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Story 63.真ちゃんちの子。
真ちゃんときーちゃんが仕事で不在の間、加奈子が会いに来てくれた。
最初は家主不在なのに友達呼ぶのはどうかと思ったけど、きーちゃん達はバンドのメンバーだし全然構わないと言ってもらったので息抜きになった。これもきーちゃんが加奈子に「学校行ってる間、会いに行ってー」と頼んでくれたんだって。天使過ぎる。
きーちゃん以外社会人のメンバーでライブは2、3ヶ月に一回位しか出来ないけど、楽しいらしい。いいなー。久しぶりにライブしたいわ。
去年のきーちゃんの誕生日にバースデーライブしようと思ったら、直前に加奈子とドラムの子が立て続けにインフルエンザにかかって結局出来なくて、その日のライブはきーちゃんと真ちゃんの2人でやったらしい。これは聞いてなかった。「ヒカルってば鍵盤できるって知らなかったった!」と興奮氣味な加奈子。「バースデーライブ、内緒で計画してたから紫ちゃんは全く氣付いてなかったんだけどね。やりたかったー」内緒で計画とか、何その楽しそうな計画。
「今年リベンジするよ!」えー、ずるいー。私も出たい。「出る?って遠いしお子ら居るから練習そんなに出来んかー。マハールだけじゃないもんねー」加奈子、さっきから人の呼び方が相変わらず自由過ぎる。「出たいー!セットリスト送ってくれたら自主練する」「当日マハールたち、預かってくれる託児所探すよ?」加奈子もノリノリで。「まず、旦那に了解を取るんだ!」と言われ、仕事中かもと思いつつも電話をかける。
旦那に話をすると最初は絶句したものの「全然いいで」と言ってくれて、むしろ「楽しそうで羨ましいわ」と言ってる。「旦那も出たらいいやんか。それこそ超面白くない?パーティの時キリコめちゃびっくりしてたやん」確かに、心臓が止まるくらいびっくりした。「ドラム出来るの知らなかったわー」「中学の時吹奏楽部だったからかなー。よく知らないんだよね」全く部活風景見たことなかったし、吹奏楽部にドラムが入ることすら知らなかったから本当にびっくりした。「出来るなら出てもらおうよ。だってお子たち託児所預けるから当日フリーやん」再び旦那に電話。休憩中で良かった。
「何年ブランクあると思ってるねん」と言っていたけど、加奈子が一曲だけ死ぬ氣で練習して!と言うと乗ってきた。
ざっくりな計画は去年と同じにしたらいけそうだから…と加奈子がプランを立てだす。「旦那は一曲これは大トリだね」話をしてた会場は、私がパーティしたところ。さすが話が早いな。「対バンはね、向こうでブッキングしてもらうから誰が出るか微妙なんだよねー。でも、馴染みのとこに声かけてくれるって言ってたから今回も行けると思う」
肝心の曲だよねー。きーちゃんの好きな曲がいいよね。「加奈子たちが決めてくれて曲教えてくれたらコピーするけど?」なんか、それがいい氣がする。「でも、ドラムの子に会ったことないけど」「一回位、顔合わさなきゃダメよね」その話をしてる時、真ちゃんが帰宅。「ヒカル、ナイスタイミング」「だから、なんでヒカルやねん」「現代の光の君だからって何回言ったら覚えんの」加奈子とすっかり馴染んでるよね。タマキにミルクをあげてる間に加奈子がざっくりと今の話をしてくれる。「えー、またインフルエンザなるんちゃうん」「あれは、本当ごめんって。大丈夫!今度はホント氣をつけるから」「美樹もラスト一曲だけ入るよ」「マジで?出来んの?」これには驚いてる。「ホンマ、インフルエンザなるなよ!」インフルエンザにこだわるな。よっぽど直前に2人でやるってなったのトラウマになってるんだろうか。
「で、曲だよ、曲。」「その前にマサキに言わなあかんやん」「ヒカル信者なんやし、ヒカルが言うたら一発でしょ」加奈子によると、ドラムのマサキくんは真ちゃんのファンというかまさに信者と言うくらい尊敬しまくっているきーちゃんの3歳上の男の子だとか。「あんた、若い子らとやってんのね」思わず加奈子に言っちゃったわ。「氣は若いから違和感ないよwww」
「あ、ラストこれにしようや」と真ちゃんがCDをかける。聞いたことある!サビで聞いたことある曲だと氣付いたけど、超甘い!甘すぎる。これ、本人らがやるとカッコいいけど、コピーだと恥ずかしくない?てか、きーちゃんの誕生日でしょ?きーちゃんへの曲でしょ?「選曲公私混同激しすぎ!」「そう?キリエ今めっちゃハマってるで」旦那もこのアーティストなら知ってるし、ハマってるなら良いけどさ。この曲出たばっかりだから譜面なんかないよね。やるか。
当日のきーちゃんの衣装は加奈子が用意してくれることに。「任せといて!」と心強い。なんだか楽しくなってきた。
きーちゃんが留守の間CDを延々と聞いて覚える。ただ、鍵盤が欲しいー。実際に弾きたい。「あるで」と真ちゃん。「母屋にピアノならあるけど。調律もやってるから使えるで」「早く言ってよー」ただし練習はきーちゃんの居ない日中のみ。おばあちゃまは、練習中タマキをあやしてくれたりみてくれて練習に集中できたけどおばあちゃままで巻き込んでしまった。時々おばあちゃまのリクエストに応えて弾くと喜んでもらえて嬉しい。
日中、練習したり、この楽しすぎる計画のおかげで情緒不安定はどこかに行ってしまった。きーちゃんにも全くバレていない。
加奈子がきーちゃんに上手いこと言ってくれて、初めてドラムのマサキくんに会えた。いやー、若いわ。若さが輝いてるわ。加奈子が信者と言う通り、真ちゃんをホント尊敬しているようで面白い。マサキくんはきーちゃんの事を「姫」と呼んでいた。真ちゃんをリスペクトするあまり、その真ちゃんが溺愛しているきーちゃんだからなのかと思ったら「純粋に姫っぽくないっすか?なんやろ、雰囲氣とか。カナちゃんに言ったら現代の紫の上だから姫君で良いよって」と言っていた。マサキくん、よく分かってる。そうだよね、きーちゃんって姫だよね。と盛り上がった。そのきーちゃんは「私が姫さまなんておこがましくて申し訳ないって言ってるのに…」と何故か恐縮していた。きーちゃんらしいよね。
そんなことをしていたら、氣付けば4月の後半に差し掛かってしまう。ああ、もうすぐ戻らなきゃいけない。
マハルの赤ちゃん返りはマシになったものの、まだ家にきーちゃんが居ると後をついて回っている。時々私は母親失格ではないかと落ち込んだりしたけど、練習で没頭して息抜きになる時間が出来たせいか「今、めっちゃ楽させてもらってるし良いか」と考えが変わってきた。地元に戻った時がちょっと恐怖だけど。それでも、夜寝る時はきーちゃんが居なくても寝るようになったし夜泣きする回数が減ったから助かる。退院当初、もしきーちゃんたちが居なかったらと思うとホント恐ろしい。
マハルが落ち着いてきて、きーちゃんはまた真ちゃんの仕事を本格的に手伝うようになった。やっぱり私たちが居ることが相当負担をかけてしまっていたようで、仕事から帰ってくると疲れは見えるものの目の輝きが違っていた。
5月の連休に入る直前に旦那が来た。「きーちゃん連れてどっか出かけておいでや」と旦那。旦那も相当きーちゃんに申し訳ないと思っているみたい。きーちゃんを誘うと、その意図を汲んでくれたらしいけど「私は全然楽しかったから大丈夫よ」と遠慮する。「私がきーちゃんと遊びに行きたいから行こうよー」と根氣強く誘い、ようやくオーケーしてくれた。
買い物もいいけど、京都観光をしてみることに。前日どこを回るかガイドブックを見ながら計画を立てるのも楽しい。
当日は、下鴨神社まで真ちゃんに送ってもらって京都観光スタート。下鴨神社神社から電車で四条まで行って八坂神社へ参る予定が、話しながら歩いているとかなり近くまで来ていてそれもまた楽しかった。意外と歩けるものなのね。観光と言いながら、下鴨神社と八坂神社へお参りした後は新京極周辺でショッピングになったんだけど。お友達と時々ショッピングに来ているらしく、おススメのお店でランチをした後、よく行くお店に連れて行ってもらった。一軒はアクセサリーのお店できーちゃんは店員さんと仲良し。そこできーちゃんは真ちゃんにピアスのお土産を買う。私にもピアスをプレゼントしてくれる。「私も開けたいねんけどなー」ときーちゃん。「あければいいじゃん」「痛くない?」「大丈夫よー」何か意を決したらしいきーちゃんはピアッサーを買おうとしているから、目立たないタイプのピアッサーをプレゼントした。「プレゼント交換だねー♡」と嬉しそう。
「美樹ちゃんには何がいいかなー」もしかしてみんなにお土産買うつもり?「美樹は木刀でいいよ。修学旅行土産っぽいやん」とけしかけたら本当に買いそうになってるから本氣でとめる。結局、2人で考えたけど京都観光土産らしいものが分からず新撰組の羽織にした。新撰組から連想でマハルにはおもちゃの刀。おばあちゃまには和風なポーチ、弟子さんには生八ツ橋。先生にはキーホルダー。全部「京都を観光してきました」感があるかで決めた。なので、真ちゃんへのお土産が「観光して来ました」感が薄いから真ちゃんへも旦那とお揃いの新撰組の羽織も買った。きーちゃんはそしたら日本刀もあった方がカッコいいよ。とお土産の日本刀の形したオブジェを指差すけど、特に旦那に持たせたらオブジェでも酔った真ちゃんに切り掛かり事件になりかねないので、事件予防にマハルと同じおもちゃの刀もつけておいた。
「結構疲れたねー」帰りも真ちゃんに迎えに来てもらう予定で電話したら、1時間ほど待つことになったのでお茶をすることにした。「ホント楽しかったー♡ありがとーー」きーちゃんがニコニコで嬉しい。こっちに来てる間、ホントきーちゃんが居なかったら大変だった。「ありがとー」はこっちだわ。待ってる間は、きーちゃんの最近の話を聞いてみた。
加奈子たちとやってるバンドのこと。バンドやってるおかげで友達が増えたと嬉しそうに話す。加奈子から聞いた連続インフルエンザでライブ中止の危機も聞いてみた。ライブ5日前に加奈子がインフルエンザにかかって加奈子だけ欠席でやるかと言っていたら翌日マサキくんもインフルエンザに。今更キャンセルするのマズイ!とセットリストを変更したそう。そら大変だ。めちゃ不安だったー。と言うきーちゃんがかわいい。きーちゃんのライブ行きたいわ。(って年末観ることになるけど)衣装と当日のヘアメイクは毎回加奈子がやってくれるらしい。「いろんな格好が出来て楽しいよ♪」と本当に楽しそうに言う。「今度ね、加奈ちゃんのショーに出してもらうねん」それは、ホント見に行きたい。加奈子そんなこと一言も言ってなかったじゃない。
「そういえばさ、真ちゃんと色々行ってるでしょ?あれ、どんな基準で場所決めてるの?」きーちゃんからの手紙に入ってる写真は明らかにいろんな場所。「あれね、真ちゃんの仕事についていくでしょ?その帰りにちょっと寄り道して帰ってるから色んな所に連れてってもらってるねん」相変わらず厩戸皇子が大好きで、奈良にもよく行ってるらしい。仕事のお手伝いって言うから大変かと思ったらデートも兼ねてるのね。
家のリフォームについても聞いてみた。元々離れをリフォームしたいと話していた所に私の里帰りが決まったから決行したそう。前のままだとゆっくりするの難しいから。ときーちゃん。家具もほぼ真ちゃんが選んだらしい。「私、散らかし専門だから」と笑うきーちゃんはやっぱりかわいい。
「真ちゃんちの子になれるかも」ん?ここに来てめっちゃ興味ある話が。真ちゃんが来るまでに色々聞けるかしら。最初に聞きたかった。一瞬高校生なってすぐとか早くない?と思ったけど、今更この2人は年齢とか関係なさそうだしな。
ん?ちょっと待って。今、私普通に結婚するのかと思ったけど、真ちゃんちの子になるって何か表現おかしいよね。わざわざ養子縁組?誰と?真ちゃんと?それなら入籍した方が早いよね。おばあちゃまとってこと?
「真ちゃんちの子になるってさ、真ちゃんのお嫁さんになるの?子供になるの?」と直球で聞いてみた。「え?真ちゃんちの子になるのってお嫁さんか子供になるの?」と、きーちゃん。
え?しばらく止まる時間。
「真ちゃんちの子になるんでしょ?」「うん」「私は真ちゃんのお嫁さんになるもんだと思ったけど、それなら『真ちゃんちの子』とは言わないからどっちかなーと思って」「どっちだろ。そこまで考えてなかった」おいおい。なんか、うん、きーちゃんだわ。「じゃあ、真ちゃんちの子になるってどう真ちゃんちの子になるつもりだったの?」「え?今と変わらないけど名前が真ちゃんちの名前になるだけやと思ってた」
ポカーンとしてしまった。真ちゃん、仮にプロポーズしたとして伝わってないよ。仮に養子縁組のつもりだったら、相手によってはものすごくややこしくなる伝え方よ。
いや、私がややこしく考えて混乱させてしまっただけかもしれない。よし、私も混乱してるから一回整理をしよう。
その話が出た成り行きを聞くことにした。
おうちを継ぐことになって、真ちゃんがおばあちゃま達と養子縁組したのが4月。これは知ってる。一緒に住んでた時だ。その後、私達が引っ越して真ちゃんが泊まり仕事の時にきーちゃん1人になるからその時はおばあちゃまのいる実家で居ることになってこれがハイツと実家を行き来するきっかけ。
おばあちゃまの家で真ちゃんやおばあちゃまの手伝いをしてたら、家に来たお客さんたちが「早く身を固めて奥さん(おばあちゃま)たち安心させないと」って真ちゃんによく言ってたらしい。まあ、居るよね、そんなお節介おじさんおばさんたち。そんな中、真ちゃんの奥さんにどうですか?と娘さんを推す人がいて熱心に仲人さんをするって人と何度も通ってきたんだって。
これが7月で、ちょうど義父が亡くなって、葬儀のお手伝いに来てくれた頃。葬儀が終わった夜、いつもより拗ねてたのはそれもあって心中複雑になってたらしい。たまに会う姪が真ちゃんと四六時中一緒に居るのを見て、それだけでも嫌なのにお嫁さんに貰うってことは毎日それを見なきゃいけないか、自分は出て行くかってことだと考えたら、どうしても嫌。どちらかと言うと出て行く方が有力だろうと思うと自分はやっぱり1人なんだと思ってしまったきーちゃん。「もうね、ホント考えただけで悲しかった」と窓の外を見ながら言う。「でも私を学校行かさないとあかんし、他所からお嫁さん貰ってる暇なんてないって」
「それはいつ?」「夏だよ」「私とマハルできーちゃんち行った時くらい?」「あれびっくりしたー。バイトしてたら来たお客さんがねーさんとマハルくんだったもん」危ない、話が脱線する。「あの時の前?後?」「えーっと、後だ。お誕生日の直前。プレゼント何がいいか聞いた時だから」よし、話の脱線防止したわ。
誕生日プレゼントの希望を聞いたら、きーちゃんがここに居ることが良いって。きーちゃんを「引き換えに他所から嫁さんなんていらん。だからここに居って」と宣ったそうで。よくもまあ、そんな歯の浮きそうなこと言えるわ。絶対その時飲んでたと思うわ。
そんなこと言ってもそれは高校通ってる間だけの話だときーちゃんは受け取ったらしくて。どこまでネガティブな…。「だから高校行ってる間だけ我慢してねって」どうしたらそこまでネガティブになれるのか。
学校に通わせて貰ってることや生活全般を面倒見てもらってることにやっぱり負い目を感じていたきーちゃん。そんなきーちゃんに真ちゃんは「家族だったらそんな事を思わない?家族だと思ってたけど、家族だって思えないならホンマに家族になりませんか?」と伝えたんだって。
急に言われても悩むだろうからすぐに決めなくても良いけど、真ちゃんがそう思ってること留めておいて。といわれた。
やるな。けど、詰めが甘い!きーちゃんには遠回しな表現は通じない。そこはちゃんと「結婚したいと思ってる」とか「きーちゃんがお嫁さんやで」とか分かるように直球で返さなきゃ。だからきーちゃんは「真ちゃんちの子」って言ったんだよー。もどかしいー。
で、その話の後、例のお客さんが仲人希望の人といらして熱心に娘さんを勧める。おばあちゃまも真ちゃんもすぐにお断りしていたけど、きーちゃんはやっぱりショックだったらしい。ネガティブ娘のきーちゃんは、真ちゃんがきーちゃんに本当の家族にならないか?と伝えていたにもかかわらず不安になってしまった。
お断りしてるけど、その人たちは何度か訪ねてきて娘さん激推しする。「お父さんお母さんが自分の子供を自慢の娘ですからって言うの。自分の子供の事自慢です。って言ってくれる両親ってすごいやん?そんな親が自慢する人だったら絶対ちゃんとしてるやん」
そう思ったら、真ちゃんがああ言ってたけどそれは真ちゃんが優しいから自分に氣を使って言ってるだけじゃないかと思い始めちゃったネガティブ娘。
けど真ちゃんは、おばあちゃまにきーちゃんが「決めたらそのつもりだから、またその類の話持ってこられても断るから」って言ったそうで。そしたら、おばあちゃまも「きいちゃんならいつでも歓迎するし、きいちゃん以外迎えないから安心して」と言ってくれたって嬉しそうに言う。
自分がここに居ていいとようやく思ったきーちゃんは「もっとおうちの手伝いをしなきゃ」と思って更に手伝うようになったんだって。
おばあちゃまも色々と教えてくれるようになって実家で過ごす方が長くなって来たし、そうなると週2回程度とは言えバイトしながらだと結構ハードだからその辺りからバイトを辞めて実家の方に来たらいいとおばあちゃま。通学が大変なら転校してもいいと言われたけど「今の学校が楽しいし友達も居るからこの高校で卒業したい」とハイツと実家と行き来する生活を卒業まで続けることに。バイトも友達も出来て楽しかったし人が足りないからなかなか辞められなかったらしい。
リフォームについてもう一段詳しく聞くと、台風で修理が必要な被害があって修理をしようとなったけど、私たちの滞在も決まっていたし家の中も古いからリフォームしてしまおうと真ちゃんとおばあちゃまが決めたんだって。後で真ちゃんに聞くと、リフォーム前の家でなかなか複雑な思い出があるから跡形なく変えてしまえば心機一転出来るかも。と全面リフォームしてしまったらしい。庶民には分からない感覚です。「初めてお家に入る時ね、「ここが私たちの家やで」って一緒に鍵を開けさせてくれたん」と笑うきーちゃんは本当に嬉しそうだった。
そんな事があり、きーちゃんは「自分はここに居ていい」と自信が持てるようになったと。だから、お盆休みに姪が襲来しても反撃できたし余裕であの子達が外で真ちゃんに買い物に付き合えとうるさいから真ちゃんに行ってきてあげてと言えたみたい。「大丈夫だと思ってたけど、来ると思ってない時だったから過呼吸なっちゃって私もまだまだだねー」と言うけど、すごい成長だと思うよ。人間、確信持てると強くなるんだねー。と感心してしまう。
ここまでの話をまとめると、養子縁組ってことではなさそうだ。しまったなー。きーちゃんにその言葉だと「真ちゃんの子供として」っていう選択肢もあるって言っちゃったみたいなものだ。やらかし。真ちゃんの言った意味は単に真ちゃんちの子になるっていうのではなくて、お嫁さんにきーちゃんがなるってことだよ。って教えても良いのかしら。
真ちゃんが待ち合わせ場所に来るのが少し遅れたお陰で、何とか結論まで聞き出せた。真ちゃんと落ち合う前に、「真ちゃんが迎えに行ったから、合流したらお礼も兼ねて食事に行っておいで」と旦那から電話がかかってきた。旦那からも改めてお礼するつもりだけど、まず食事でもしたら良いかと思ったらしい。それ、いいね。ってことで、「晩御飯食べておいでって」ときーちゃんに伝えると、きーちゃんはマハル達を氣にしてくれた。「美樹に任せて大丈夫だよ。今日は私もリフレッシュする日だから」と言うと安心して喜んでくれた。
真ちゃんと合流して、旦那からご飯食べて帰っておいでと言われた事を伝えるときーちゃんと同じようにマハル達を心配してくれた。優しい家族を持って幸せだよ。同じように私のリフレッシュも兼ねてるし、せめて食事くらいはさせてと言うと乗ってくれて、きーちゃんが氣に入ってるというお店に電話してくれた。「予約無しでいけたで」と真ちゃんが言うときーちゃん大喜び。予約が必要なお店なの?お財布の中身大丈夫かしら?と一瞬心配して、まあ、カード持ってるから足りなきゃ使えばいいか。と思った私は一般庶民の主婦です。
連れて行ってくれたお店は、春に真ちゃんがお家を継ぐというお披露目お食事会をしたお店。また来れるとは思わなかったわ。こういうお店の相場なんて知らないから、カードの限界超えたらどうしようと不安になる庶民。笑何度か行ってるようで、きーちゃんも慣れた感じでお店の人と和やかに話している。可愛い妹が遠い世界の人のようだ。
「ねーさん、何がいい?今日はねーさんのお祝いだから好きなの言って♪」部屋に案内されると、きーちゃんが言う。いやいやいや、私のお祝いじゃなくて我が家からのお礼だってば。
「キリコの希望聞くのがええねんけど、店によって後からキリエが倒れるから慣れたところでごめんやで」と真ちゃんが謝ってくれるけど。いや、全然大丈夫です。連れてきて貰わなかったら、自分ではよう行かないお店ですから。
店によってきーちゃんが倒れるってどういうことだろう。そのまま聞いちゃえ。
使ってる食材か客層かは分からないけど、フラッと入るとたまに帰ってきてからお腹が痛いと言ったり、胃痙攣おこしたり、熱を出したりと体調を崩すらしい。「やっぱめんどくさいよなぁ」ときーちゃん。そこはやっぱり氣にするポイントなのね。「敏感なきーちゃんが倒れるってことは、何かしら人に影響があるってことでしょ?じゃあ、きーちゃんが大丈夫なら安心ってことだからいいじゃない」「そう?」「そうだと思うけどな」きーちゃん、ちょっと嬉しそう。良かった。
好きなの選んでいいって言われても何がいいか分からないから、選んでもらうことにした。アルコールも行けば?と言われたけど、しばらく飲んでないから自重することに。飲兵衛なうちの旦那とは違うのだよ。
お食事会の時、最後の方は慣れて味わったけど慣れるまで緊張し過ぎて味が分からなかったのよね。今日は3人だけだし、スペシャルな氣分。
きーちゃんが氣に入ってるからって、普通にこういうお店に来る真ちゃんって本当何者?付き合いはそこそこ長いけど、時間の経過と共に謎が深まる。
食事中も、会話が弾む。本当楽しい。行っておいでと言ってくれた旦那に感謝だわ。
食事が終わると、お店の人が包みを持ってきてくれた。「これは?」「美樹の分と、婆たちのとこに土産」なるほど。てか、伝票来ないけど?伝票の無いシステムなのかしら。庶民だからわからん!包みを受け取ると、真ちゃんときーちゃんはお礼を言って普通にお店を出ようとする。「お会計いつするの?」焦って真ちゃんに聞くと、もう済ませた。と返ってきた。いつの間に!!「店着いた時。予算伝えて、その分先払った。キリコが思いの外飲んだ場合は追加やと思ってたけどなwww」と笑う真ちゃん。「飲まへんとか、しんどいんか?連れ回しすぎた?」どんな心配の仕方よ。どんだけ酒好きだと思ってたのよ。
車に乗ると、きーちゃんは眠いと言って一番後ろの席へ行って毛布にくるまって寝てしまった。相変わらず、寝るの早いなぁ。
ちょうど良いから、きーちゃんが「真ちゃんちの子になれるかも」って言ってた件について、恐らく真意が伝わっていない可能性があることを言ってみた。「もしかして、そうなんじゃ無いかと…」思ってたんかい。「ちゃんと修正して、直球で行かなきゃ、絶対に通じないでしょ。」まあ、そんなに焦らなくても、もう変な思い込みは出てこないとは思うけど。「最初、養子縁組するのかと思ったわ」「なんでやねんwww」でも、それを言ってからきーちゃんは落ち着いたようだから結果オーライと笑ってた。
また近いうちにちゃんと伝える。って言ってたけど、大丈夫かしら。無駄にやきもきしてしまうわ。
帰宅して、きーちゃんからお土産を受け取った旦那は新撰組の羽織ってベタやなーと笑いながらも早速袖を通す。意外と似合うね。マハルと同じ刀のおもちゃを持つと一氣にコントっぽくなる。「美樹とお揃いとか」と言いながらも来てくれる真ちゃん。2人が並ぶと「ショートコント、新撰組」とか言い出しそう。
車の中で寝ていたけど、相当疲れたようできーちゃんはリビングでうとうと始める。真ちゃんが飲み始めて、いつものようにきーちゃんに絡むもんだから「うちの可愛い娘の寝込みを襲うな」とおもちゃ刀で真ちゃんを斬る。木刀にしなくて良かった。それに反撃する真ちゃん。マハルもそれを見て刀を振り回す。やだ、玩具の刀でも男子3人に渡したら危険すぎた。マハルに斬られてきーちゃんが起きる。ホントごめん。きーちゃんが起きたのを良いことに真ちゃんがさっき以上にきーちゃんに絡むもんだから、旦那はまた真ちゃんを斬り、それを見たマハルも真似して真ちゃんは我が家の男子にめった斬りされてる。ホント、男子に刀は危険。さりげなく、帰る時置いて帰ろうかな。でも、それも楽しくてきーちゃんもケラケラ笑う。
連休中日。いよいよ帰る日。言っていたように、きーちゃん達も一緒に来てくれて最終日まで2泊してくれることに。おばあちゃまに挨拶に行くと、「また絶対顔見せてね。楽しかったわ」と言ってもらった。ピアノを弾かせてもらったうえ、その間タマキを見てくれたおかげで私はずいぶん精神的に安定できた。本当にありがたかった。
真ちゃんの車にベビーシート2台取り付けて我が家が真ちゃんの車で、荷物を乗せた我が家の車に真ちゃんときーちゃん。
途中、マハルやタマキのピットインで休憩が多くて早朝に出発したのに帰ると夜になっていた。お弁当を途中で買って良かった。お弁当を食べて、真ちゃんがリビングでマハルのお氣に入りとなったすべり台を組み立ててくれている時、義姉と姪襲来。なんのアンテナ付いてるの。きーちゃん大丈夫かと様子を見るとマハルと遊んでくれている。お祝いに来てくれたらしい。その氣持ちは嬉しいけど出来れば前以て連絡をいただけたら幸いです。
義姉達が来てくれてるから、私たちは話してて。ときーちゃんはタマキ、マハルと立て続けにお風呂に入れてくれる。タマキとマハルを迎えに行く時に、休憩。あかん、イライラし過ぎてタバコ復活しそうだわ。「きーちゃん、大丈夫?ごめんね」マハルを迎えに行ってきーちゃんに声をかけた。「大丈夫よー。ありがとー♡」と返事がある。マハルが上がったタイミングで、旦那が強めにマハルも寝かさないとあかんし私も疲れてるからと義姉と姪を帰してくれた。「なんやねん、もう。ご近所付き合い考え直したい…」頭を抱える旦那。お向かいの家の奥さんが義姉と仲良しで、今日帰ってきたのを見て義姉に連絡したらしい。田舎、怖い。結局、わりと近所のマンションを購入した義姉達はすぐにうちに来たらしい。いつものように、姪は真ちゃんがお氣に入りのようですべり台を組み立ててくれてるというのにずっと横で何か話していた。マジで、大阪戻れば良かったかも。
長距離移動で疲れたようで、きーちゃんに抱っこされなくてもマハルはすぐにぐっすりと寝てしまった。久しぶりに帰ってきて、旦那も氣が抜けたのか真ちゃんを誘って早速ビールを飲みまくってるし。手元に自分とマハルの刀を置いてるのが面白い。いつでも斬り捨てられるようにしてるつもり?
酔っ払いに付き合うと面倒なので私ときーちゃんは奥の座敷、きーちゃん達に泊まってもらう部屋に移動した。きーちゃんはお弁当を買った時に一緒に買ったアイスを食べる。「本当、大丈夫?」「マハルくんが来るまでの間にしっかり浸かってたからだと思うー。抱っこしてる時フラッとしなくて良かった」と笑うきーちゃん。単にそれだけかな?と一瞬思ったけど、今回は本当にこれが理由らしい。姪がやっぱりつきまとっていた件については、「あれだけ話しかけられて真ちゃんよく組み立て出来たよね」と笑う。やっぱり、人間強くなるのね。
「ねーさんいてる間に聞いていい?」ときーちゃん。「いいよ」「お嫁さんって何すんの?」今日、車の中で真ちゃんは「真ちゃんちの子」になる件についてもう一歩踏み込んできーちゃんに言ったようで。この間、言っといてよかったかも。とホッとしたけど、その質問よ。笑あー、でも改めて聞かれると自分も一応お嫁さんな立場だけどよく分からないな。「んーー、何も。いつも通りのきーちゃんで居たらいいと思うよ。何かして欲しかったら真ちゃんやおばあちゃまがこれしてって言ってくれると思うし」正直、真ちゃんのお家のことは分からないし、そこはおばあちゃまが教えてくれるだろう。
「決めたの?」「んーー。何したら良いか分かんないしちゃんと出来るかも分からないからなぁ。真ちゃんちの子にはなりたいけど」そのまま伝えたらいいと思うよ。とだけ言っておいた。
正直、こんなに早く娘を嫁にやる話をするとは。旦那は卒倒するんじゃなかろうか。笑でも、一番良い氣がする。今までの中できーちゃんの懸念事項だった、誘拐だと通報されてしまうことも消えるだろうし。絶対無いと思うけどね。
もしかしたら、誕生日ライブが結婚式ライブになるとか?それいいな。と自分のことじゃないけど想像したら楽しくなってきた。内緒の計画、成功させたいな。
その後は、車中で真ちゃんはどんなことを言ってたのかを聞き出した。これは単なる私の好奇心。真ちゃんってちょっと変わってるけど、きーちゃんのことを大切に思って色々と考えてるってことが伝わってきた。ライブの選曲、恥ずかしくなるくらい甘い歌だけど、有りだなと思ったり。
それに、きーちゃんもはっきり聞いたことで自分に自信がつくかな。と思った。
早くちゃんと返事したらいいのに。怖いとーさんは、かーちゃんに任せろ。まあ、一発くらいは真ちゃん殴られるかもしんないけどね。