Another story 43.心配。

春を迎えたら、ねーさん達は遠くに行ってしまう。
ようやく自分が居てもいい場所が出来たと思ったのに、その場所が無くなってしまうことの不安と悲しさと、ねーさん達に心配かけないようしっかりしなきゃという変なプライドとでやっぱり複雑な心境だった。


何もしなかったらきっと延々と鬱々していたかもしれないけど、4月に真ちゃんがおうちを継ぐ為の準備のお手伝いをさせてもらうことになって氣が紛れた。
ねーさん達がこっちに居る最後のお正月。
本当は一緒に年越ししたかったな。と思ったけど、4月から真ちゃんに完全にお世話になるつもりの私がお手伝いをしないわけにいかない。
私はちゃんとお手伝いも出来るし、「ねーさんが居ないと寂しくて何もできない」なんて泣き言は言わないって姿を見せたいのもあって、真ちゃんはねーさん達と年越ししても良いよ。と言ってくれたけど、半分意地になって実家に帰る真ちゃんについて来た。




「そうなん?じゃあお前らどうすんねん」
お正月。珍しく兄ちゃんがおばあちゃんちにやってきた。
ねーさん達のことを真ちゃんから聞くとものすごくあっさりで驚いた。
大人にとって引っ越すってことはそんなに重大な事件ではないんだろうか。


「出て行った方がええか?」と真ちゃん。
なんですと??
「使うんやったら使ってええで。出るんやったら出てもええし。しばらくの間はこっち帰ってきたら寝る場所に使うし」
良かった。「じゃあ解散」にならないのね。
ホッとしたのもつかの間。
「そうやな、早いうちに部屋決めるわ」と真ちゃん。
「あそこ意外と不便やし、アイツら居なくなったら広すぎるやろ」
「それな。でも真弥、時々掃除しに来てやwww」
「なんでやねんwww出て行ったら自分で掃除くらいしろやwww」
なんですと?
ちょっと待って。
兄弟で話がどんどん進んでますけど、そうなん?
あのお家は兄ちゃんのものだし、真ちゃんだって元々は引っ越してくるつもりなかったけどねーさんと兄ちゃん二人掛かりで引っ越してくるよう頼み込んだってのも知ってる。


あ、何だか、モヤモヤ出てきた。


でも、よく考えたらそうだよ。
最初にあのお家に暮らすようになったのはねーさんと美樹ちゃんが新しくお家を探さなきゃいけないから。って。
そのねーさんと美樹ちゃんマハルくんが引っ越しちゃう。
真ちゃんは元々は引っ越してくる氣も予定もなかった。
そうだ、ねーさん達が引っ越しちゃったら真ちゃんがあのお家に居る理由がないんだ。


そうだよ。
ねーさん達が引っ越した後もずっとあのお家で過ごすんだと思ってたけど、そうしていい理由なんてないんだ。


じゃあ、私はどうしたらいい?
生まれた家に帰る?
また、居なくなったままで暮らさなきゃいけない?
もしかしたら、もう本当に生まれた家には私は完全に居なくなってしまってるかもしれない。


それに、もう、帰りたくない。
私の居ない場所にはもう戻りたくない。


でも、私はあの家のメンバーに入ってなかった。
ねーさんも美樹ちゃんも真ちゃんも居ないのに、私が居座るなんてできないよね。




新たな心配が浮かんでしまった。
私は本当にどこに行ったら良いんだろう。


夜、お客さん達が来てこの不安はお手伝いの忙しさで一瞬姿を消した。
けど、みんなお酒が入りだすと私のお手伝いも一段落して、心配がまた顔を出してきた。




「私、そろそろ決めなきゃいけないよねー」
真ちゃんもお客さんのお相手をしていたから、外に出て月に向かって話しかけてみる。
もう、シードラゴンに迎えに来て貰えない。
それは分かってる。
何回月に向かって話しかけても、シードラゴンに届くことはない。
生まれた家も、私は居ない。
今のお家も無くなってしまう。
私は、無い。


ねーさん達が引っ越して真ちゃんもお家から出てしまったら、此岸に私が居られる場所は無くなる。
だとしたら、もう此岸は引き留めることはしないはず。
ねーさん達が引っ越してしまうのは5月。
真ちゃんがお家を正式に継ぐのは4月。
それまでまだやらなきゃいけないことがあるから、すぐには真ちゃんも引っ越しじゃないはず。
デッドラインは、5月。
きっとこれが本当に来世へ行く時期。デッドラインって上手いこと言ったね。
妙に感心してしまった。


体の中心がぎゅっとして、涙が出そうになる。
けど、今泣いてしまったらダメだ。




「新年早々、熱出すでー」
後ろから真ちゃんの声がした。
「シードラゴンと話してた?」
そう言う真ちゃんの表情と色は悲しそうだった。
「シードラゴン、もう来てくれへんから…お部屋がね、暑いから冷ましにきただけ」
嘘は言ってない。
シードラゴンは、もう来てくれない。
私の家族はもう、どこにも居ない。


まただ。
真ん中がぎゅっとする。
「たしかに暑いなー。けど、そんな格好で外居ると熱出すで」
真ちゃんに連れられて家に入った。




「さっき、シードラゴンはもう来てくれんって言ったやん」
お布団に入って半分寝始めた時、真ちゃんが話しかけてきた。
「シードラゴンが迎えに来たら、やっぱりキリエはシードラゴンと帰りたいって思うん?」
何て答えたら良いのか分からなかった。
「帰っていいなら、帰りたくなると思う」
「キリコが居なくなるから?」
「…分かんない。ねーさんやみんなが居なくなるのも寂しい。私が居ない所に戻らなきゃいけないなら、私を歓迎しようって言ってくれたシードラゴンと居たい」
ヒトは、怖すぎて痛い。
昔から、ヒト以外の存在のが優しかった。
この何年かの間、とっても優しい所で過ごせたから、私はとっても弱くなった。
「どうしたらキリエはワタシの言葉も信用してくれるん?」
「信用?」
「一度しか会ってないシードラゴンの言葉は一回で信じて、何度言ってもワタシの言葉は信じてくれん」
「信じてないわけじゃないけど…」
本当は、信じてないのかな。
分かんない。
「シードラゴンの所に行かんって言って」
それは、もし、シードラゴンが迎えに来てくれたとしても?
すぐに返事が出来ない。
きっと、シードラゴンが迎えに来てくれたら私はシードラゴンと一緒に行きたいと思うだろう。
それは、私が居てもいい世界へ連れて行ってくれるから。
「キリコらが近くに居らんようなってもワタシが居る。それでも寂しいなら休みには会いに行けば良い。キリエの場所は無くならん」
私の場所は無くならない。
私はここに居てもいいのかな。
「シードラゴンの所なんかに返さへん」
その言葉に甘えてしまって、良いのかな。




「ただいまー」
玄関で靴を脱いでるとリビングのドアが開いてかわいい足音がする。
そして背中に小さな感触。
「ただいまー」
マハルくんを抱っこするとマハルくんもぎゅーっと返してくれる。
ぷにぷにのほっぺに癒される。
「積み木しよーねー」
モヤモヤしてても仕方ない。今はマハルくんと遊んで癒されてやる!


3学期が始まった。
普段一緒にいるお友達も私立の試験を控えてナーバスになってるみたいで空氣がとても薄い。
正直、高校へ行くと決めたものの落ちてもいいか。と楽観的になっているからどう共感したらいいか戸惑っていて友達の輪の中に居辛かったりする。
学校が始まってからは週末におばあちゃんのおうちへ行ってお手伝い。
真ちゃんのご挨拶の会の招待状を書いて次の日おばあちゃんや真ちゃんと一緒にお届けする。
お届けすると、みんな真ちゃんとおばあちゃんに「おめでとうございます」と言ってとても嬉しそうだった。


「きぃちゃん、本当にありがとう。きぃちゃんが居らへんかったら迎えられへんかったわ」
真ちゃんがお仕事だったから、今日はおばあちゃんと2人でご挨拶の会の招待状を渡しに行った。
その帰り、車に乗るとおばあちゃんが言った。
けど、招待状書いてるだけだから全然お手伝い出来てない氣がする。
これを言うと「違う、違う」とおばあちゃんは笑う。
「真弥がな、きぃちゃんを高校生にさせるって言うた時はホンマ大丈夫かって心配やったん」
そうだよね。普通なら大反対されたっておかしくない。なんで赤の他人にこんなにしてあげなきゃいけないんだと言われてもおかしくない。
「だから家を正式に継がせて下さいって言うて頭を下げてな…」
そうだったんだ。


真ちゃんのお家は、継ぐためには先代にあたる当代さんが認めないと継ぐことが出来ないと教えてくれた。
だから、おじいちゃんおばあちゃんが認めないと真ちゃんは家を継ぐことが出来ない。
真ちゃんは今までお家のお仕事もしていたけど、おじいちゃんおばあちゃんがいくら言っても「まだ早いし、そこまで考えてへん」と言っていたらしい。
おばあちゃんが当代さんになる時、本当は認めて貰えなくておうちが無くなるかもしれなかった。それでもおばあちゃんはお父さんに「この家を必要とする人はたくさん居るから潰したくない」と言って、たくさんお願いしてたくさん努力してやっと継ぐことができた。
今でもこの家を必要とする人は居ると思っているけど、やっぱり当代さんとして過ごすと難儀がたくさんあったから、真ちゃんのパパにも真ちゃんにも強く継いでほしいとは言えなかった。
家のお仕事もしていたけど、真ちゃんはまだ若いから家を継ぐということが実感が湧いていないのかもしれないし、中学校を卒業してから会社に勤めに行っているから継いで貰うのは無理かもしれないと諦めていた。
けど、私を高校生にする為にもきちんと家を継ぎたいと言った。
もう無理だと思っていたけど、この家を途絶えさせたくないという願いが叶った。


「だからね、きぃちゃんが居らんかったらね、この願いは叶わんかったの。人生最後の願いが叶ったの。ありがとう」
おばあちゃんの声は優しかった。
私は何もしていない。ただ真ちゃんの優しさに甘えただけだ。
なのにありがとうと言葉をくれた。
嬉しい。
私は真ちゃんに、おばあちゃんに、ねーさんや美樹ちゃん、兄ちゃんに何を返していけるんだろう。




「間に合ったね!オッケー!」
先生の言葉にホッとする。
「当日まで決まってないとかないからね。良かった良かった」
「すみません…」
卒業式。卒業証書授与の後、これからの目標を言わなきゃいけない。けど、これからなんて何も思い付かず次までに考えますと言い続けて逃げてきた。
昨夜、ふとおばあちゃんが私にありがとうと言ってくれた時を思い出して思いついた言葉。
それを書き留めて登校してすぐに先生に見せに行った。
おとーさん、おかーさんに卒業式の日にちを教えたけど、多分来ないだろう。
本当はねーさん達に伝えたかったけど、お仕事をお休みしてなんて頼めない。
誰かに聞いて貰えるわけじゃないけど、本当は「〇〇になりたい」だとか「〇〇を頑張ります」だとか言わなきゃいけないみたいだけど、今の私の精一杯の言葉だった。
3年生の担任の先生は、進路についての懇談から真ちゃんが来てくれたことや、その懇談で真ちゃんが私の家の事情が複雑で卒業したら一緒に暮らすと言うことを話をしてくれたおかげかとても優しかった。




卒業式が始まって入場。
体育館に入った瞬間、右側に知っている空氣がする。
真ちゃんが居て、その後ろの席にねーさんと美樹ちゃん。
高校生達の近くに居て見逃しそうだったけど、たしかに真ちゃんもねーさんも美樹ちゃんも居た。
今日、みんなで迎えに行くから帰りはお祝いランチしようってねーさんが言ってくれてたけど、式にまで来てくれるとは思わなかった。
嬉しい。


「私の周りの人のように優しく強い人になって、貰ったもの以上に優しさを返していきます」


ねーさん達に聞いて貰えた。
今の私の精一杯。


晴れやかな氣持ちで卒業式が終わって教室に戻る途中、ふとよぎった。
ねーさん達が来てくれた。
これは嬉しいことだった。
けど、同時に私はキリエではない事がバレてしまったかもしれない。
いや、証書授与で名前を呼ばれたから絶対にバレてしまった。
今日来てくれてありがとう。と今まで嘘ついてごめんなさい。を言って、ねーさん達から私が消える前に自分から消えなきゃ。
なんでこんな簡単なことに氣付かずのうのうと卒業式に出て、ねーさん達が来てくれた♪なんて浮かれていたんだろう。
最後のホームルームは、正直ほとんど頭に入って来なかった。
それどころじゃ無かった。
中学校卒業と同時に私が居てもよかった所から卒業しなきゃいけないなんて。
卒業式で初めて学校から出たくないと思った。
どうやって嘘をつき続けてたことを謝ればいいんだろう。
許して貰えるわけがない。
あんなに良くしてもらったのに。
引越しした頃に真ちゃんはわざわざ言わなくても良いと言ってくれたけど、言った方が良かったのかもしれないと後悔した所で後の祭り。
恩を仇で返されたと怒ってるかもしれない。
どうしよう。
なのにまだ、ねーさん達と居たいと思う自分も嫌だ。


教室に出てからみんなは名残惜しそうに話しているけど、私にはそこまで惜しむ友達は居ない。ライトに挨拶して終わり。
けど、1年生の頃を思えばそれでも充分だ。
門を出て歩くと、お迎えに来てくれる時にねーさん達が車を止めて待っていてくれる場所に真ちゃんの車が見えた。
車の隣には真ちゃんが立っている。
名前のことで嘘をつき続けていることは真ちゃんは知ってる。
ねーさん達に本当のことを言う前に真ちゃんにねーさん達の反応を聞こうかな。どうしよう。
真ちゃんが私に氣付いてくれたみたいで、両手を広げてくれたのを見て無意識に走った。
「キリエ、卒業おめでとう。よく頑張ったな」と言ってハグしてくれる。
「来てくれてありがとう。でもね…」
「でも?」
「ねーさん達、怒ってる?」
「キリコ?号泣やで www」
泣くほど怒ってるの?どうやってごめんなさいしたらいい?何か言ったとしても言い訳しかない。
「キリエ、聞いて」
呼吸が乱れ出すと同時に真ちゃんの声がする。
「名前のこと心配してるやろ。大丈夫や。キリエの番になる直前に美樹らに話しかけて氣を逸らした。もしバレとったら絶対会場出た瞬間に美樹が何か言う」
車の中に居るねーさん達に聞こえないように真ちゃんがハグしたまま教えてくれる。
「ホント?」
「キリコは大丈夫や。後は美樹やけど、もし美樹が氣ぃ付いてたとしてもなんとかするから安心して。大丈夫。キリエはキリエや」
真ちゃんは何度も「大丈夫、心配せんでいい」と言って髪を撫でてくれる。
乱れ出した呼吸が落ち着いて来た頃「いけるか?ホンマにキリコ泣いとるで笑ったれ」と真ちゃんが言った。
ドアを開ける時「大丈夫や」ともう一度言ってくれた。
深呼吸してドアを開ける。
「おかえり!卒業おめでとう!」とねーさんがいつものように言ってくれる。
「よく頑張ったな、おめでとう」と美樹ちゃんも言ってくれた。
「来てくれてありがとう」と言うと「バレないようにコッソリ行ったんだけどなー」とねーさんが笑った。
ねーさん達は優しい空氣してるから、すぐ分かるよ。
「よし、おめでとうランチだ!」とねーさん。
ねーさん達はいつもと変わらない様子だったけど、お店へ向かう道中も不安だった。
真ちゃんは「大丈夫、心配せんでいいで」と言って手を繋いでくれていたけど、実は氣が付いていた時どうやって謝れば良いかが頭から離れなかった。
駐車場からお店へ向かう時、美樹ちゃんに呼び止められた。
心臓が一瞬止まった氣がする。
真ちゃんも一緒に居てくれようとしたけど、美樹ちゃんに「先行って」と言われてしまった。
真ちゃんは少し離れた所で待って居てくれた。
「きーちゃん、あのな」
『なんで黙ってたんだ』と言われると構える。
「ここ、ケーキ美味いらしいねん。だからきーちゃんケーキ食べようって言うて」
あれ?
ケーキ?
『なんで嘘ついたんだ』じゃなくて?
ポカーンとしてしまった。
「きーちゃんだけ頼んでええって絶対キリコが言うでな、みんなで食べようって」
「うん!みんなで食べたい!」
真ちゃんが言うみたいに大丈夫だった?
いつものように返事をしたけど、心臓がバクバク言ってる。
「オッケー、じゃあ頼むで」と言って美樹ちゃんもお店へ歩き出した。
「大丈夫やったか?」
真ちゃんがすぐに来てくれた。
「大丈夫やった…ここのケーキ美味しいらしいでって」と言うと「焦ったぁ」と言って真ちゃんは笑った。
けど、いつ名前のことを言われるか家に帰ってもずっと頭から離れなかった。


「キリエ、寝た?」
部屋のドアがノックされてゆっくりドアが開く。
真ちゃんだった。
晩酌タイム終わったんだね。氣になって寝付けなかった。
「多分、大丈夫やから心配せんでいいで」
晩酌タイム中も一言も名前のことは出なかったと教えてくれた。
「それなら先に謝った方がいいやんな?」
どこで本当のことを知られるかわからない。
晩酌タイム中、ねーさんが卒業アルバムを見たかったと言ってたらしいけど、真ちゃんは「思い出させるのは酷だ」と言って「もう奥になおした」と言ってくれたらしい。
たしかに真ちゃんが家に帰ってすぐに卒業証書や卒業アルバムを真ちゃんの部屋に持って行ってくれた。
学校で使っていた教科書類もこの間の廃品回収に出してくれた。
「言わんでいいし、謝らんでいい」
「けど、嘘をつき続けることになる」
こんなに私のことを見てくれてるのに。大事にしてくれてるのに。もう3年近く嘘をつき続けているから今更なのは分かってる。
「キリエ、いい?キリエはキリエや。キリエがホンマのキリエの名前やから」
「でも…」
「高校の書類はワタシが全部用意するし、美樹らが引越しするまでや。その後はなんとかなる。それまで頑張れ。キリエは嘘ついてへん。キリエはキリエや。嘘ついたとか思わんでいい」
真ちゃんの言う通りにしたら多分楽だと思うけど、ねーさん達を裏切ることにならないかな。今更謝ったとしても許して貰えるなんて思ってないけど。
「キリエ、いい?キリエはキリエやねん。学校での名前は番号や。けど本当の名前はキリエやからわざわざ言わんでいい」
「隠して知られるより自分から謝った方が…」
「いい?キリエはキリエやから。何も隠してへんし、騙してもない」
真ちゃんはそう言ってまたハグして「大丈夫」と何度も言ってくれた。
「番号は2人の秘密や。誰にも教えたらへんねん。いい?だからそんなに不安にならんで」
都合が良いのも、勝手なのも分かってるけど、真ちゃんが言ってくれるからと真ちゃんのせいにしているのもわかってるけど、真ちゃんのくれる言葉に甘えたい。甘えることにした。
真ちゃんは寝るまで目が合うと「大丈夫」だと言ってくれた。