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Another story67-1.忘れたこと。
此岸と彼岸。
夢を見て、目が覚めてを繰り返す。
たくさんの私の記憶。
私が私になる前の私。
ある時の私の側にはねーさんが居た。
またある時は美樹ちゃんも居た。
そして、真ちゃんも居た。
みんな私を大切にしてくれた。
今の私の側には大好きなみんなが一緒に同じ時に居る。
こんなに嬉しいことはない。
なんでこんなに嬉しくて幸せなことを思い出せなかったんだろ。
もっと早く思い出していたら、一緒に住んでいる時からもっと大事に時間を過ごしたのにな。
朝陽が眩しい。
たくさん寝た氣がする。
たくさん夢を見てた氣がする。
夢なのか、現実なのか。
それも分からないけど。
でも、この世界が現実だ。
手に何かがあたる。
「おはよう」
大好きな優しい私の友達。
ぼぼちゃんがぴょんぴょん飛び跳ねる。
視界の隅で何かが動く。
金魚のような、金魚よりも大きくキラキラしてる。
「おはよー」
金魚は3匹。
くるくると空中を泳ぐ。
金魚と一緒にリボンも泳いでる。なんだか綺麗。
その光景に何だか心が躍る。
ぼぼちゃんはぴょんぴょん飛び跳ねてドアの前。
早く部屋を出ようと言ってる。
部屋を出てぼぼちゃんの後をついて行くと突き当たりにまたドアがある。
ぼぼちゃんはドアの前で一回転すると消える。
少し緊張するけど、そのドアの向こうは優しい氣がする。
ドアを開けると真ちゃんとねーさんが並んで立ってこっちを見てた。
「どーしたん?」
何でそんな驚いた顔をしてるんだろう。
「おはよーーー」
ねーさんにダッシュしてハグ。
ねーさんの香り、大好き。
「きーちゃん、おはよーー。でも着替えなきゃダメじゃん」と言いながらもねーさんはハグし返してくれる。
「真ちゃんおはよーー」
真ちゃんにハグするけど、真ちゃんは何故か一時停止してる。
そんなに嫌だった?
ちょっとショック。
「着替えてご飯食べてしまいますよ」
一時停止が解けた真ちゃんは私を担いで寝室へ。
「さっき起きたばっかなのにー」
クローゼットが寝室だから仕方ないけど、なんだろう、双六でスタートに戻った感じと似てる。
けど、目に映る空氣がキラキラしてとっても嬉しい。
真ちゃんがお仕事に行ってる間お散歩に行ったり、ねーさんが母屋でピアノを弾いてくれて一緒に歌ったり。
何年も姿を見ることができなかったいろんなモノ達にも会えるようになって、楽しくて、穏やかな時間。
「今どんな話をしてた?」
お散歩してる時、風や草が話しかけてくるとねーさんはこう聞いてくれた。
私が言うことを「ウソ」だと言わないで聞いてくれるのが嬉しい。
「きいちゃん、疲れたんちゃう?ちょっと休憩しよか」
筆を置くとおばあちゃんが言った。
少し前、兄ちゃんが急にやって来て、真ちゃんは3人で大人だけの話があると言ったので私はおばあちゃんの所でお習字をすることになった。
「だいぶ整ってきたなぁ」
書き上げた文字を見ておばあちゃんが言った。
文字で自分の状態が分かるとお習字を続けたけど、ここしばらくは自分の思った文字が書けて居なかったから少し安心した。
「おばあちゃん、私このままちゃんと私で居られるかな?」
文字が整って来たと言うことは、多分私のバランスが取れて来たってことだろう。
けど、前みたいに自分が勝手に真ちゃんを怖がって、勝手に体が動いて勝手に想いと違うことを話したりするなんてことにならないのか、まだ心配だった。
「ちょっと休憩しよか、美味しいお菓子もろたの」
おばあちゃんはお茶とお菓子を用意してくれた。
「多分な、大丈夫やでって言うても、きぃちゃん自身が大丈夫やって思えないと不安は拭われへん。きぃちゃんはどうしたい?きぃちゃんで居りたいって思う?」
おばあちゃんの問いにすぐに頷いた。
おそらく少し前の私だったら悩んでいたかもしれない。
「氣休めにしかならんけどな、婆は大丈夫やと思ってるで。今の返事、今までのきぃちゃんよりもずっときぃちゃんの心が入ってた」
私の心?
「きぃちゃんが心の奥底から居りたいって。ちゃんと伝わってきた。だから大丈夫」
おばあちゃんは「また鏡子の話やって言うかもしれんけどね…」と話だした。
鏡子さんはずっと自分がこの力を持って居なかったとしたら誰にも必要とされない。自分に普通とは違う力があるからここに居ることが出来るだけだ。と言って力を持っていなかったとしても自分のことを見てくれる人が現れるのを夢見ていた。
居なくなる1年くらい前、事故に遭ってしまって私と同じように臥せってしまった。
そして、私と同じように「自分じゃない自分が居る」と言うようになった。
「その時はな『大丈夫、鏡子は鏡子やから』って言い続けててな。それが正しいと思って疑わなかった」
けど、少しずつ普段の鏡子さんとは別の鏡子さんが現れるようになった。
おばあちゃんはお世話をする為に鏡子さんについていたと言う。
「別の鏡子やっていう時はな、不思議なことに持っていた力が強くなってて」
お家の人や近しい人はそれを「神がかり」だと言って鏡子さんを更に頼るようになって行った。
「けど、ややこしい時代でな。『神がかり』がおきることは内緒にしてないとあかんかってん。きいちゃんは聞いたことあるかな?」
昔、新興宗教がたくさん生まれた頃。いろんな流派や教えが生まれた。
「うちがずっとこんなお役目をしているって近しい人達は知ってた。だからな、宗教として神がかりがおきる鏡子を祀りあげてしまおうと言う人もあってなぁ」
当時の当代さんであるお母さんはその話に乗ろうとした。けど、お父さんは「うちのお役目から外れる」と言って反対したそう。
「そこでちょっとしたお家騒動やわ」と笑った。
当の鏡子さんは、神がかりが起きるのは自分ではない。やっぱりこの力が無ければ自分の価値は無くなる。
自分が存在するだけでいいと思う生活をしたい。
こんな思いをしながら生きていくのは辛い。事故に遭った時に死んでしまったら良かった。と泣くようになった。
「どんな姿であろうが、力があろうが無かろうが鏡子には変わりない。私の妹だと思ってたし、私なりに伝えてたつもりなんやけどね、鏡子自身、そう思えなかったんやろうね」
「別の鏡子さん」である時間が増えていった。
ある日、鏡子さんの意識が戻った時に「紅葉狩りがしたい」とおばあちゃんに言った。
おばあちゃんとご両親、そして側近の人たちと近くの渓谷へ紅葉狩りへ行って「散策してくる」と言ったきり鏡子さんは姿を消した。
長い時間をかけて探したけど、見つからなかった。
「これは想像でしかないし、私の願望やねんけど」
鏡子さんは自分自身を生きる為に行動に出たんだろう。と言葉を続けた。
「鏡子は『神がかり』を望んでなかった。当代として跡を継ぐことも望んでなかった。1人の人として生きたいと言っていた」
その後どうなったのか、もちろん分からない。もしかしたら山の中で生涯を終えたのかもしれないし、望み通り自分の人生を生きているのかもしれない。
せめて、自分が納得する選択であったと思いたい。と静かに言った。
「きぃちゃんも一緒。私たちが言ってきぃちゃんが落ち着くならいくらでもきぃちゃんは居なくならん。きぃちゃんはきぃちゃんやって言う。仮にどんな姿になろうがきぃちゃんはきぃちゃんやって思ってる。けど、いくら外が言うてもきぃちゃん自身が揺らいでいたらその言葉は何の意味もないの」
だから、どんなことになろうが、別の自分が居ると思ってしまったとしても、自分はここに居るんだと強く確信してほしいと言った。
「きぃちゃんはよく『自分は何もできない』って言うてるやん。それでもいいの。ただきぃちゃんがここに居てることが大事なん。何かを為そうとしなくてもいいの」
「迷惑かけてるだけでも?」と聞くとおばあちゃんは静かに笑った。
「手がかかる子の方が可愛いって言うやろ」
なんか、似たようなこと真ちゃんも言ってたな。
「少しずつ出来ること増やせば良いよ。今はこうやって仇為すものに食われずに帰ってきた。そしてここにきぃちゃんで居りたいって思ってる。それでいいよ」
おばあちゃんの声は優しかった。
「自分がどうしたいか。不安になったら、それを自分自身に聞いてみたらええね」
自分がどうしたいか。
ずっと問い続けていたつもりだけど、多分違ったんだろう。
「きぃちゃんみたいな生い立ちの子はな、どうしても自分が生まれたことに負い目を持っていたり、幸せになってはいけないと自分を追い詰めたりしやすいの。そこでそのまま自分がかわいそうだと甘やかしたり拗ね続けて過ごすのもひとつの答え。少しでも自分が自分の人生を生きることが出来るように。と色々とやってみるのもひとつの答え。本当はどうしたいか。きぃちゃんはずっとどうしたいって思ってた?」
私は…。
シードラゴンと来世へ行きたいって思ってた。
「それはなんで?」
私も生まれてきて幸せだと思って欲しかった。
私を見てくれる人が欲しかった。
一緒に笑って欲しかった。
透明人間になんてなりたくなかった。
「すごいね」や「かわいいね」って褒めて欲しかった。
今日あったことをたくさん話しながらご飯を食べたかった。
怖い時、寂しい時、手を差し出して欲しかった。
「あ…」
全部、真ちゃんやねーさん、美樹ちゃんがしてくれてた。
「やっぱり、私、迷惑かけてたとしてもここに居たい。全部、あった」
なんだろう、散らかってたものがすとんと片付いたみたいな感じ。
「腑に落ちたんやろね」とおばあちゃんは笑った。
「きーちゃん、明日帰るね」
夜、美樹ちゃんに電話しに行っていたねーさんがリビングに戻ってくると言った。
そうだ。ねーさんが居てくれるのが当たり前のように思ってたけど、ここはねーさんのお家じゃない。
「またすぐ会える?」
「会える会える。今度はきーちゃん達がうちにおいで」
寂しいけど、私がねーさんを独り占めしちゃいけないもんね。
「今日一緒に寝ていい?」
「いいよーー。一緒に寝よう。寝る前に真ちゃんのオヤツも食べちゃおう」
仕事から帰ってきた真ちゃんに「今日はねーさんと寝るね」と言うと「どんだけ仲良しやねん」と呆れられてしまった。
とっても仲良しでねーさんが大好きだから仕方ない。
真ちゃんが寝たのを確認して夜中のお茶会。
ねーさんは何種類ものハーブをブレンドしたボトルを作ってくれる。
「これがね、ハッピーで寝られない時でしょ」
と言って見せてくれるボトルにはオレンジ色のタグ。
「こっちが何だか心がざわざわして寝られない時」こっちのボトルは青色のタグ。
「これは風邪ひきさんね」黄色のタグ。
「こっちは何だか疲れたなーな時でしょ、こっちは真ちゃんが飲みすぎた時ね」と言って笑う。
「ねーさん、魔法使いみたい」
「これはね、きーちゃんがもーっと可愛くなる魔法使いのスペシャルプリンセスブレンド♪」
プリンセスブレンドのハーブティーを2人で飲んでオヤツを食べて、とっても幸せ。
明日帰ってしまうのがとっても名残惜しくて外が明るくなりだすまでお喋りした。
お昼過ぎまで2人揃って寝てたから、起きたら真ちゃんに「夜更かしし過ぎ」って怒られちゃった。
「たまにはいいもんねー」と笑うねーさんの顔がとっても好き。
準備が出来て車に乗るねーさん。
「きーちゃん、またね。早く体力戻るように約束守ってね。で、真ちゃんと会いに来てね」
と言って指切りする。
昨夜、ハーブティーのブレンドを作りながらまたお出かけ出来るくらい元氣になる為の約束をした。
真ちゃんの言うことを聞く。
何でも真ちゃんに話す。
真ちゃんの言うことを信じる。
しんどくなったらすぐ休む。
夜はきちんと寝て、朝日を浴びる。
歩ける時は外に出てお散歩する。
お風呂はゆっくりつかる。
「小さい子とのお約束みたいだけど、今のきーちゃんにはとっても大事なことだからね」とねーさんが言った。
ねーさんの車が見えなくなるまで見送る。
ついさっき指切り出来るくらい近くに居たのに、もう見えなくなってしまった。
涙が止まらなくなるのと同時に雨が降ってくるなんて出来すぎてる。
家に入るとさっきまでねーさんが居て明るかったリビングが急に暗く寂しく感じる。
「キリコは蛍光灯かwww」と言って真ちゃんは笑うけど 涙が止まるまで横に居てくれた。
「こっちに郵便入ってたよ」とおばあちゃんが封筒を持ってきてくれた。
受け取って見ると学校からだった。
学校!!
すっかり忘れてた。
急いでカレンダーを見る。
6月の終わりになっていた。
何でこんなに時間が経ってるの?
4月に3年生になって、私、中間テスト受けたっけ?
3年生になって仲のいい子達と離れたのは覚えてる。
あれ?学校あるのになんでこっちの家に居てる?
ねーさんが来てくれてたのはどれくらいだっけ?
何でねーさん1人で来てくれてた?
当たり前のようにこっちのお家で過ごしてたけど、学校ある日は向こうの家で生活してたよね。
夏の制服をこっちの家に持ってくるか、長袖のブラウスしか着ないからスカートだけ持って来ておけば問題ないかって話してた。
ってことは、やっぱり3年生になってからも向こうの家に居た。
いつこっちの家に来た?
心がざわざわとして、息苦しくなってきた。
どっかの週末こっちに来たタイミングでずっとこの家に居てた?ねーさんが来てくれるから?
違うよね、マハルくん達が居るのに何でこんな長い間ねーさんは居てくれたんだっけ?
息が思うように出来なくなってきて、目眩がし始める。
けど、思考が止まらない。
何で私、夏休みでもないのに学校に行ってない?
最後に学校に行ったのはいつ?
時間を戻してみる。
3年生になってすぐの学力テストが返ってきて担任の先生は「これだけ取れたら好きな所が選べるからゆっくり考えて」と言ってくれた。
来月の三者面談の時に聞くからって。
三者面談した?してない。
何で?
時間を戻してゆっくり進めるたびに息がしづらくなるし心臓が痛くなる。
けど、そんなことを言ってる場合じゃない。
せっかく真ちゃんが学校に行かせてくれてるのに、なんでこんなに長い間学校を休んでしまってるんだろう?
「キリエ?」
「私、何で学校休んでたっけ?行ってないよね?何でこっちに来てたんだっけ…」
心臓の音が体中で鳴って、息が苦しい。
「学校の心配せんでいいから落ち着いて。ワタシの声聞こえる?」
私が頷いたのを確認して真ちゃんはソファーに連れて行ってくれる。
「ええか?今はまず呼吸するのだけ考えて」
真ちゃんの言葉は聞こえてるし、言ってることも分かるのに、心がざわざわして思考は止まらない。
そして、呼吸に意識しようとすればするほど勝手に頭の中はゆっくりこの家に居る理由を探す。
学校に通うのがここからだと大変だからって、向こうの家も残して貰ってたのに。
いつ、こっちで完全に生活し始めた? 何で?
「キリエ、こっち見て。大丈夫やから」
思い出せない。
心臓の音がまた大きくなって、自分の呼吸する音も頭の中で反響し始める。
真ちゃんが私を呼んでる声が遠くでする。
思考は止まらない。
覚えてる最後、鍵を開けながら真ちゃんと電話してた。
心臓の音がする度に痛み始めて、息が一段としづらくなる。
家に入った瞬間、タイムスリップはブラックアウトして、心臓の音と呼吸する音がする。
苦しい。
息が出来ない。
手足が痺れる。
氣が付くと目の前に真ちゃんが居た。
「大丈夫か?」
「真ちゃん、ごめんね、学校行かせて貰ってるのにたくさん休んでる。でも何で学校休んでこっちに居てるん?」
真ちゃんの目が一瞬泳いだ。
「大丈夫、学校は氣にせんでいい。診断書出して休みの手続きしてある」
「診断書?」
「ちょっと調子が悪くなってん。先生に診断書出して貰ったから」
調子が悪くなったの、忘れてしまった?
「また、混乱してるのかな。ワープ?」
私じゃない私が何かを言っていた。
その度に真ちゃんが弱っていってた。
また心臓の音が大きくなって自分の呼吸する音も大きくなる。
「違う、大丈夫やから」
「ごめんね、何で学校行ってないん?何でねーさんが来てくれてた?こんなに学校休んで卒業出来ない…せっかく真ちゃん学校行かせてくれてるのに」
「キリエ!」
真ちゃんの大きな声がして思考が止まる。
「いい?ゆっくり呼吸して。今はそれだけに集中して」
頷いてゆっくり呼吸をする。
「大丈夫やで、心配せんでいいから。卒業出来るようにこうやって課題出来るよう学校の先生がプリント送ってくれてるから。一緒にやろう」
それで大丈夫?
何で学校休んでる?
「キリエ、いい?聞いてや。学校はな、最悪辞めたって良い。今はな、キリエが前と同じように笑って、外に出かけたり、生活出来るようなる方が先やねん。何でも一氣に戻ろうとせんでいいし、思い出せんやったら無理に思い出そうとせんでいいから」
そう言って髪を撫でてくれる真ちゃんの声は優しい。
私は何をしてるんだろう。
何の疑問も持ってなかったけど、何年か前「大人になってしまったからもう会えなくなるね」と言った見えないモノ達が見えたり話しかけて来てる。
ぼぼちゃんだって呼べば現れてくれる。
外に行けば、風や光、その場の氣達が話しかける。
何で急にまた会えるようになった?
「真ちゃん、私、何か大事なこと忘れてる氣がする。巻き戻すのに巻き戻らへん」
自分のタイムラインが繋がらない。
今までもあった。けどこんなに長い時間が抜けることはなかった。
「忘れるくらいのことは大して大事やないで。大事なことやったらじきに思い出すから。今はキリエがこうやって居てくれてるのが一番大事やから」
『きーちゃん、これから言うことは絶対に約束。また一緒に遊ぶために大事なことだからね』
昨夜のねーさんの言葉。
『真ちゃんの言葉を信じて。真ちゃんはきーちゃんのこと一番に考えてくれてる』
ねーさんと約束した。
また、みんなで遊べるように。
ねーさんも真ちゃんも、私のことを大事に思ってくれてる。
シードラゴンは、私を「弱い子」でも「本当は強い」と言った。
私は本当に弱い。
真ちゃんやねーさんにこうやって守ってもらわないと立てない。
もう少し強くなりたい。
だから、今はねーさんとの約束。
真ちゃんの言葉を信じる。
「真ちゃん、ごめんね。もっと強くなるからね」
「キリコみたいに強くなると困るわ。今くらいが一番かわええから強くならんでええわ」と真ちゃんが笑った。