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Story 20.真ちゃんの入院。
年が明けて。1週間、真ちゃんの実家へ行っていたきーちゃんはスッキリした顔で帰ってきた。お正月どうだった?真ちゃんとケンカしなかった?と聞くと「真ちゃん毎日酔っ払いで面白かったよ」思い出、酔っ払い。それってどうなの。おばあちゃまが居てたのも良かったのかな?何だか表情がしっかりして帰ってきた氣がする。なんて言うのかな、目が輝いていて少し大人な表情も見せる。
だから、少し安心していたんだけど、、、新学期が始まって、きーちゃんはまた体調不良に悩まされるように。学校で向けられる悪意は、相変わらずどころか悪化しているようで。「もう行かんでいいよ」と言ってみるけど、きーちゃんは朝になると着替えて出かけていく。帰ってくると安心するのか、表情はちょっと和らぐ。前よりも甘えるようになったのは、私たちを信頼してくれるようになったからなのか、辛すぎて退行しているのか。
学校での件について、私たちがどうこう学校へ言える立場でないのがもどかしい。まさに満身創痍、疲労困憊で帰ってくるきーちゃんに私は「もう行かんでいい」とやっぱり言うんだけど、きーちゃんは「ありがとう」とだけ答える。真ちゃんと旦那は「行くと決めたら行っておいで。ただ無理するな。あかんと思ったら帰っておいで」のスタンス。
1月半ば、きーちゃんはスキー学習という名の泊まりの学校行事の直前。「行きたくないー」と言い続けていたけど、それがマックスになって倒れたきーちゃん。
「何で行かなくていいって言わないの」きーちゃんが寝てから、いつものように大人組で晩酌中。あんまりにもこの件について真ちゃんは何も言わないので聞いてみた。お正月から、きーちゃんにとって真ちゃんはもう一段と特別な存在になっているみたいで、それはちょっと悔しくも思うものの、それでも、誰かを信頼することが出来はじめてることが嬉しかったり。だから、学校ならまだしも泊まりで行くなんてどう見ても無理だから真ちゃんが「行かなくていい」って言えば行かないんじゃないかと。わざわざ自分から辛い思いをすることはない。しかも、初めて行く場所でどんな所かも分からない。随分と自分で対処したり出来るようになっているとはいえほとんどの人が感じないモノを敏感に感じるきーちゃんを行かせるのは不安しかなかった。
「ホンマは行くのはめっちゃ心配やで」真ちゃんは、きーちゃんから聞いた学校へ行く理由を教えてくれた。
お正月におばあちゃまのうちから帰って来てからきーちゃんは真ちゃんと寝るのが習慣になっていて、(私としては若干の不安はあるけどね!)3学期が始まった頃に寝る前に話していたこと。きーちゃんが学校へ行くのは、私たちが悪くならないようにするため。自分が強くなる練習にもなるし。と言っていたけど、きーちゃんの本音は私たちのためだと思う。と言った。
新学期が始まってすぐに先生に呼び出されて、今の交友関係を聞かれたそう。年末、真ちゃんの忘年会の日4人でいる所を同級生に目撃されていたみたいで良からぬ噂が立って呼び出されたみたい。その時に「悪い仲間」と言われて悔しかった。学校からの通報で「誘拐」として挙げて離すこともできる。と言われた。本当は学校へ行きたくない。だけど、学校へ行かなくなると、嘘が本当にされてみんなに迷惑がかかる。スキーも休むつもりだったけど、そのままもう学校へ行けなくなりそうだから行く。
真ちゃんはきーちゃんの判断に任せることにしたけど、学校が全てではないこと、身が本当にもたなくなってきーちゃんが居なくなる方が「悪い仲間」と言われたり「誘拐した」とされるよりもつらいことを話して、きーちゃんにうちでは絶対に我慢したりしないことを約束させたんだって。これは、旦那にも実は話をしていて私に話さなかったのは純粋に自分のことを心配して声をかけてくれる人が必要だと思ったから。変に色々と話すと、私の動揺が伝わると困るねん。だって。
「あ、スキーから帰ってきたら2人で楽しいスキー行く約束したから、おねえさん」と真ちゃん。は?それとこれとは別だけど?私たちも行くってば。2人でスキーとか、おねーちゃんは許しませんからね!
それ聞くとさ、きーちゃんなりに考えて決めたってわかるからスキーに送り出すしかないじゃない。でも、心配すぎたから携帯電話を用意して持たせたよね。いつでもヘルプ出せるように。ヘルプ出したら、夜中でも吹雪でも飛んでいくからって。きーちゃんはうふふ♪と笑ってカバンに携帯を入れてスキー学習へ出かけて行った。(旦那にはスキー場電波入らんと思うけど?って言われたけどさ。)
きーちゃんがスキーに出かけた日の夜。いつもは遅くても18時には帰宅する真ちゃんが22時を過ぎても帰ってこない。「まさかスキー場まで行ってないよね?」なんて旦那と話をしていたら、旦那の携帯に電話がかかってきた。電話に出た旦那の様子がおかしい。「真弥、病院に運ばれたって」「は?」
電話をくれたのは、真ちゃんの会社の社長さんだった。急いで病院へ向かう。終業していつもの時間に会社を出たけど、倒れてるのを社長さんが見つけたのが会社を出た1時間後。会社の駐車場で血まみれで倒れてたって。駐車場は会社から少し離れた所にあって人通りも少ないせいでまだ詳細がわからないらしい。途中おばあちゃまから電話があって急いで向かうけど仕事で九州にいるから時間がかかるとのことで、ひとまず私たちで出来ることはすると伝えて電話をきる。
病院に行くと、社長さんが居てくれていて。状況を聞く。救急車を呼んで搬送されたけど、まだ意識は戻らないらしい。部屋にも入れなくて、窓からのぞくと痛々しいほどいろんなコードと管に繋がれて包帯の方が多いんじゃないかと言う真ちゃんが見える。きーちゃんが居ない時で良かった?きーちゃんが居ない時に限って?きーちゃんが帰ってくるのは明後日。おばあちゃまが病院に連絡してくれたらしく、おばあちゃまの代理で旦那が詳しい話を聞くために先生に呼ばれた。私も聞きたかったんだけど、動転したせいか氣分が悪くなって病室の前の椅子で社長さんと待つことにした。「せっかく復帰したのに…」真ちゃんをすごくかわいがってる社長さんの心配する姿を見て、不安になる。けど、今わたしが不安になってる場合じゃないと喝をいれる。遅くまでひきとめてしまったことを社長さんに詫びて帰宅してもらった。「まだ先はわからないけど、意識戻ったらちゃんと待ってるからしっかり治せと言っててな」と社長さんは帰っていった。
1人で待合室で待つのは、とても心細かった。消灯時間を過ぎているから、静かで薄暗くて。きーちゃんはずっとこんな氣持ちだったのかな。とふと思った。誰にどう言えばいいのかわからない。その誰かすらいない暗い場所で1人で誰かを待ってたのかな。
旦那の姿が見えたけど、なんだか足取りは重たくて。聞いた話が希望が持てるものではないのは、姿だけでわかった。頭部にヒビが入っていて骨折は、鼻と頬、左右の腕、左足、あばらが4箇所。肩も脱臼しているし、頚椎ヘルニア。内臓からの出血もある。意識はまだ戻らない。万が一のことの方が大きいかもしれない。本人が意識ないからまだなにもわからないけど、事件として警察に報告することになる。
聞いただけで目眩がする。私もしっかりしようとするけど、いきなりのこと過ぎてどうしたらいいのか分からず手続きは全部旦那がしてくれる。
早朝、おばあちゃまと先生が来て状況を聞くとおばあちゃまは座り込んでしまった。それでも、おばあちゃまは旦那と私に頭を下げてくれるんだけどその姿が痛々しくて。しばらく話をして、おばあちゃまに引き続き私たちに任せてもらうように言って帰宅してもらった。「キリコ、送るから一回帰って休んで」と旦那。職場のオーナーに連絡をすると今日明日と2人とも休みをくれた。
旦那に送ってもらって、帰宅。必要なものを用意して、ソファーに倒れこんだ。ホント、意味わかんない。なんでこんなことになってるのか。万が一のことって何。万が一…何かあったらきーちゃんはどうなるんだろう。認めるのは悔しいけど、きーちゃんにとっては真ちゃんが一番で。多分私や旦那は、代わりにはなれない。
はやく起きなさいよ。明日にはきーちゃん帰って来るんだよ。そんな姿見たら、きーちゃん泣くんだから。かわいい私の妹を泣かせたら許さないから。2人でスキー行っても良いから起きなさいよ。2年だか4年だか待たなくても良いから起きなさいよ。そんなことを思いながら、ソファーで休む。
起きると、19時をまわっていた。ご飯を食べてないことに氣付いて用意するけど箸が進まない。旦那が帰って来た。まだ意識はないらしい。ずっと1人で全部やってくれたから、相当疲れているようですぐに寝てしまった。
日付が変わって2時過ぎ、旦那の携帯がなる。旦那もすぐに起きて電話に出る。「すぐに行きます」そう言って電話を切った。「意識戻ったって。病院行ってくるわ」ホッとしすぎて、手が震える。旦那は休んでいてもいいと言ってくれたけど、旦那が心配だったからわたしが運転すると言ってついていく。
病院に行くと、まだ部屋は移されてないけど朝になったら一般の部屋に移るということだった。けど、まだ容態が安定しないので重症の人の部屋。そこだと個室だから1人づつなら泊まれると言われる。他に患者さんが居ないからと特別に2人で部屋に通してもらった。
旦那が声をかけるとゆっくりと左手が上がった。「いてぇー」と口が動くけど、声が出てない。私もベッドに近づく。頬を骨折してるせいか顔の右側に大きなガーゼが貼られていたけど、腫れているのがわかる。「きーちゃん」と口が動く。「きーちゃん、今日帰ってくるよ。私迎えにいくから」「泣くかな」とまた声なく言う。「絶対泣くわ、アホ。妹泣かせんなって言ってるじゃん」そう言いながら、なんか私も泣けてくる。どれだけきーちゃんなのよ。5分も居られなかったけど、話せて少し安心した。朝、また来ると言って帰宅した。朝になったら、一度病院に2人で戻る。そして、きーちゃんの帰ってくる時間になったら私が迎えに行くと決めてもう一度ベッドに入った。
入院に必要なものを用意して、昼前に病院へ行くともう個室に移動していた。体の周りのコードもだいぶ減っていて、きーちゃんに昨日までの姿を見せずに済んでホッとした。入院の期間はまだ全然確定ではなく、後遺症すらわからない。きーちゃんに隠すわけにも行かないけど、充分痛々しい姿を見せるのが心配で聞いていた到着時間が近づくにつれて氣が重たくなる。「きーちゃん迎えに行ってくるわ」旦那が真ちゃんに言う。真ちゃんはまだ声を出せなくてゆっくり左手をあげた。「私、行くけど?」「そんな顔してるキリコを1人で行かせられんわ」やだ、惚れ直しそう。
予定時間より早く待ち合わせ場所に着く。きーちゃんになんて言おうか。それを考えているとバスが停まって、少しするときーちゃんが車の方に歩いてきた。笑いながら手を振るきーちゃんを見ると、これから言わなきゃいけないことを考えると氣が重たい。「ただいまー。真ちゃんの車やから真ちゃんかと思ったー」きーちゃんはやっぱり疲れ果ててる様子だったけど、明るい声で言った。
「きーちゃん、あのさ、真弥入院してんやんか」私が言うより先に旦那が言った。「え、なんで?」きーちゃんの表情が固まる。「ちょっと怪我してん。今から病院行こうと思ってんねんけど、行けるか?疲れてるんやったら明日にしよう」「行く!大丈夫」旦那の言葉に即答するきーちゃん。「怪我ってどうしたん?いつ?」きーちゃんの表情が不安になっていく。「ちょっと怪我がひどくてな、まだちゃんと話せんから何でかわからんねん。でもな、きーちゃんは?って自分の心配より先にきーちゃんの心配出来るくらいやから大丈夫やわ。ただミイラ男になってるから見てびっくりするかもしれんから先言うとくわ」旦那が全部言ってくれた。「あんな…ちょっとだけ泣きたい」きーちゃんが小さい声で言う。「聞かなくていいから」きーちゃんにハンカチを渡すと「鼻水だらけになったらごめんねー」ときーちゃんが言う。多分ね、めちゃくちゃ不安なんだと思う。一生懸命頑張って帰ってきたと思ったらこんな話だし。それでも、唇を噛み締めながら声を出さないようにして何度も涙を拭うきーちゃんになんて言っていいかわからなくて頭を撫でるしか出来なかった。
病院に着いて、きーちゃんは深呼吸をした。病室のドアを開ける。一番最後に入ったきーちゃんはドアのところで立ち止まってまた唇を噛み締めている。「おひーさん帰ってきたで」旦那が真ちゃんに声をかける。旦那は最近真ちゃんに冷やかしのノリできーちゃんのことをおひーさんって呼んでる。(お姫さまのことね)真ちゃんが目を開けてきーちゃんを目で探す。私はドアのところにいるきーちゃんを手招きする。「ただいまー。行ってきたで。めっちゃ疲れた」きーちゃんは、迎えに行った時と同じトーンで言った。「おかえり、頑張ったな」と口が動く。それがわかったのか、きーちゃんはうふふ♪と笑う。点滴かなんかの影響か真ちゃんはうつらうつらとすることが多くて、「真ちゃん、明日学校終わったら来るね♪いい子で寝てるんだよ」真ちゃんが起きたタイミングできーちゃんが言う。そして「ちょっと疲れちゃったからおうち連れてって」と私たちに言った。真ちゃんの口元が笑う。
車に乗る。「ねーさん、怖い。真ちゃんホントに大丈夫?帰ってくる?真ちゃん帰って来なかったら嫌」と涙を落とすきーちゃんに「大丈夫、絶対帰って来るから」と言って抱きしめるしかなかった。病室では、ずっと家にいるのと同じような調子だったのが車に乗ってスイッチが切れちゃったんだろう。いつも通りにすることが、きーちゃんなりの真ちゃんへの氣遣いだったんだろう。
帰宅してきーちゃんは、荷物を解いたりお風呂に入ったり真ちゃんが居たら言うであろう事を自分でやっている。私たちにもいつものような調子で話した。「あのね、、、」寝ようとなった時、きーちゃんが言う。「お邪魔虫していい?」「ええで。上おいでや」と私より先に旦那が答えた。きーちゃんは嬉しそうに階段を上がった。
「なんかさー。家族っぽくない?」真ん中で寝ているきーちゃんを見て旦那に言った。「家族やろ。俺の隣で寝てるからって妹にヤキモチ妬きなや」と旦那が笑う。「バカじゃない?むしろお邪魔虫は美樹だからね。きーちゃん独り占め出来るとこだったのに」
翌朝、きーちゃんに病院の名前と住所を書いて渡す。学校が終わったら、電車で病院へ向かって私たちが迎えに行くまで病院で待っていると言う。「もし、真ちゃんがしんどそうやったら1人で帰れるから。携帯も持ってるから大丈夫!」
今日に限って2人とも遅番で。心配だったけど、きーちゃんを信じることにした。
仕事が終わって、病院に行くときーちゃんはソファーに座って寝ていた。「ソファー、遠いねん。撫でられへん」やっと声が出たと思ったら何を言うかな。うちのかわいい妹のこと、犬か猫みたいに言わないでくれる?と言うと笑う真ちゃん。今日はだいぶハッキリしてるね。バカな事言うくらいだし安心した。
それから、私たちが仕事の日は学校が終わると真ちゃんの病院へ先にきーちゃんが行って、私たちを待つ。と言う習慣になった。
1週間程すると、真ちゃんも顔の腫れも少しひいてきてずいぶんと楽になってきたようだった。まだ口を動かすと痛むらしくそんなには話せなみたいだけど。その日は土曜日で、朝から私ときーちゃんとでお見舞いに来ていた。看護師さんとも慣れたみたいできーちゃんは看護師さんとも話すようになっていた。
今日はずいぶん痛むみたいで痛み止めの点滴をしてもらってうつらうつらとしてる。真ちゃんが寝る前に冷たいお茶が飲みたいと頼まれて私は売店へ出かけていた。「帰って!真ちゃんのこと心配じゃないなら来ないで下さい!」真ちゃんの病室の近くに来た時、きーちゃんの声が聞こえた。
急いで部屋へ行くと、、、元カノ…。怖っ、なんで知っているの…。恐怖を感じると動けなくなるんだね。ボー然とドアの前で立ち尽くしてしまった。「今日はお引き取り下さい」と看護師さんも元カノに言っている。すぐに男性の看護師さんも来てそれを見て元カノは部屋を出て行く。出て行く姿を見たきーちゃんはボロボロと涙をこぼす。
「何があったの?」看護師さん2人に慰めてられている姿を見て我に返ってきーちゃんの所へ走る。ベテランっぽい看護師さんが詰所へ案内してくれて私が出ている10分のことを教えてくれる。ちょうど私と入れ違いで元カノが来たらしい。その時はきーちゃんだけだったんだけど、ちょうど5分くらいして、ナースコールがなったからベテラン看護師さんが部屋に来てくれて。その時、既に言い合いをしてたらしく。言い合いと言っても一方的にきーちゃんが元カノに攻められて殴りかかられていた。きーちゃんに掴みかかるから、真ちゃんは起き上がって止めようとしていた。病室で騒がないよう注意してお引き取りを願ったんだけどなかなか帰らず向かいの詰所に応援を呼んで男性の看護師さんが来てくれた所に私が戻ってきた。病院で騒ぎを起こしてしまったことを謝る。
病室に戻って、冷やしながらきーちゃんを慰めてくれてついてくれた看護師さんにも謝る。起き上がってたという真ちゃんはまたベッドで横になっていた。まだ起き上がっちゃダメだし、ほとんど動けないはずなのに無茶するなぁ。
きーちゃんを病院の食堂に連れて行って事情を聞く。頰が赤い。よく見ると額に引っかき傷もある。
ねーさんが売店行って、すぐにあの人が来てん。真ちゃん寝てたのに、肩揺すって起こすから今やっと寝られたし、動かしたらあかんから起こさないでって言ったらね、「なんであんたがここに居るの?」って。真ちゃんが起きたっていうか、多分痛くて目が覚めたんだと思う。それに氣ついて、真ちゃんに「退院いつ?わたしの誕生日までには退院できるよね」って。その時ね、真ちゃんにくっついたから、すごい嫌で。真ちゃん動かしたらダメだから離れてって言ったんだけど、無視されて。誕生日の前に予約したい鞄があるからとか言ってそれ買ってくれるよね?貰ってくねって引き出し漁ろうとするから、真ちゃんの荷物は私が持ってるって言ったら鞄で何回か叩かれて。その後も何回も叩いてきて。真ちゃん、それ見ちゃって起きて助けようとしてくれたけど、でもこれ以上動いたらどうしようって思ってナースコール押したん。看護師さんやったらちゃんと言ってもらえると思って。看護師さん来て、離してくれて真ちゃんも横にならせてくれてんけど、帰ってくれへんくて。看護師さんがヘルプ出して来てくれて帰ってくれた。けど、真ちゃん動いちゃった。死んじゃわないよね。病院でうるさくしちゃった。どうしよう。真ちゃん死んじゃったらどうしよう。治して貰えなかったらどうしよう。ごめんなさい。きーちゃんはボロボロと涙をこぼしてる。
「大丈夫。謝るんだったら看護師さんに謝ろ。一緒に謝るから。でも、きーちゃんは何にも悪くないよ」きーちゃんが落ち着くまで食堂で過ごして病棟へ向かう。なんで、元カノ病室わかったんだろ。事件の可能性もあるからって、限られた人間しか入れないようになってるはずなのに。
病室に戻ると、さっきの看護師さん2人とその上司という看護師さんがいた。きーちゃんは真っ先に謝る。ベテランっぽい看護師さんはきーちゃんを慰めてくれる。元カノが入ったのは、下の受付で部屋を案内されたから。手違いで案内されてしまったみたいで、その件について謝罪される。あの時、ナースコールで看護師さんを呼んだ、だから早く氣ついて対処できたと看護師さんに言われてきーちゃんも少し落ち着いた。
帰宅して、旦那にも報告した。ようやく元カノの異常さをわかってくれたみたい。きーちゃんは全く悪くない。と旦那も言ったけれど、自分がいらないことを言ったから真ちゃんが動いてしまったと氣にしていて、翌日から病院に行かなくなってしまった。