Story 60.日常。

「やっぱ、一緒に里帰りしようか」私とマハル、赤ちゃんの為に用意されたお部屋に案内されて旦那が呟く。8畳の洋室と4.5畳の和室が続き間になっている。洋室はリビングのようになっていて冷蔵庫とミニキッチンまである。ベランダもあるし、何より目を惹くのは大きな書庫。
「ごめんね、お布団今から買いに行くからね、待っててね」ときーちゃん。年末年始に用意するつもりだったけど、バタバタし過ぎて買いに行けなかってん。ときーちゃんは申し訳無さそうに言うけども。その辺のウイークリーマンションよりいい部屋じゃない?この部屋は後々真ちゃんの書斎にする予定で来客を通すからミニキッチンも完備しているらしい。何から何まで圧倒されるわ。
「キリエ、用意出来た?」と真ちゃんが部屋に来た。今から私達が滞在するにあたっての細々としたものを買いに行ってくれるらしい。「ホントにここ使わせてもらっていいの?」真ちゃんにも確認してしまった。「家具とか居るもんあったら教えて。完成してから時間なくて用意間に合ってないねん。」ハイツの方で生活感が前にお邪魔した時よりも薄く感じたのは、平日は向こうの方で滞在することが多いもののこっちの方がきーちゃん達にとってメインのお家になったからかもしれない。
きーちゃん達はゆっくりしてていいよ。と言ってくれたけど、ついて行くことにした。「みんなでお出かけ嬉しいねー♪」ときーちゃん。こうやって出かけるの久しぶりだよね。マハルもきーちゃんと手を繋いで張り切って歩いてるのがかわいい。お買い物中、きーちゃんが人とすれ違いそうになる度にさりげなく真ちゃんが間に入ってガードしてるし、加奈子が言ってた通りきーちゃんの鞄や買ったものを持ってるのが笑える。
「今回こそはね、忘れないから!」みんなで買い物に来たついでだ。少しフライングな氣がするものの、前回のような失態を繰り返さないためにも、旦那が居る間にベビー用品を揃えてしまおう!きっとズルズル『今度でいいやー』とか言ってたら結局忘れてマハルの時のようになり兼ねない。真ちゃん1人で荷物持ちをさせるわけにいかないから、旦那が居る時の方が都合がいい。「かわいい!もうこのサイズだけでかわいい!!」ベビー用品売り場に到着してきーちゃんのの謎発言。サイズだけでかわいいって何?「分かったから落ち着きなさい」「だってかわいいよ!やだーこんな所に『はらいそ』が隠れてたのね!」はらいそって…パラダイスね。笑きーちゃんの『かわいい』第一位の座を奪われると焦ったのかマハルがニコニコしながらきーちゃんに話しかけていて面白い。ちゃんと分かるのかしら。「マハルくんもこんなに小さいちゃんだったんだよー。大きくなったねー」きーちゃんに抱っこされてご満悦マハル。「マハルくんのおもちゃ見に行ってきていい?」きーちゃん達は、私達がゆっくり見られるようにマハルを連れて離れてくれる。旦那が居るからずっと抱っこしてなきゃいけないってことはないけど、すぐに飽きてしまうマハルが居ると落ち着いて選べないからありがたい。必要なものをピックアップしてきーちゃん達と合流。「やだ、それは買わないー」マハルが某パン男の車に乗ってドヤ顔。これ、乗って帰ると言って離れないやつだ。「って、それは?」ご満悦マハルの後ろにベビーカーを持つ真ちゃん。「マハルのベビーカー持ってきてへんかったやろ」持って来てないけど。新生児対応のを買って一台でやりくりしようと思ってたから、それだと新生児が乗れないよ。って、本当は普段車生活だからマハルのベビーカーのことをすっかり忘れて持って来てないのは内緒。「赤ん坊のは赤ん坊のでいるんちゃうん?」「新生児対応ならマハルも乗れるし」「二人乗り!?」「いやいや、どっちかは担げばいいかと思って」ベビーカー2台あれば便利だと思うけど、実は予算的にデカいのよ。「そうなん?マハルくん、これが良いって言ってたよ」うん、知ってる。同じタイプのヤツ、ウチの近所のモールでも乗りたがってたから。
「マハルくんも新車だね♪」結局、私と旦那で申し訳なさ過ぎて止めたけれど、産まれても私が1人で子供達を連れて出ることはまずないだろうからベビーカー2台でも動けるだろうし。とマハル用のベビーカーを真ちゃんが買ってくれた。しかも家にマハルが遊べるものがないからと言ってパン男の車や電車のおもちゃ積み木とブロックまで。念願の新車(しかも2台!)とおもちゃをゲットしたマハルは早速ベビーカーに乗ると即爆睡。新車の乗り心地は最高らしい。「前回に引き続き…ホント申し訳ない…」と旦那が申し訳なさそうに言うけど、真ちゃんは「ええで。マハル連れて移動はキリエの方が多くなるやろうし、多分途中で寝たらキリエに抱えて動けってよう言わんやん?おもちゃもマハルが来てから好きなの用意しようって言うててんwww」と宣う。あ、きーちゃんが判断基準なのね。うそうそ。きっとそう言えば私たちが氣に病まないだろうと氣遣っての発言だというのは分かる。拝んどこ。今回も拝んどこ。「だから、夫婦で拝むなしwww」
夜、きーちゃん達はまた昨日と同じようにアキちゃん土産の石を出してきて「石と話し」をしようと試みている。昨日も一度見たけど、やっぱり不思議な光景で、旦那も氣になる様子。「昨日みたいに怖いのばっかりやとどうしよう」きーちゃん、ちょっと不安げ。「じゃあ、この子にする」石を一つ取って、座る。今日は目隠ししないのね。「静かな火。途切れないで燃え続ける火。瞑想の、火」「あ、明かりになるね。これを使って歩ける」昨日とは違って穏やかな口調。けど、目を開けるとやっぱりぐったりして真ちゃんにもたれかかってる。「やっぱりめっちゃ疲れるー」「これ、慣れるまで何年かかるんやろな」「やっぱり日本語通じないからやで」「そこ、こだわるなwww」そんな話をしていたと思ったら、次の瞬間にきーちゃんは寝ていた。「きーちゃん寝たの?はやっ」マハルもびっくりな位に一瞬。スイッチ入ると一瞬で寝るけど、今日は特別早くない?「疲れたんやろなぁ」と真ちゃんがはまったく驚いていない。こういうことってよくあるんだろうか。

翌日は旦那に付き添ってもらって、正式に転院と検診。その間マハルはきーちゃん達に連れられてお出かけ。帰ったのは私達が先できーちゃん達は昼過ぎに帰ってきて、マハルはすぐにお昼寝してしまった。大きな公園に連れて行ってもらったらしく、ずっとテンション高めで遊んでたよ。と言われてホッとする。最近、自我がはっきりしてきたのか反抗期か何でもかんでも「イヤ」だと言うし、ご飯も食べなかったりするからちょっと心配してたんだけど、お昼のお弁当もしっかり食べてきーちゃんのおにぎりまで食べたらしい。かーちゃん、拗ねるよ。

3学期が始まった。旦那は一旦単独で帰宅してしまって完全に慣れない生活になって少し緊張。朝、きーちゃんが登校する時にマハルを保育園に送って行って、帰りに迎えに行ってくれる。真ちゃんは、きーちゃんとマハルを送った後会社の日はそのまま出勤、家の仕事の時は帰宅して仕事をする。きーちゃん達が用意してくれた部屋はとても快適で、少し緊張とか言いながらも我ながら多少遠慮しながら過ごせないのかと言いたくなるくらいマイペースで過ごしていた。絶対、家で出産を選んだらこんなにゆっくり出来なかったよね。とは言え、私の性格的に家にずっと居るということが苦手なのは2人ともしっかり把握してくれていて、買い物に行く時は一旦帰宅した後私の体調を確認してくれた上で「一緒に行こう♪」と誘ってくれる。なんて至れり尽せり。
平日は時々散歩がてら出かけるくらいでほぼ家に居るわけだけど、真ちゃんの仕事っていうのは謎のままだった。ものすごい量の本を読んでいたり、お客さんが立て続けにやってきたりしているのは分かった。お客さんによっては、きーちゃんも呼ばれていた。
「それ、なに作ってるの?」夜、寝られず1階のリビングへ行くときーちゃんは手芸セットを広げていた。中学生の時、よくアクセサリー作ってたよね。「今日はお念珠とネックレス」真ちゃんに頼まれたんだって。「真ちゃんつけてるやん」真ちゃんは何年か前の誕生日プレゼントに。ときーちゃんが渡したブレスとネックレスを時々きーちゃんがメンテナンスしながらいつも付けている。「違う違う。これは今のお客さんに渡すやつー」と言いながら楽しそうに器用に糸を編み込んでいる。「いつもこんな風に手伝ってるの?」必要な時は真ちゃんからきーちゃんに「この素材でこの石、素材を使って」と指示があってそれを作るらしい。中学生の頃もなかなかなクオリティのものを作っていたけど、更にレベルアップしていて感心した。「加奈ちゃんに頼まれることもあるんだよ」と嬉しそうに話してくれた。加奈子とコラボというカタチで、加奈子の服を置いて貰ってる店にも数点商品として出しているとか。「最近はね、加奈ちゃんが教えてくれて一緒に服も作ったりもしてるねん」バンドだけでなく、それ以外でもよく加奈子と一緒に居るらしい。元氣なのはいいことなんだけど、きーちゃんいつ休んでるの?こっちに来てからも常に何かしらしてる氣がする。「そういえば、バンドは?」「んーとね、今はお休み中」もしかして私が来たから?そうだったら申し訳なさ過ぎる。「違う、違う。加奈ちゃんが忙しいからね充電期間やで」加奈子は自分のインディーズブランドだけでなくいろんな人とコラボもしているとのこと。本格的産休に入って世間から取り残されているような感覚があったから、ちょっと羨ましい。

「せっかく美樹ちゃん来てくれるのに、ごめんねって言っててね」2月に入って、きーちゃんのお休みの日の朝。今日は私たちの様子を見に旦那が泊まりで来るのだけど、真ちゃんときーちゃんは仕事で泊まりで出かけてしまう。「泊めて貰うから会えるよ」「でもいらっしゃいが出来ないから…」「美樹がおかえりってするから」「キリエは家おってもええで。何とかするで」「行く!」そこは行くのね。ちゃんとお仕事する氣でいるからえらい。「寄り道しないで帰るからね!!」と言い残してきーちゃん達は出発。旦那と入れ替わりになるね。と言ってたけど、出発までに間に合わなかったな。
きーちゃん達が出発して、1時間もしないうちに旦那が到着。きーちゃんが残念がってたよ。と伝えるとなんだか嬉しそう。ホント、娘が大好きね、あなた。

翌日の昼間、2人は疲れ果てて帰宅したけど、そのまま珍しく真ちゃんが熱を出してダウン。帰ってくる前に病院へ寄って帰ってきたらしい。「ほら、インフルエンザだと大変でしょ」ときーちゃん。インフルエンザでも風邪でもなく、過労らしい。確かにいつ寝てるんだろうというくらい、何かしら忙しそうにしてる。
私達が居たらゆっくり出来ないだろうと言って出かけることにした。きーちゃんはやっぱり家で真ちゃんについてると言ってお留守番。帰ってから家のことをしていたけど、そわそわして何度も寝室に様子を見に行ってたもんね。
出かけると行っても行き先がなく、どうしようかと悩んで、働いていた店に顔を出すことにした。オーナー夫妻は相変わらずで、久しぶりに会えたことを喜んでくれた。里帰り(?)のことを話すと「うちに帰って来て良かったのにー」と笑ってくれた。こっちにいるまでの間に奥さんとランチに行く約束もしちゃった。オーナーと旦那は仕事の話しをしている。今の職場はオーナーに紹介してもらったところだけど、あと2年で店を畳むのが決まっているから、閉店したらこっちに帰ってきたらいいのに。なんて言われたり。今の店のオーナーに勧められて閉店したあとは、独立する予定でいることを伝えると色々と相談に乗ってもらってるようで、旦那も楽しそう。
店を出てきーちゃんに電話する。真ちゃんは少し休んだせいか、元氣になったよと言っていたけど、「まだ熱が下がらないのに動けるようになったからって仕事しようとするねん。美樹ちゃん助けてー」と旦那にヘルプが出た。「美樹の言うことなら聞くと思われてるやん。頼りにされてるねー」と冷やかしたら満更ではなさそうで。ホント、娘が大好きね、この人。
帰宅すると1階のリビングにきーちゃんの姿がない。「母屋の方行ってるのかなー」と思いつつ、夕食の準備をしていると、真ちゃんが寝室から出てきた。帰ってきた時よりも元氣そうだけど、やっぱり顔色が良くない。「きーちゃんそっち居る?」「……。あー、今昼寝中」寝室に居てるなら安心。何か返事まで時間があったのが氣になるけど。真ちゃんはそのままリビングに居て旦那と話しをし始めてしまう。寝てないで大丈夫なの?マハルは真ちゃんが起きてきて嬉しいらしく真ちゃんの周りでウロウロして、それを見て真ちゃんはマハルに構ってくれる。
少ししてきーちゃんもリビングにやってきたけど…「髪、ボサボサだよー」どんな寝相ならそこまで髪が爆発するの。「眠いならもうちょっと寝てていいよ?」「だいじょーぶー」ぼーっとしてるきーちゃんも可愛いけれど。寝起き過ぎでしょ。そのまま真ちゃんの後ろに座り込んでいきなりホールドかけるきーちゃん。何してんの。真ちゃんは慣れた感じで相手してる。寝起きだから小さいきーちゃんモードになってる?
ここでお世話になって約1ヶ月。この小さいきーちゃんモードは寝起きの時が多いかと思っていたけど、そうでもないことがわかった。ホント急にスイッチが入るみたい。少し驚いたのがこの小さいきーちゃんモードに入っても、おばあちゃまもお弟子さんも先生も、あまり会わないおじいちゃまやパパさんまで普通にしてるということ。真ちゃんが近くに居ない時にスイッチが入ってしまったら真ちゃんを呼びに行く位に普通なことになってる。
酔った真ちゃんがきーちゃんに絡むのはもう普通の光景だけど、小さいきーちゃんモードになるとこれが逆転する。いや、酔ったら真ちゃんはきーちゃんがくっつくのを良いことに調子乗るからタチが悪いかも。私が決めたこととは言え、別居中な人間の前で良くもまぁそんなにくっつけるわ。と呆れたり。目のやり場に困るっての。旦那がいる時も構わず通常営業で旦那の眉間のシワが濃くなってる氣がするわ。

普段のきーちゃんと小さいきーちゃんモードとの差が激しいから、なんとなく分かってる私もまだ戸惑うんですけど。
普段のきーちゃんは、学校の学年末テストが近いからと帰ってきて勉強もしつつ、真ちゃんやおばあちゃまの手伝いもして、家の事も2人で分担してやってとホント尊敬するレベルでしっかりしてる。その合間にマハルとも遊んでくれて、私はとてもでもないけどこんなにマメに動けない。
けど、一緒に住んでいた時ってこんな感じだっけ?普段のきーちゃんが大人になってきたから分かりやすくなっただけだろうか。
旦那は大体2週間に一度こっちに来て2泊して帰る。の生活をしてくれている。きーちゃんは「パパが来てる時に生まれるんだよー」と臨月に入る前から毎日のように言ってくれて、曰く「洗脳!(`・ω・´)」怖いってば。

2月下旬、きーちゃんのテストが終わりテスト休みに入った。「これでいつでもカモーン!」ときーちゃん。あれ?旦那がいる時って言ってなかった?笑
「閏年やで。29日に生まれたらおもろいなwww」と電話する度に旦那が言うけど…。おもろい。だけで我が子の誕生日決めないで。
検診の時、旦那が居てる時は旦那に連れて行ってもらってマハルは真ちゃんが見てくれる。臨月直前から毎週検診を言い渡されてから真ちゃんが送ってくれて、ホント何から何までお世話になります。
毎週検診って、臨月入ってからじゃなかったかしら?と思っていたらわりと順調過ぎてしっかり育ってくれてるそうで、先生は「何ならもう産まれても大丈夫ねー♪」旦那が居てる時に!ときーちゃんに洗脳をお願いしなければとコッソリ思ったり。真ちゃんは夜の晩酌をやめていつでも車を出せるようにしてくれた。「大丈夫!ビールは全部おっちゃんにあげたから!いつでもいいよ!」ときーちゃん。おっちゃんとはお弟子さん。だから、旦那が居てる時って言ってなかったっけ?笑

2月最終週になって旦那が来た。いつでも産まれて大丈夫だそうですよ。と伝えると「休み取ってきて良かった」と言う。有給を全て使った上、育休まで取ってきたそうで。「育休制度あったっけ?」「店長が取らせてくれた」Viva!中小企業。笑ありがた過ぎて泣けてくるわ。でも大人1人いきなり増えたら迷惑じゃないかと思っていたら、しっかり事前に真ちゃんに相談してたそう。早く言ってよね。
「何か、懐かしいねー♪」夕食中、きーちゃんが言う。ホントだねー。マハルも同じ食卓でしっかり食べるようになってるけど、前と同じ。ただ氣になるのは、マハルはきーちゃんが食べさせるとイヤイヤ言わずにちゃんとご飯を食べること。かーちゃん、拗ねるわよ。まあ、おかげでものすごく楽させて貰ってるから拗ねないけど、帰った後が思いやられる。
「マハルくん、食べへんの?きーちゃん悲しい」マハルがよそ見したり立ち上がり出すと、出るきーちゃんの必殺技。泣き真似し出すとマハルはダッシュで着席して、きーちゃんの顔を涙を拭こうとする。小さいなりに大好きなきーちゃんが泣くのは嫌みたい。かーちゃんもこの必殺技使ったら、ちゃんと食べるようになるかしら。

マハルが寝た後、旦那はまだ1階のリビングに居てるから私もおりる。「何で美樹の方が飲んでんのかしらね」旦那一人で飲んでる。あなたが父親でしょう。この飲兵衛が。
きーちゃんと真ちゃんは、床に大きな紙を広げて何かをしてる。「すごろく?」「ちょっと違うー」てか、短いスカートで寝転びなさんな。「パンツ見えるよ!」「中にドロワーズ履いてるから大丈夫ー」とスカートを大胆にめくるきーちゃん。「よしなさい。」と真ちゃんにたしなめられてるし。
この2人、夜な夜なよく分からないことしてる。大きな布の上にろうそくや食器を並べて演奏してたり、プラネタリウムを作ってたこともあったな。工作だけじゃなくて、メタルだったりグラムロックだったりV系なコスプレを始めたり。あれは驚いた。けど、つけまつげバシバシで超ロン毛で派手派手のグラムな真ちゃんが意外と似合ってて笑った。V系コスプレ(?)なお姫さまきーちゃんはやっぱり可愛かった。曰く「話してたらやってみたくなっちゃった」ホント、この2人の溢れる創造性はよく分からない。きーちゃんの創造性に付き合って一緒にやってるのか、真ちゃんもノリノリでやってるのかすらわからない。
今日はすごろくみたいなもの?よく見るとすごろくではなくて、大きな紙に何か描いてる。地図みたいな線だったり、記号だったり。と思ったら、またきーちゃんいきなりスイッチ入って寝てるし!いつ見てもその早さに驚くわ。
5分位したら起きるんちゃうか?と言うので毛布を取りに行く。そういや、きーちゃんたちの寝室初めて入るわ。寝室も和モダンな感じでおしゃれー。地窓とかいいなー。ふと、5分位で起きるなら小さいきーちゃん出てくるんじゃないかと氣付いた。旦那、最近はちょいちょい来てるけど、ちゃんと小さいきーちゃんをちゃんと見てないからびっくりするんじゃない?早く戻らなきゃ真ちゃんぶん殴られるんじゃないかと心配なって急いで戻る。でも真ちゃんは飲んでないから大丈夫か。まだきーちゃんは起きてなくて一安心。
少ししてきーちゃんが半分起きる。起きてそのまま紙に何かを描き始める。今度は何かかわいい動物みたいな絵を描いている。雰囲氣は小さいきーちゃんだけど、違うのかな。「明後日はパーティだね♪」と言いながら不思議な絵を描く。言われてみたらパーティのような絵。明後日?何かあったっけ?しばらく絵を描いてきーちゃんはいきなり眠たいと真ちゃんの膝に座る。「明日の夜はお出かけしたらあかんで」「そうなん?」「だから、お昼いっぱいオヤツ用意しなきゃね」「オヤツだけかいwww昼間買いに行こうな」「だから今日は乾杯していいよー」ものすごい空中戦だけど真ちゃんは普通に会話してる。私も旦那も置いていかれてるんですけど。「明日の夜から何があるの?」「知らん」知らんのかい!何かあるのかと思ったわ。
「きーちゃん、いつもこんな感じだっけ?」思った通り旦那は若干戸惑いを隠しきれていない。「たまに小さいモード入るよ」「マハルと変わらん感じやな」驚きはしてるけど、真ちゃんをぶん殴りに行かなくて良かったわ。笑そう言われると小さいモードのきーちゃんってホントに幼児みたいな雰囲氣になる不思議。「今日乾杯していいってさ、明後日生まれるってことちゃうの?」と旦那。「それなら明後日が乾杯でしょ」「ちゃうやん、真弥は今日飲んでへんやんか」なるほど。何か納得したけど、飲み仲間欲しいだけじゃないでしょうね。旦那は冷蔵庫からビールを取ってきて真ちゃんに渡すけど、飲まさない方がいいと思うなー。また眉間のシワ濃くなるよ?
20分もしたら、思った通り旦那は眉間にシワを寄せて結構怖い顔してる。お酒の力ってすごいよね。いくらオヤジの睨みが効いてても真ちゃんには効いていなくて、逆に煽ってるんじゃないかってくらい。きーちゃんも小さいきーちゃんモードで全然嫌がらないから、絶対真ちゃん調子乗ってるわ。だから目のやり場に困るって。よくまあ、人前でそこまで出来るわね。変なところで感心するわ。
時計を見ると、そろそろ一度マハルが起きそうな時間だった。「ホラ、今日はこれくらいにして上行こうよ」と旦那に声をかける。「きーちゃんも連れてくで」「何でよ。ちゃんときーちゃん部屋あるから」酔った真ちゃんの所にきーちゃんを置いておくのが心配らしいけど、酔っ払いに付き合いきれないのでスルーしておくことにして上の部屋に戻った。
本当に明後日生まれるんだろうか。そんな予兆ないけど。

翌朝、マハルを連れてリビングに行くと昨日の場所で2人が寝ていた。あのままここで寝たようだ。毛布にプラスして掛け布団もかけてるから、取りに行ったならちゃんとベッドで寝たらいいのに。
エアコンで暖かいのかきーちゃんパーカー脱いでるし、旦那が起きてきたら卒倒するかもしれないわ。
朝食の支度中、マハルはきーちゃんの所へ行って起こそうとしてる。きーちゃんはまだ眠たいらしく、そのままマハルをお布団の中に入れてしまった。不意打ちでマハルのパンチと頭突きをくらった真ちゃんの方が先に起きた。「当たり前やけどさ、日に日に攻撃力増してへんか?」と真ちゃん。ホント、うちの息子が申し訳ない。
「あの格好はあかんやろ!嫁入り前やぞ」と起きてきてきーちゃんの格好を見た旦那が何故か私に言ってくる。「もう嫁に行ってるようなもんだからいいじゃない」「かーさん、何とか言ってやりなさいな」時々とーさんモードに入る旦那はめんどくさい。

昨日の「明後日」発言をしたこと、きーちゃんは覚えてなかった。けど、何故か旦那が真に受けて今日色々準備しておこうと言い出す。いやー、たまにお腹張るけど普段通りよ?
真ちゃんときーちゃんの2人は片付けないといけない仕事があると言うので、旦那とマハルの3人でお買い物。
マハルの時の餃子事件が効いているのか買い物に行くと何か食べたいものはあるかと旦那に確認された。けど、今はそこまでこれ!っての無いんだけどなぁ。昨日、きーちゃんが「オヤツいっぱい買っとかなきゃ」と言っていたから旦那はこれでもかとオヤツを買い込んでいる。本当に明日なのかしら。と意識するとなんだかお腹が張ってる氣がしてきた。
けど、まだ産まれるかも!とは全く感じない。
帰るとちょうどお客さんがあったみたいで、母屋から真ちゃんときーちゃんが出て来てお客さんを見送っていた。アンティークドールみたいな別珍のワンピースがかわいい。きーちゃん、真ちゃんのお手伝いする時はわりとかっちりしたアンティークな感じのお人形さんみたいな格好してるよね。「浮世離れした感じのがそれっぽいやろwww」と真ちゃん。形から入るのも大事。と言うけど、絶対真ちゃんの好みだからってだけな氣がする。
きーちゃんの服は基本一緒に買いに行って、お仕事の時に着る服は真ちゃんが選んでるらしい。「これがまた似合ってかわいいから、次々着せたくなるんやわ」とニヤケて言ってるけど、一人で言ってなさい。こういうのを着せたがるとか真ちゃんの趣味ってちょっと屈折してるよね。と密かに思ったり。バリバリのV系バンギャルなきーちゃんは喜んで着ているから需要と供給が合致するってことだろう。けど、クリーニング代凄いことになりそう。と思ってしまう私は庶民だな。

きーちゃんはその格好のままマハルと遊んでくれるから見てる私がヒヤヒヤする。「きーちゃん着替えなくてええんか?」と聞いてくる旦那は庶民仲間だな。
お仕事が立て込むとこっちで生活するだけあって、こっちの家ではきーちゃんは今で言う「甘ロリ」とか「姫ロリ」とか「ゴスロリ」が基本な格好が多い。何もない時やパジャマも控えめながらそんな系統。お人形さんみたいだったり、レースは必須的な。うん、やっぱ真ちゃん屈折してるな。オフィシャルにスポンサー契約をしたというか、面倒見るようになって真ちゃんの趣味が前面に押し出されたのかしら。真ちゃんがこんなレースたくさんな甘いお姫さまが好きなんて知らなかったわ。今まで真ちゃんが付き合う子って普通に今風な感じの子が多かったし。そもそも、年上ばっかと付き合ってたイメージだわ。人間って変わるもんだねー。