Story 62.アキちゃん。

話は少し戻り3月。
「いつの間に建て替えてん!入った瞬間家間違えたかと思った」子供達が寝静まった夜に響く騒がしい声。「兄ちゃん!!おかえりー」固まる一同と反して嬉しそうに立ち上がるきーちゃん。「他人の家に来たらお邪魔します。やろ」アキちゃんの所に行こうとするきーちゃんを捕獲して真ちゃんが言う。「そうでしたな、当代さんのお宅でしたな」きーちゃんを挟んでアキちゃん真ちゃんの睨み合い。超氣まずいんですけど。
「キリエ、隠し事をせんのはええ事やで。素直な所はキリエのええ所やけどな、何でコイツに言うねん」と頭を抱えてしまう真ちゃん。何故アキちゃんが登場したかというと、帰国を知らせる為きーちゃんに電話したら、次男出産でわたし達がお邪魔してることを聞いてお祝いに来てくれた。とのこと。「ええやんな、可愛いきぃに逢いに来て何が悪いねんな」とアキちゃんはきーちゃんの髪を撫でて言う。イカツイ兄弟に挟まれてきーちゃん居心地悪そう。苦笑してる。あなた達、ホントきーちゃん大好きね。更に旦那が冷たい視線をアキちゃんに送ってるものだからホントきーちゃんに同情する。
「きぃ、あの話考えたか?」あの話?もしかして…「兄ちゃんがわたしのこと考えて言ってくれたのはとっても嬉しいけどね、やっぱりここで真ちゃんと居る」きーちゃんははっきりとした口調で答えた。「何でや?あっちの方がずっときぃは生きやすいはずやで?」「うん、とっても行ってみたいって思うけど、真ちゃんと離れて暮らさないといけないなら私はここがいい。せっかく整えてくれたのにごめんなさい。兄ちゃんありがと」やっぱりまだあの話は生きていたんだ。「分かった。真弥に飽きたら言いや。すぐ迎えに来るからな」と言ってアキちゃんは立ち上がって鞄を持った。「もう行くん?」きーちゃんも追いかける。「返事聞きに来ただけやし。あ、美樹とキリコの顔も見に来たただけやし」今、ものすごいオマケ感がしたんだけど。何なら私たちのこと忘れてたでしょ。「人生初やで、フラれたんwww勿体ないと思わん?」と笑うアキちゃん。私に言わないで。「行って来るなー。良い子にしとくんやでー」アキちゃんはいつものように言ってきーちゃんの額にキスしようとするけど、真ちゃんが素早く阻止する。「行ってきますの挨拶くらいええやんか」「永遠に帰ってくんな」何だ、変わらないね。「行ってらっしゃーい。氣を付けてね」きーちゃんと私で玄関までお見送り。「行ってくるなー」とアキちゃんが再びきーちゃんに近づくけど、無意識に私がきーちゃんをガードしてしまった。「キリコまでなんやねんな」いや、条件反射ってやつ?アキちゃんは迎えの車に乗るとすぐに出てしまった。ホント、不思議なヤツだな。
きーちゃんは疲れたと言ってすぐに寝室へ行ってしまった。「さっきのアキラの話って例のあれか?」旦那が真ちゃんに聞く。やっぱり旦那もそう感じたのね。
新しい生活を始めてからもきーちゃんはアキちゃんとの手紙のやり取りを続けていて、アキちゃんも相変わらず時々きーちゃんの様子を見に帰ってきていたとのこと。アキちゃんは所属している団体の人と年末にきーちゃんに会いに来て「きーちゃんを受け入れる準備が出来た」と話をしに来た。その時真ちゃんも同席して詳しく話を聞いたそう。シェア生活をしていた時、家主なはずなのに顔を出すだけでほとんど家を空けていたのは、団体できーちゃんを受け入れることを決められるポジションになる為に拠点を移したからだった。高校進学を決めてここで変わらず生活をすることになっても、アキちゃんはきーちゃんをいつでも呼び寄せられるようにと準備を進めていたんだ。
「何でアキラはそこまでしてきーちゃんを呼ぼうとしとってんな」旦那の質問に真ちゃんは黙ってしまった。「キリエが、どんな力を持っているか理解してるから」とだけ言うと黙ってしまった。前に違和感を感じたきーちゃんを崇拝するかのような言い方。あれはただ受け取った私の想像力が足りないだけだった。真ちゃん曰く「アキラはキリエを崇拝してる。異常に見えるかもしれんけどこれはホンマやわ」私や旦那はきーちゃんのことを自分の娘のように言っている。血が繋がって居なくてもきーちゃんや真ちゃんを家族だと思っている。いわば対等の人間として捉えているけど、アキちゃんの場合は対等に捉えていないらしい。そういえば、きーちゃんが望むなら忠誠を誓って一生を捧げるとも言ってた。その言葉を聞いて映画の観すぎだよと思ったけど、あれはおそらく本心だろうと言った。今、きーちゃんの持つ力は本来のもの全てを使いこなしているわけではないという。
「アキちゃんが帰って来るたびにきーちゃんにたくさんお土産持って帰ってきてたのって、その為?」普通の生活では使わないであろうものが多かった。どちらかと言うと、オカルトじみたというか。単にアキちゃんの変わった趣味かと思っていたけど、あの不思議なものたちはきーちゃんが興味を持ってその力を保てるように。「やっぱり過ごす環境って重要でな…」現代の社会でそう言った類の生活を送るにはなかなかハードルが高い。これは仕方の無いことだけど、きーちゃんのように不思議な力を持つ人は一般に普通だと言われる生活は困難だ。それは一緒に暮らしていた短い間でも分かる。その困難を抱えながらもこの社会で生きていられるように過ごしていくとやっぱりその感覚は少しづつ退化していわゆる普通になっていく。鋭いままでは生きていけないから。普通になるだけならまだ良い方で、大抵の場合はそれまでの人生で経験したことが精神的に大きなダメージとなって、それを抱えながら生きていかなきゃいけないことになる。
けど、こう言った私たちから見れば特殊だと思う力はこれからは特に必要となる。アキちゃんは手助けできる所にいるきーちゃんの力を今以上に使えるようにしなければ今、自分がきーちゃんの前にいる意味が無い。きーちゃんはこれからの時代に本当の姿でいなければいけない人間だと言い切っていたそう。そして、きーちゃんを迎えようとしているアキちゃんの居る団体の人達もそう捉えているらしい。ただ、団体の人の話を聞くと、アキちゃんが崇拝していたとしても団体としては崇拝する為に招くのではなく、きーちゃんが一個人としてあるべき姿で生きていけるよう、お互いが助け合って生きていく為だと言った。真ちゃんもアキちゃんと同じように感じていて、だからこそ家業を手伝うようにきーちゃんに頼んでいると言う。
「人によってはそんな新興宗教みたいな…って捉えるかもしれんけど、これに関してはアキラと同意見やねん」アキちゃんは完全に社会から隔離してでも、その時が来るまできーちゃんの力を全て使いこなしていける環境で過ごす方が良いと思うし、実際それが許される場所がある、自分がそのためにきーちゃんを守ると言う意見。真ちゃんは日常とすり合わせながら力を使えるようにしていく方が良いと言う意見。こればっかりはどちらが正解とは言えないから、きーちゃんに自身どう思うのかを尋ねたらしい。そして、きーちゃんの答えは今日アキちゃんに伝えたものだった。きーちゃんは真ちゃんに話がそこまで壮大なものだとは思わなかったし、自分にそれだけの価値を見出して貰えるのは嬉しいけど自分自身では全く思えないし想像も付かない。ただ、真ちゃんと一緒に居たいと思う。こうやって仕事を手伝わせて貰うことで自分が役に立つのなら続けたいと言ったそう。
たしかに壮大過ぎる話だわ。高校生の女の子には受け止めきれないだろう。私ですら別世界の観念で理解できない。けど、これからの時代にきーちゃんのような感覚が必要となって行って、きーちゃんの力がその時代を生きるために必要であると言うのは何となく理解出来る氣がする。前に私のお役目、きーちゃんのお役目について考えたけど、きーちゃんがきーちゃんの本来の能力を以て必要とされる所に居ることがきーちゃんのお役目なんだと思う。

翌日、真ちゃんときーちゃんは仕事に出た。昼過ぎにアキちゃんが再びやってきた。「ホラ、祝いって言うて来たのに何もしてへんかったから」とアキちゃんは色々とプレゼントを渡してくれた。お氣遣いありがとうございます。「あのさ、なんで拠点移してまできーちゃんを呼ぼうとしたん?」昨日聞いた話で氣になることを聞くことにした。「何でって要る?理由」相変わらずの調子で聞き返すアキちゃん。「しかも呼ぶかどうか決められるポジションになって準備出来たってわざわざ話に来たって…」「きぃはお喋りやなー。内緒やでって言ったのに。やっぱりキリコは特別やな」と笑う。きーちゃんが話したと思ってるんだ。訂正するのはやめとこう。「だって、氣に入った子は手元に置きたいやんか。それに生きるのが辛そうやった。なら、辛くない相応しい所があるならそこで過ごした方がええと思わん?俺ら2人揃ってええ事だらけやんか」「だから呼べるように準備したの?けどきーちゃんは行かないって」「せやん、何やっけ本末転倒ってヤツ?」とアキちゃんが笑った。「ちょうど居らんくて良かったわ。昨日フラれたとこやのに顔合わせるん氣まずいやん」氣まずいなんて単語ないでしょ。「じゃあなー」いつもの飄々とした調子でアキちゃんは帰って行った。
昨日聞いた話とアキちゃんの言葉だけじゃモヤモヤとしたものは晴れなかった。これは多分私自身の興味もある。むしろ好奇心しか無いかもしれないけどなぜかスッキリしなくて氣になって仕方なかった。
きーちゃんの持つ感覚と力。かぁ。アキちゃん達が言うように、きーちゃん本来の姿でそれを使いこなすこと。必要だろうとは感じるものの、「何故」を言語化するのは難しいし、そしてあの2人がそこまでになるのはどうしてなのか。ただの恋愛感情とはまた違うのだろうか。
その日の夜、リビングに降りるときーちゃんは手芸セットを広げて制作中だった。「真ちゃんは?」「母屋の方で調べ物してるよー。多分戻って来るの明け方かも。いつも夢中になっちゃって呼びに行かないと明け方になるから」と笑う。なんだか忙しいのね。良い機会?「昨日アキちゃんが言ってた話だけどさ」ホント好奇心。「話?」「単に氣になったからのことだから言いづらいならいいんだけど…」「あー、ねーさんにどこまで聞いて貰ってたっけー?」あ、教えてくれる感じ?
きーちゃんは制作の手を止めてお茶を淹れてくれた。「お茶会♪お茶会♪」と嬉しそうに歌う。私の隣に座る。
「えっとね、何から話したらいいかなー」「アキちゃんがきーちゃんに改めて一緒に外国に行こうって誘ったって聞いたんだけど合ってる?」質問していった方が話しやすいかな?「うん、ずっと前からね言ってくれてたやん。あれ、改めて考えてみないかって」
初めてその話を持ちかけられたのはシェア生活を始めた次の年の夏。ちょうど海に行った後、きーちゃんが1人で寝るようになった頃、アキちゃんがふらっと帰ってきた時だそう。「その時はね、すごく行きたいって思った。けど、みんなとも一緒に居たいし、でもシードラゴンの所に帰らなきゃって思ってたし、外国は怖いなーって思ったから悩んだ」あの時、よくウッドデッキに出ていたのはこの事もあったのかな。
「兄ちゃんはね、最初から私の話を全部信じてくれたし、他には?ってたくさん聴いてくれた。聴いて『よく頑張ったな』って。兄ちゃんもね、その頃の私くらいの時にこっちに来て同じようにみんなの前から居なかったんだって。だからね、とっても分かるって。だからね、私が悲しくない自然で居られる場所に一緒に行く?って。同じような人がたくさん居てる所があるんだよって。最初は軽い感じだったけど、2年生の夏にちゃんと言われた」
きーちゃんが自分の感覚の話をアキちゃんにしたのは引っ越ししてすぐの頃。アキちゃんが仕事関係の知り合いからコンサートのチケットを譲って貰ったからときーちゃんを連れて出かけた時らしい。それまでのやり取りできーちゃんの不思議な感覚のことに氣付いていたらしいアキちゃんに確認されたのがきっかけだと言った。
初めてね、みんなの中に居なかった人と会ったし、消えてしまってる間、寂しいのによく頑張ったねって分かってくれてすごく嬉しかった。
「ねーさん達がそうってわけじゃないし、全然大切にしてくれてたけど、もしまた何かのきっかけがあって自分はみんなの前から消えてしまうかもしれない。って不安がずっと消えないのも分かってくれた」だから、「何があってもお互いの存在を消してしまわない」と約束したそう。「きぃはかわいい。きぃはここに居る」と言ってきぃはここに存在してる。この世界にきぃは居てもいい。と会う度に言ってくれた。
「えっとね、ちょっと戻っちゃうんだけど…」初めて一緒に祝ったお誕生日でアキちゃんが帰ってきた時。アキちゃんはきーちゃんに「きちんと迎えられるようにするから」と言って海外へ拠点を移すことを伝えた。「向こうで一緒に居てる人たちに私が迎えてもらえるようにするから、もうしばらく待っててな。って」どういうことかと尋ねると、ある一定のクラスになると新しく人を迎える為の手続きなんかが楽になるらしい。その辺りは、特に秘密が多くてきーちゃんも詳しくは教えて貰えずこんな感じで聞いたという。「本当はね、時々帰ってくるのも大変だったみたいなんだけど、私がまた消えてしまわないかって不安になってないかって心配で帰って来てしまうんだって」一瞬だけ帰ってくることがあったのはそれが理由だったのかな。
「帰ってくるたびにカヴンの話をしてくれるねん。この人はこんな人で、こんなことが得意だよって。きぃはこう言うの好きやから聞いたら教えてくれるよって」カヴンとはアキちゃんが所属する団体のこと。きーちゃんが向こうに行って、人見知りしないようにきーちゃんと話が合いそうな人のことを色々教えてくれて、その話を聞くたびにきーちゃんはカヴンへの想いを募らせて行ったらしい。「この話はまだねーさん達にも絶対内緒って言ってたから、みんなが知ってたのはびっくりした」
アキちゃんが一度連れて行くと言った時、カヴンへ行ってみたいという氣持ちと言葉が通じない上にアキちゃん以外知っている人が居ない状況と、自分がアキちゃんにカヴンへ連れて行ってもらうと言ってしまったら私たちが「ようやく解放された」と自分のことが要らなくなってしまうんじゃないかと言った色んな想いが出てきて苦しかったと言う。やっぱりその頃のきーちゃんの中には私たちに迷惑をかけているという氣持ちがあったんだ。
いざ、行くと本当に心地の良い場所だった。アキちゃんはカヴンの中でもアキちゃんが信頼している言葉が通じる人を何人か近くにおいてくれたし、言葉が通じないなりに同じ想いをしたことがある人が居て、自分の話を興味深く聞いてくれて肯定してくれた。知りたかったことを惜しみなく教えてくれた。不思議なことにカヴンで過ごしている間、自分が存在することは周りに迷惑をかけてしまっているという後ろめたさを感じることがなかった。だから、アキちゃんの誘いにのって春からカヴンに行きたいと思った。「けどね、帰る日が近くなるでしょ?そしたらね、早くねーさん達に会いたいって、何をしてもねーさんだったらこんなこと言いそうだとか浮かんできて、まだ帰れないのかなって我慢できなくなってきちゃった」自分が居て迷惑をかけているのは重々承知しているけど、やっぱり私たちが住む家でみんなで暮らしたいと思う。けど、自分の存在について悩まずに居られるカヴンで自分が興味のあることを専門的に学ぶことも魅力的だった。そこでみんなが『おばあちゃん』と言って慕うお婆さんにその氣持ちを素直に話したんだって。おばあちゃんは「ここにはいつだって来ることが出来る。だから向こうで今しか出来ないことをやってごらん」と言ってくれた。自分が居て迷惑をかけているかもしれないと思うのはこれは仕方のないこと。時間をかけてその想いを溶かしていけば良い。けど、時にはそう思うことによって相手は寂しくなってしまうことがあることも覚えていてね。とも言ってくれた。その時はその意味が理解出来なかったけど、ようやく最近腑に落ちてきたと言う。

「でね、この間の年末にちょっと時間取れないか?って連絡来てん」真ちゃんの言ってたことか。「真ちゃんが一緒に来てくれて兄ちゃんと会った時に、ようやく兄ちゃんはその言ってた階級までなれたからおいでって誘ってくれたん。一緒に来てた人もね、『歓迎するよ、待っていたよ』って」
多分、もう1年早かったらすぐに行きたいと言ってアキちゃんについて行っていたと思う。ときーちゃんは笑った。
「けどね、もうね私は真ちゃんと一緒に居たくてここで居てもいいって思ったからその場でごめんなさいって言ったん」アキちゃんは急なことだからもう少し考えてみたら良いと言ってその日は別れたそう。
「帰りにね、真ちゃんに『行ってしまうんか?』って聞かれた」きーちゃんは「真ちゃんとここに居たいから兄ちゃんの所にもシードラゴンの所にも行かない」と答えたそう。そして、今までのアキちゃんとのやりとりを教えてと言われてそれこそ一番初めから全部話した。だからアキちゃんはきーちゃんが私に話したと思ったんだ。
あまりにも非日常な話。現実感が全くなく、そもそもカヴンというアキちゃんが所属する団体すら何かの物語のよう。けど、昼間のアキちゃんの言葉やきーちゃんの話は嘘だと思えなかった。それこそ異次元のレベルの思考をしたアキちゃん。だから私たちが理解しきれないけど、アキちゃんなりにきーちゃんの事を想っていたんじゃないかと思った。他人には経験したことの無いような思いをした2人の約束。だから、アキちゃんが帰ってきて私たちの方が警戒していたのにきーちゃんはいつもと同じようにアキちゃんと接していた。「自分が存在する」と確認し合う約束のため。
「もしかしたら、私が兄ちゃんと喋るのはみんなが嫌な氣持ちになってたり心配してくれたりするんじゃないのかな?って思うこともあるねん」けど、やっぱり兄ちゃんは好きだし、約束したから距離を置く方が良いのかもしれないけど、それは出来ないんだ。と呟いた。
「この事を私たち知らなかったからね、不安になったし心配してた」私の言葉にきーちゃんは「ごめんなさい」と言った。「けどね、昨日きーちゃんがちゃんとアキちゃんに伝えてるのを見たからもう不安になったり心配したりはしないよ」これは本当だった。「ありがと」ときーちゃんは笑った。
余りにも別世界過ぎて、フィクションのようにすら感じてしまう。けど、これを嘘だと言ったとしてもきーちゃん達にとっては本当の話なんだよね。現実離れした話を聞いて、混乱していたのも事実。きーちゃんがあんなにしっかりとここに居ると言ったことが嬉しかったのも事実。

「キリコまだ起きとったん」本を何冊も持って真ちゃんが現れた。「そうなの夜のお茶会してるねん。真ちゃんもいかが?」と言ってお茶を淹れに行くきーちゃんを微笑ましく見た。