出してしまった。「おかんか!」とツッコミを入れられたけど、だって心配だし。
高速に乗って1時間ほど進んで「真ちゃんの休暇っていつまでだっけ?」と素朴な疑問が湧いてきて、旦那に確認してみた。「17か18じゃなかったっけ?」と旦那はのん氣に返事をするけど…「17って今日だよ!帰るの19日!」旦那も「真ちゃんの休暇が終わる=きーちゃん1人で留守番」という事に氣が付いたらしい。さすがにすぐに体調を崩してしまうきーちゃんを日中1人にしておくのは心配過ぎる。真ちゃんに電話をかけて休暇を確認すると本当は今日までだったけど、今月いっぱいまで延長させてもらったらしい。「休みすぎてクビになるかもwww」と笑ってたけど、きーちゃん1人で留守番させるよりマシ。クビになったら頑張って求職活動して頂戴。
ひとまず安心して、実家で2泊3日過ごすのでした。
私と旦那とお互いの実家へ。と言っても、私の実家は両親がもう居ないし兄が家を継いでるためサクッと報告してお墓参りをして終了。仲が悪いって訳ではないんだけどね。旦那の実家、小さい頃から御両親を「おじちゃんとおばちゃん」って呼んでいて、いざ「おとうさん、おかあさん」って呼ぶとなると何か照れたり。田舎だからね、親戚とか集まっちゃって報告してまわったりお祝いしてもらったりで落ち着いた頃はもう夜になっていた。
「きーちゃんから電話あった?」と聞くと無いみたいで。大丈夫なんだろうけど、氣になるから真ちゃんの携帯に電話をかけてみる。「もしもーし♪」と出たのはきーちゃん。元氣そうで一安心。「今日何してたのー?」と聞くと、『ホームセンター行ってノート買ってもらってシェイクも買ってもらってとドライブに連れてってくれてさっき帰ってきたよー♪今真ちゃんお風呂入ってるー。ビデオ借りて来たから今日は特別で後で見るよー♪おやつも買ってきたよ!』うーん、やっぱり説明の仕方が幼いなぁ。ときーちゃんと同じ年頃の親戚の子と会ったばっかりで思わず比べてしまう。まあ、元氣で楽しんでいるようで何より。ホームセンター行って、その後借りてきたビデオが金田一耕助シリーズってどうよ。って思ったり。
きーちゃんの報告を聞いて電話をきると、10分もしないうちに真ちゃんから折り返しかかってきた。一応、きーちゃんの様子を聞く。私たちが行った後、しばらく寂しそうにしてたけど(あら嬉しい♡)ホームセンターに連れて行ったら元氣になってきたって。ホームセンターはきーちゃんの希望らしい。けど、なんでホームセンター笑でも、元氣そうで安心して寝ることができた。
1泊して翌日ゆっくりした後夜中に実家を出発。昼に帰宅予定だったけど、意外と休憩が少なく済んで明け方には帰宅。車から降りると花火をした跡を発見。なんだか微笑ましい。家に入ると真ちゃんはもう起きてて、ちょうどいいから留守中きーちゃんの様子を聞いた。
「元氣してたで」と言ったけど、何か隠してるのに氣付いた。けど、何かしら理由があって言ってないんだろうと追及するのはやめた。
仮眠から起きてリビングへ降りるときーちゃんが掃除をしていたところだったので、お掃除後にお土産のおやつを食べられるように準備をした私。「真ちゃんと美樹ちゃん、どっかでかけたよ」そういえば、居ないね。真ちゃんは「留守中元氣にしてたよ」と言っていたものの、何かを隠してるのには氣付いた。その時は、自分に格好つけて真ちゃんの考えがあるんだろう。と追及するのはやめたけど、氣になるものは氣になる!ので、おやつがてらきーちゃんに聞き出す作戦に。
が、電話で聞いた通りで、、、「他は?」「ほか?はねぇ…昨日花火したよー」って、ちがーう!絶対何かがあるはずなのに…きーちゃん、大人モード入らないかしら。と願うも叶わず…
「知ってた?真ちゃんのお布団めっちゃ氣持ちいいで!あの布団で寝たら最高だった! 」え??どういうこと?それ、大丈夫??過ぎる心配。「ビデオ見てね、そのまま一緒に寝てん♪」ちょっと待って。そのまま一緒に寝ちゃダメでしょ。
ちっこい頃《小学生の時》も「うちに遊びにおいで」と言われて真ちゃんちに遊びに行ってしまったり。きーちゃん、大丈夫かな。と少し不安になってしまった。やっぱりこの子、女の子であることの意識がだいぶ低い。自覚は全く無いようだけどこの数ヶ月でも結構大人っぽくなってきてるし、そして出先でナンパされることも増えてきた。1人の時に声をかけられてついて行ってしまわないか心配だわ。てか、真ちゃんもホイホイ女子中学生と一緒に寝るんじゃない。変質者認定するよ。
「じゃんけんで勝ったら真ちゃんのお布団使えて、負けた方が下で寝るねんけど、私2回とも勝ってん!すごくない?」ああ、びっくりした。そういうことね。ホントびっくりした。一緒の部屋で寝たってことね。一氣に疲れた…。てか、なんの勝負してんのよ。
「お布団氣持ち良すぎて、犯人がわかる前に寝ちゃったから昨夜ももう一回見てん。けど、犯人の所は起きたけどそれまで寝てた笑」ありがち、ありがち。笑
作戦失敗。何を隠してたか見当つかない。氣になるー。いっそのこと、前言撤回で本人から聞き出すかな。と考えていたら「昨日はね、社長さんが来てね、ご飯食べに連れてってくれた!」と有力情報。その辺かしら。「休みすぎてクビになるかもwww」って言ってたよね。まさか、ホントにクビになったの?とヒヤヒヤしながら聞いてみると、来月から復帰できるかどうかの確認と調子良さそうならバーベキュー行こうと誘われてた。という事はわかった。あそこの社長さん、バーベキュー好きだなぁ。過去数回私たちも誘われ済。
結局、何を隠してるのか分からず仕舞い。
「何作ってんの?」お昼すぎ、きーちゃんは何か一心不乱に針金を曲げたり、曲げたり。「真ちゃんに見えるのを作ってみてーって言われたから作ってるー」また出た。見えない会話。笑
見えるってきーちゃんが見てるもの?脳内でムンクの叫びとかピカソとかが浮かぶ。もしかして、私たちもピカソの絵みたいに見えてる?目や鼻があっちこっち飛んでたり…とドキドキ。
出来上がったのは、菱形の枠の中に正方形や三角やマルがあってそれがくるくる回る不思議なもの。「なにこれ」「わかんない」分からんのかい!これが見えるの?と聞くと、時々浮いてる。と返ってくる。やだ、怖いじゃない。もうひとつは、うずまきっぽい、花っぽい何か。こっちはなんか可愛い。いっそのこと、きーちゃんの見えるものをとことん表現してもらって、ピカソみたいな独特の作風の芸術家とかになればいいんじゃないの?と思うくらい、独特の物体が並ぶ。凡人にはわからない世界観。針金で遊んでたと思うといきなり立ち上がって真ちゃんの部屋に走る。また戻ってきて、部屋から持ってきた筆ペンと紙にまた文字だか形だか分からないものを書き出す。次々と書き出されたものを見て、やっぱり凡人にはわからない世界観。鼻歌交じりで次々と書いている。
その姿を見て、実家へ行った時に会った親戚の子と比べて普段は格段に幼くて、年相応になれるように手助け出来たらと思っていたことはお節介なんじゃないかと思った。幼くなるのはここに居る時だけで、外に出ている間は年頃よりもずっとしっかりした大人モードが多い。大人モードに入ったきーちゃんは私でも分かるくらいしっかりした子になる。ご近所の方と話をしてる時なんか同一人物なのかと疑ってしまうレベル。大人モードはきーちゃんの精一杯の防御なんじゃないか、幼いモードのきーちゃんが本当のきーちゃんなのかもしれないと漠然と思った。それなら、家に居る間まで無理させなくていいや。
旦那と真ちゃんが帰宅したのは夕方になってから。手続き関係、色々残ってるのに私もダラダラと過ごしてしまったのであまり怒れず。どこに行ってたかと聞くとはぐらかすのは氣に入らないけど。新婚なのにいかがわしい所行ってたんじゃないでしょうね。
「真ちゃん、きた」夕食を終えてみんなで喋りながらゆっくりしていると、きーちゃんが真ちゃんに耳打ちしてたけど、確かにこう言ってた。何が来たんだろうと窓の方に目をやっても、変化がわからない。やだ、怖い。
「ちょっと部屋戻るわ」ときーちゃんを連れて部屋に行ってしまった真ちゃん。何なのー、何が来たの。怖いんだけどー。「あの二人、どうしたの?何で部屋行ったの?」分からないのを分かってるけど旦那に聞く。「知らんよ。まあええんちゃう?子供じゃないし」と言うけど、きーちゃん子供だから!「そうやわ」と笑う旦那。なんでそんなに氣楽なの。
20分経っても30分経っても戻らない2人。お風呂に入ろうとした時に真ちゃんの部屋の前を通ると何か話してる声は聞こえるんだけど、何を言ってるのかは聞き取れず氣になる。
お風呂からあがってリビングに戻ると真ちゃんだけ戻ってきてきていた。きーちゃんはあのまま真ちゃんの部屋で寝てしまったそうで「何してたの?」と聞くとあきらかに言葉を濁す真ちゃん。「言わないとよからぬ事をしてたって思うよ!真ちゃん子供に手を出すアキちゃん以上の人でなしってことにするからね!」旦那は「その脅しなんやねんwww」と笑うし、真ちゃんは複雑そうな顔しながら「それでええわ」とか言うし?ええんかい。昨日の隠したって感じたのはこれかもしれない。
「それは秘密にしなきゃいけない?昨日もなんか隠したでしょ?」きーちゃんにしろ、真ちゃんにしろ秘密ごとをしちゃいけないことはないけど。「きーちゃんの事だったら教えて」それがきーちゃんが内緒にしておきたいことだったとしても、きーちゃんが何を思ってるのか何がしたいのか分かるなら知りたいと思う。
「こう、精神的な波があるやろ。それが落ちてヤバそうなら言いなって。倒れて3人に迷惑かけたって思うより1人の方がまだ氣分楽かと思って」ふーーん。なんかまだ濁してる感あるけど。でも、多分大方は嘘ではない感じだから納得することにしよう。きーちゃんの話題を振ったついでに、昼間に感じた幼さの話をしてみる。
「幼いって言っても人それぞれなんじゃないの?」と旦那は言うけれど、あんたは女子の怖さを分かってない!「幼いモードと大人モードとの差があることが問題ってこと?」と真ちゃん。それなの、そうなの!「でも昼間見てて、そこを問題だと思ってるのは私だけなのかなーと思って」やっぱりかわいい妹みたいなものだし、必要以上に茨の道《ハードモード》は歩かせたくないわけで。だからといって、ここでずっと守ってられるわけじゃない。ただでさえ体質的にしんどいらしいし、そこに女子特有の社会が入ってきたらそれこそ地獄を見るよ。もう見てるかもしれない。
答えが出ないまま、ドツボにはまる。「それはキリコの考えやん。きーちゃん自身はなんて言ってるのかで変わるんじゃないん?」と至極真っ当な旦那。そうなんだけどーーーーー!「留守中、対処方法の件は聞いたんかいな」と続ける旦那。「聞いてない」聞いておいてよ…。なんだかまどろっこしいな。こっちがヤキモキしちゃうわ。「なんで」「それどころじゃないっていうか…」また歯切れ悪い。追求するべきなのかどうか悩んでいると、いきなりアキちゃん帰宅。
「君ら、なに暗い顔してん」とのん氣。「きーちゃんのことでさ、」と言うと「きぃの居らんところできぃの楽しくなさそうな話?」私が全部言い終わる前に言われる。「きーちゃんの楽しくなさそうな話。」これがなんかショックだった。「めんどくさそうやから詳しく聞かんけど、きぃの目の前で話出来ないこと話すのってどうかと思うけどなー。これ知ったらきぃは何て思いますやろか」うわー。めっちゃ言い方に悪意感じたんだけど。とイラッとしながらも、図星を突かれたような氣が。たしかにこんな心配をされることが負担になる氣はするんだけど。その言い草よ。
「これ東京土産ね。今から九州行くから。荷物取りに来ただけだから、お構いなくー」とアキちゃんは自分の部屋に行ってしまった。残されたこの空氣よ。超氣マズイんですけど。「たしかにアレの言うことは正しいかもしれんわ。心配するんやったらきーちゃんがどうしたいんかまずハッキリさせようや、対処方法の件も。後、ワタシが出来るのは嫁と嫁のかわいい妹を飢えないようにさせるだけですわ。あ、真弥は自分で食ってけなwwwおまえは知らんwww」と旦那。
嫁と嫁のかわいい妹ですって。後からそこについて聞いたら、どう見ても心配の仕方や可愛がり方が友達超えて妹だから、もう妹ってことにしてる。私がきーちゃんのことを覚悟して面倒みてる。って言ってるからそれをサポートするしかないでしょ。「進学とかの件は、無理やけどな。笑」だそうで。
やばい、惚れ直しそうだ。