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Story 59.里帰り。
「ご飯だけ食べてけば?」 話をしてるうちに夕食の時間だし。 「でも、ねーさん達の分しか用意してないし帰りにどっか寄るから大丈夫よ。ありがと」 荷物をまとめながらきーちゃんが言う。 やっぱりさっきまでのきーちゃんとは雰囲氣が違うな。
うーん、名残惜しいよー。 一晩引き止めちゃったから、これ以上引き止められないからな。
出産の件は、もう一度改めて旦那と話して決定することにした。 大阪で…ってなるときーちゃん達に甘えることになるし転院もあるから早めに決めると伝えた。
「じゃあね、お邪魔しました」 車に行くまでの間何度もハグしたけど足りない。 やっぱり大阪帰るって言えば良かったー。 なんで旦那と真ちゃんそんなにドライなの? 「次は冬休みだねー」 「そうだね。きーちゃんのお誕生日とクリスマスとお正月全部のパーティしようね」 「ねーさんのお誕生日もねー」 早く来ないかな、冬休み。
「じゃあねー」 車に乗ったきーちゃんはやっぱり笑顔で手を振ってくれる。 車を見送っていると、夢で見た小さな女の子を見送る光景を思い出した。 あの女の子はきーちゃんだったのかな。 そんな氣がした。
旦那にやっぱり大阪で出産したいのか確認される。 どっちかっていうと、きーちゃんが居るところ? 「ってなったら大阪やんか。どれだけきーちゃん好きやねん」と少し呆れてる。 きーちゃん達に頼りきるのはどうかと思うのはある。 けど、やっぱりきーちゃんが居る所がいいと思った。 そして、出来ることなら私の精神衛生上しばらく義姉達と距離を置きたい。 さっきの話に戻るけど、これが大きいな。 昔はここまで思わなかったけど。 大人げないけど、姪が苦手なんだよな。きっと。 義姉はその姪の傍若無人さを黙認してるところとか。 姪の御構い無しに行動するのは母親似なのかも。 「そこまでアイツらに頼るんはなぁ…」 旦那の言葉が痛い。そこはね、私もちょっとは思ってるんだよ。
結局、話し合いの結果、私の希望が通ることになった。 でも、それまでの間にマハルを産んだ所で受け入れてもらえるのかも確認しなきゃいけないし、 向こうで産むとしてそれまでの経過で問題ない場合に限るし、マハルの一時保育を通わせてた所でいけるのかも相談して出来たら。という条件付きだけどね。
「きーちゃんに電話する!」 まだまだ帰りの途中なのは分かってるけど。 早くきーちゃんに伝えたくて電話をかけるけど…出ない。 鞄に入れて氣付いてないのかなぁ。 後でかけ直そうか。
しばらくして、真ちゃんから電話がかかってきた。 「きーちゃんは寝てるの?」と聞くと何だか歯切れが悪い。 「大丈夫なの?調子悪いの?風邪うつしちゃった?」 まくし立ててしまったからか、旦那に携帯を奪われてしまった。
旦那はしばらく話して大笑いしてる。 何なの? 「きーちゃんな、今泣き過ぎて喋れんやて」 「何で?真ちゃん何泣かしたの!」 「違う違う、帰りたなかったんやって」 そう言えば前も出た後泣きだしたって言ってたよね。もう、かわいいなぁ。
きーちゃんが話せないので、旦那が真ちゃんに出産の件で世話になりたいと頼んでくれた。 病院とかはこっちで手配して、保育園のこととかアキちゃんのことは真ちゃん達にお願いすることになった。
きーちゃんは帰ってから、定期的に手紙をくれた。 私が大阪に行くことを楽しみにしてくれていた。 写真もたくさん送ってくれて、いろんな所にも行っているみたいだし、バイトに入る日数を減らしてもう一段真ちゃんやおばあちゃまの仕事のお手伝いをしているらしい。電話で聞けるきーちゃんの声は落ち着いているようで安心した。 病院はマハルを出産した所で問題なく予約することができた。一度診察に行ったけど、その時は真ちゃんの仕事にきーちゃんもついて行っていて会えなかった。 残念。 慣れた場所はやっぱり落ち着く。診察の時は、オーナー夫妻が「うちに泊まればいいじゃない」と言ってくれてお世話になった。マハルの成長や2人目の妊娠にも喜んでくれて「里帰りするならうちでも良かったのに」とも言って貰えて嬉しかった。こうやって離れてしまっても氣遣って、大事にしてもらえることがありがたい。
経過はすこぶる順調で、転院先の先生には早めからこっちへ来れた方が良いけれど遅くても年明けすぐ位には来ておいた方が安心だと言われ、真ちゃんと相談して真ちゃん達が実家から戻るお正月明けからになった。 大阪には旦那が送ってくれるし、何より自分の希望が叶ったから浮かれていた。
2回目のきーちゃん達の新居。元々私たちが旦那と2人で暮らしていた場所から近く、空氣が懐かしい。ハイツの前に着いてきーちゃん達のお家の窓を確認。あそこに住んでるって何だか変な感じ。まだ2人に会っても居ないのに、窓を見ただけで私の知らない生活をきーちゃんがしていると思うと不思議な氣分だなーなんて思ったり。「キリエ、今日バイトやねん。もうすぐ帰って来るんちゃうか?」 到着すると真ちゃんが迎えてくれた。あれ?この間と部屋の様子がちょっと違うな。なんだ?「きーちゃんバイトだったら迎えに行かなくていいの?」 今日は私たちが来る為電車で帰るからちゃんと家にいるように念をおしてバイトに行ったらしくて、いくつになってもかわいいなーと思ったり。 「あ、分かった」「何が?」と驚く旦那。「ごめんごめん」前より生活感が薄い。物が少なくなったのかな?昨日までおばあちゃまの所に行ってたって言ってたしそのせいで生活感が余りしないんだろうか。
夕食をとってマハルを寝かしつけた頃、旦那たちはすぐに飲み出してしまった。 この人らは相変わらずだなーと呆れていると、外から凄い音がした。 「何?今の?」 真ちゃんが真っ先に玄関に向かう。 私と旦那も後からついて行って玄関から覗く。 「どないしてん」 「大丈夫?」階段の踊り場できーちゃんが座っている。 「鍵開けようと思ったら袋がやぶれたー」 私たちが来るからと、大量に買い物して帰ってきたきーちゃん。 鍵を開けようとした時に買い物袋がやぶれて買ったものが落ちたので拾おうと階段を降りたら厚底になってる靴のソールが外れてしまってそのままバランス崩してきーちゃんまで落下したらしい。
「靴がー」 「靴はええから、怪我は?」 「大丈夫!でも痛い(´;ω;`)」 旦那がきーちゃんの荷物を、真ちゃんがきーちゃんを抱えて家に入る。 膝で着地したと言って右足を引きずってるし。 感動的な再会をする予定が…。 でも、きーちゃんらしいな。と妙にしっくりきたのは内緒。「ただいまーいらっしゃい痛いー」 「挨拶がなんや忙しいな」と真ちゃんにツッコミを入れられながら手を貸してもらって椅子に座るきーちゃん。 着地したと思われる膝が擦りむいていて内出血してる所もある。これは痛い。 「もっときゃーー♡って喜びたかったのに」 擦りむいた所を消毒しながらきーちゃんはブツクサ。 「こんなに買ってどないするん。明日から行くのに」と真ちゃんがダイニングテーブルにきーちゃんの買ってきたものを広げる。 「お弁当は私の晩御飯でね、あとはみんなのおつまみやで」 早く帰りたかったからまかない食べずに帰ってきたらしい。 「やっぱりマハルくん寝ちゃってたね」 お弁当を食べながら寝ているマハルを見るきーちゃん。 明日から嫌ってほど見られるから。 「さっきの明日から行くってどこ行くん?」と旦那。 そう言えば、真ちゃんがサラッと言ってたね。 「真ちゃんまだ言ってへんかったん?」ときーちゃん。
私が出産予定の病院には真ちゃんの実家(おばあちゃまの家)の方が近いから、私の里帰り中は実家の方で生活出来るように手配してくれたらしい。 「おばあちゃま達は?」 「全然構わんって。生活は離れやから氣にせんでいいで」 来月入ると泊りのお仕事も多くて不在が多いとか。
「言ってくれたらそっち向かったのに」と旦那が言うけど、きーちゃんのバイトがあったからどのみちこっちに戻ってくる予定だったらしい。 「本当はね、年内で終わりの予定やってんけどお正月入れる人おらんくて」 バイト辞めちゃうの? 「おばあちゃんちからやったら、交通費でないから何のためにバイト行くのか分からないし、おばあちゃんも真ちゃんも無理にせんでいいって言ってくれてん」 あ、なんかすごい申し訳ない。 「違うで!元々ずっとしんどかったら続けなくて良いって言われてたからやで」 私の表情を見てきーちゃんが慌てて捕捉してるけど、絶対里帰りのせいよね。 しかも最後の出勤なのにまかないも食べずに帰って来させちゃった。
「今日だけ狭いけど我慢してね」 寝室のベッドを私たちに譲ってくれたきーちゃん達。 狭いって言っても3人余裕で横になれてますけど。 きーちゃん達はリビングにお布団敷いて寝てくれるとのこと。
何だろう、ついに来たというか氣分が上がってなかなか寝られない。 日中ずっと運転していた旦那は早いうちに寝てしまってちょっと退屈だ。 今日に限ってマハルもぐっすり寝ている。 ボーッと天井を見ていた。 リビングからきーちゃん達の声がする。 私もそっち行こうかなーと思うけど、寝ようとしているんだったら悪いしなぁ。 でも、寝られないし。を何度か繰り返してやっぱりリビングに行く。
「え?何してんの?」 ネクタイで目隠しをしたきーちゃんが真ちゃんの片手に手を乗せて膝に座って俯いてる。 何で目隠ししてんの。 真ちゃんがきーちゃんにくっついてるのはいつも通りだけど、何だか雰囲氣が違うし。 「2人のイチオシプレイ的な?もしかしてお邪魔しちゃった感じ?ごめん、ごめん、お氣になさらずー」と真ちゃんと目が合ったからドアを閉めようとすると、「うるさかった?ごめんね」 きーちゃんが目隠しのネクタイをとる。 「何の誤解をしてんねん。アホちゃうか」と真ちゃん。 多分、この光景見たら旦那も勘違いすると思うけど。呼んでさしあげましょうか? 「石がね何言ってるか聞いてたん」 おっと、いきなり空中戦。 「光と物がうるさいから目隠しして話た方が聞きやすいねん」 きーちゃんの手元に何個も白い石が並んでいる。 「兄ちゃんがお土産にくれてんけどね、まだ上手く話せないねんなー。やっぱり日本語通じないのかな」 「そこは関係ない思うけどな」と真ちゃん。 日本語通じないってどう言うことよ。真ちゃんも普通に返してるし。
お正月、アキちゃんが実家に帰ってきて、その時にお土産と言ってくれたという白い石。 アキちゃんはタロットみたいなもん。とだけしか教えてくれなかったらしい。 アキちゃんらしいと言えばアキちゃんらしいんだけど。 「なんて言うものなん?」 「それも聞けなかってん」 あら、不親切。 夜中、きーちゃんが寝てる間に来て、真ちゃんのパパに預けて夜中のうちにまた出ていってしまったから直接きーちゃんはアキちゃんに会っていないらしい。 「多分ルーン文字やと思うねんけどな」と真ちゃん。 ルーン文字?何語? 「北欧の方の古代の文字やった思うけど、あんまり詳しくないからわからん」 「真ちゃんって意外と物知りよね」 「意外とってどういうこと?」 真ちゃんはなんだか不服そうだけど、そのままの意味でしてよ。 「人のこと阿保やと思っとるやろ」と言いながら台所へ行ってお茶を淹れてくれる真ちゃん。 きーちゃんは「もうちょっとだと思うんだけどなー」と言ってそのまま後ろに倒れこんだ。 「タロットとかだと使い方の本売ってたりするでしょ?そんなのは売ってないの?」 「名前が分からないから探しようもなくて」 それにタロットカードを貰った時、教則本を読むと、実際に『こう言ってる』と感じることとは違うことが書いてあることがあって混乱したからなーと言う。そいうものなの?
アキちゃんがきーちゃんに買ってくるお土産はいつも使い道がよく分からないものが多いのは相変わらずだったんだと思うと、ちょっと嬉しくなる。 その度に真ちゃんが色々調べてきーちゃんに教える羽目になるから勘弁してくれと真ちゃんは言うんだけど。 アキちゃんの不思議なお土産のおかげできーちゃんの舶来コレクションはとっても雰囲氣があるというか、怪しいというか。 きーちゃんはとっても氣に入ってるらしいけど。 そういえば、舶来コレクション結構集まってたけどどこに保管してるんだろ。目につかない所に置いてあるのかしら。
お茶を飲み終わるときーちゃんはもう一度やってみると言って、さっきと同じように真ちゃんの膝の上に座る。 だから何で真ちゃんの膝の上に座らなきゃいけないのかしらね。
ネクタイで目隠しをして、ゆっくり深呼吸した。 少しして、きーちゃんの右手が不思議で不規則な動きを始めた。 真ちゃんはその右手をつかまえて指を絡ませる。 目の前の不思議な光景と空氣に釘付けになってしまう。 「これはね、冷たい。…雨、じゃない、氷、かな?」 「暗くて…1人。怖い!」 「嵐!大変!全部持ってっちゃう!」 錯乱して動き出そうとするきーちゃんの右手を掴んで反対の腕できーちゃんをおさえる。 目の前で何が起きているのか全く見当がつかなくてボー然と見ているだけしか出来なかった。
「どうした!?」 勢いよく寝室のドアが開いて旦那が現れる。 錯乱したきーちゃんの声で起きたのかもしれない。 旦那の声で空氣が変わってきーちゃんの動きが止まった。 「何してんの?」 旦那も目の前の光景が飲み込めないようだった。 そうなるよね。 何をやってるのかを聞いていた私も飲み込めていない。 きーちゃんは肩で息をしながらぐったりしているし、真ちゃんはきーちゃんがつけていたネクタイを解いてるし…ヤバイ、変な誤解しないかしら。(前科者の経験から来る心配)
「マジでびっくりしたわ」とこの流れを聞いた旦那はホッとしたように笑った。「お騒がせしました。以後氣をつけます…」と真ちゃんときーちゃん。 「さすがに妊婦に見せるには刺激強いかと…」と笑う旦那。 「何でやねん!」思わず真ちゃんと一緒にツッコミを入れてしまう。 色んな意味で酷すぎる誤解だわ。 「あれは何だったんだろうねー。怖かったー」と1人マイペースなきーちゃん。 もう、汚れなききーちゃんはそのままでいて頂戴。
きーちゃんを自分の膝の上に座らせていた理由は、たまにこういう事があるからすぐに動きを止められるようにする為だと教えてくれた。 さっきはこのルーン文字と思われる石と同調してその文字を再生してしまった説が濃いようで。 「写真見てこの人はどこに居ますか?ってのも出来るの?」ふと思う。 「出来へんと思う。それが出来たらなぁ」ときーちゃんの顔を見る真ちゃん。 「心霊捜査官とか言ってテレビで大人氣になって大富豪になれるね」と笑うきーちゃん。 テレビで大人氣になっても大富豪になれるかしら? 大富豪って石油王とかのイメージなんですけど。 「大富豪な心霊捜査官になった番組ゲストに来たHIDEに会えるかなー♪会えるなら心霊捜査官になろうかな」 「なんで動機がHIDEに会えるからやねんwHIDEがそんな番組のゲスト出演したらびっくりやわ」 そんなことを話しがながら笑う2人を見るとなんだかホッとした。 けど、目のやり場が困るほどイチャイチャすんなし。いちいちくっつき過ぎよ。 これでもきーちゃん、真ちゃんは彼氏じゃないとまだ言うのかしら。 側から見たらバカップルでしかないんだけど。 てか、きーちゃんが普通に真ちゃんにくっついて甘えるせいか真ちゃんの溺愛モードがレベルアップしてない? 真ちゃんって歴代の彼女居た時こんなんだっけ?もっとクールというか彼女の方が真ちゃんに絡んでるってか真ちゃん自身は彼女に対してドライだったイメージなんだけど。 お預け期間があったか無かったかの差?向こうから言い寄られたか真ちゃんからアプローチかけたかの差?人って変わるもんだね。 これ、2人の時もこんな感じなのかな。 この2人は何かいつでもどこでも変わらない氣がするわ。 大丈夫なんだろうけど、仕事中イチャイチャし過ぎてないか無駄に心配になるわ。 けど、きーちゃんの事をちゃんと見てくれる人がきーちゃんの側にいることに安心。
翌朝、車二台に分かれて真ちゃんの実家へ向かう。 結構な荷物になるかと思ったらわたし達の荷物だけで、きーちゃん達は普段ちょっとのお出かけと変わらない位に軽装。 2人で住んでいるハイツと実家と半々位の割合で生活しているから、そんなに荷物を持って行かなくてもいいらしい。 「荷物運ぶでキリエは鍵開けてキリコとマハル連れてってー」「りょうかーい♪」真ちゃんの指示にきーちゃんはマハルを連れて離れに向かう。慣れた感じで、もうこのお家の子みたいだね。
「リビング、一階になってんー」ときーちゃんが案内してくれる。 前にお邪魔してから、離れが大幅に変わってる。 外観だけ見てたら氣付かなかったけど、玄関を入ると新築の匂いがしてる! リビングも明るくて広いし、ちょっと羨ましい。 リビング横の和室には、子供用のすべり台が置いてあって早速マハルが遊び出している。 きーちゃんは新しくなった離れを案内してくれた。お風呂と洗面所も明るいし何より広い!なんて贅沢な。私、長風呂する自信あるわぁ。洗面所と廊下に面して坪庭があるし…「ちょっとすごくない?」 「圧倒されております」 リビングに戻ってきて旦那とヒソヒソ。 家具もそうだし、部屋全体が一々雑誌とかに出てきそうな、モデルハウスみたい。真ちゃんもきーちゃんもお茶を淹れてくれたり、普通に各自何かやってるけど、何だか私たち夫婦は落ち着かない。 庶民には意識が高過ぎるお家ですよ。「どうした?」と真ちゃん。 「どうしたってすごくない?どうしたの?」 家の仕事がメインになって実家での生活が増えたから、過ごしやすくする為にリフォームしたとか。 「過ごしやすくでここまでリフォームするとかおばあちゃますごいね!」 「なんで婆やねん!」 「ってことは、真ちゃんがリフォームしたの?」 「施工は業者さんです」 それは分かってるんだけどね。 「デザインは真ちゃんがしたんだよー」ときーちゃん。 重ねてすごい!この子、普段は人畜無害な顔しておきながら実はできる子なの? 「私ここに永住したいかも」 「ワタシも里帰りしようかしらwてか、ここに引っ越すか!」(旦那) 「いいよー!」(きーちゃん)「バカじゃん?www」 (私)「何でやねんwww」(真ちゃん)そんな冗談を言うくらい素敵な家になってる。 ホント真ちゃん何者なの? 「ホントはね、こっちのおうちだけで生活した方が色々いいんだけど学校があるからって向こうのお家も残しててくれてるねん」 そうだよね、通学はここからだと大変だよね。 「ってきーちゃん、通学大丈夫なの?」 言ってて氣付いた。 今は冬休みだけど、短いとは言え3学期あるじゃない。 いくら安定してるみたいだからって、朝から2時間近くかけて通学となったらきーちゃんの体調が心配。 「大丈夫よ。真ちゃんが送ってくれるから」
少し安心したけど、多大に迷惑かけてることを改めて感じて申し訳無くなった。 「だってねーさんが居る方が嬉しいもん」 何てかわいいの!思わずハグしちゃったね。 それを見てマハルも突進して来て3人でハグ。 かわいい妹と息子とハグできる。ああ、幸せー。
「おばあちゃん帰ってきたね。ちょっと行ってくるね」ときーちゃんと真ちゃんが部屋を出ていった。 しばらくするとおばあちゃまも一緒に戻ってきた。 旦那と2人でおばあちゃまにご挨拶すると、快く迎えてくれた。 1年前に大怪我をしたとは思えない位にお元氣で、マハルと遊べるのを楽しみにしていると言ってくれる。 「孫が里帰りしてくれたみたいで嬉しいわ」と笑うおばあちゃま。
きーちゃんはおばあちゃまと何か話して、母屋の方に行ってしまった。 きーちゃんはこっちのお家で過ごす時はおばあちゃまのお手伝いもしていて、色々と母屋の方で作業することもあるんだとか。 「爺もな、キリエ来てるとちょいちょい顔出すようになったしな」と真ちゃん。 おじいちゃまおばあちゃま、実質別居してるって言ってたけど、そうなんだ。 「爺も婆も実の孫よりキリエがかわいいんやと」と言う真ちゃんはなんだか嬉しそうだった。 きーちゃんが新しい生活に馴染んでいて安心した。
「にしても、リフォームとか真ちゃん思い切ったね」 きーちゃんを学校に通わせてるし、バイトに行ってるとは言え生活の面倒も見てるしホントこの子何者なの? 「だいぶガタ来てたし、キリエが過ごしやすい方がええやんか」 何シレッと言ってんのかしら、この子。聞いてるこっちが恥ずかしいわ。 とは言え、過ごしやすいってせいなのかこの家に来てからのきーちゃんはもう一段落ち着いてる氣がする。 離れとは言え、おばあちゃまやお弟子さんも居てるから事実上同居みたいなもので緊張しそうなのに。 おじいちゃまおばあちゃまに可愛がられてるみたいだし、自分のお爺ちゃんお婆ちゃんと一緒に暮らしてるみたいなノリなのかしらね。 それで自分が存在することを少しでも肯定できるならそれが良い。