Story 71.取り巻くもの。

非日常な1日を終えて、旦那と2人で打ち上げと称して改めて用意して貰った部屋で飲む。今日のことを思い出していた。みんな本当に2人を祝福していて嬉しかった。普段のきーちゃんの様子、真ちゃんとお仕事している様子も聞けたのが大きな収穫だったかも。
前に見た『自分たちでは感知できない領域』から言葉を降ろす。きーちゃんはこれをしているらしい。真ちゃんがその降ろした言葉を分かるように通訳することもあると言っていた。だから、前も上手いこと聞きたい所を整理してくれてたのね。てっきり完全にきーちゃんが真ちゃんの助手的なポジションだと思ってたからびっくりした。
「だからね、対の当代さんはおひーさんなんやろうねって話してたんですよ」とも言っていた。当主って言うんだろうか、家長的ポジション。それを真ちゃんちでは当代さんと呼ばれていて、正式には1人ではなく2人据えるとのこと。前の当代さんはおじいちゃまとおばあちゃま。2人の力は同じレベルでなきゃいけないらしい。だから当人同士の氣持ちだけで結婚できるわけではなく、先代さんからきちんと認めてもらわないと家を継ぐことはできないとか。家を継がなければ自由らしいけど。何で真ちゃんパパを飛び越えて真ちゃんが継ぐんだろうと謎だったけど少しわかった。時々アキちゃんや先生が言ってた「当代さん」はこの事だったのかとここでスッキリ。
それに家を継ぐと決めた時、ずっと難しい顔をしていたのは、きーちゃんの進学の事だけでは無かったのかもしれない。真ちゃんはあの頃からきーちゃんと家を継ぐことを考えていたんだろうか。結果この形になったけど、きーちゃんが真ちゃんを伴侶として見なかったら、普通の女子高生のように同級生や学校で好きな子が出来たりしてたら真ちゃんの計画は成立しない。ってことだから、あの時かなりな賭けに出たってことなんだろうか。
いやいや、ちょっと待て。家を正式に継ぐって言ったのはきーちゃんが進学するかどうかの話の頃だけど、みんなで一緒に暮らし始めた頃から家の仕事も始めてたよね。てことは、その頃からきーちゃんを対の当代さんとして考えていてその準備に入ってたってこと?きーちゃんの不思議な感覚は既に小さい頃から知ってた。能力的にはきっとクリアしてたとしても、結婚するとなれば感情だって必要なはず。けど、よく考えてみたらまだまだ子供だったきーちゃんが大人になるまで待ってたってことだよね。きーちゃんの生活を面倒みるってことと同時にきーちゃんを上手に真ちゃんの好みの女の子に育てた。とも言えなくないよね。最近特に真ちゃんの好みが反映されてたっぽいし。『あと、2・3年は待てるで』と加奈子と話していた真ちゃん。あれはやっぱり本氣だったのか!!
2人の様子が変わって来たのはその言葉通り2・3年してからで。ちょうど私たちが地元に戻って2人で暮らし始めて一氣に距離が近くなった感じだった。年頃の男女が2人で生活して、その頃、すでに真ちゃんはきーちゃんのことをただ可愛いだけの感情でないと分かるくらいだったから自然な流れだろうと別に変には思わず、「真ちゃんの想いがようやく成就して良かったねー」くらいに思ってたし、きーちゃんには真ちゃん位きーちゃんの持つ感覚を理解して共有出来て何よりきーちゃんを大事にしてくれる人がいいと思ってたから安心した。
あの時、真ちゃんはきーちゃんの人生を縛ると言っていたのはこの事だったってこと?
そして、アキちゃんのこと。多分アキちゃんもアキちゃんなりにきーちゃんを想って色々と動いてたし可愛がってた。少なくともあの頃のきーちゃんにとって同じ想いを共有して分かち合える人で拠り所であったみたいだし。 けど、改めて考えたらこの兄弟、対極だわね。にしても、きーちゃんを取り巻く人間関係って何て複雑な。すごすぎ。映画か何かの物語みたい。けど、真ちゃんの計画が本当だったとしたら、したたかすぎて若干、ひく。変態にもほどがある。笑
「何、1人で難しい顔してん」「いやいや、今さ、ちょっと考えてたんだけどね」この驚愕を旦那に聞いてもらおうと話してみた。「ふーん」ふーんって。私結構衝撃だったんですけど?「それキリコの仮説やんか」そうだけども、色々と辻褄が合うというか、壮大な計画過ぎるというか。「そうやったとして、キリコがいつも言ってる全て意味があって上手いこと行くように繋がってるってヤツやないん?」あ、そうだわ。「まあ、普通で考えたら当時真弥も若かったとは言え、12やそこらの子供に対してそこまで考えてたら犯罪やな。てかヤバいヤツやな」と笑う旦那。犯罪って…。真ちゃん、実質は手を出してなかったからセーフでしょ。高校生になるまで我慢してたんだから。(いや、厳密に言うと本当は高校生でもアウトだけど、本人らの合意の元なので良しとする)「まあ、キリコが言うようにそこら辺に居るヤツやったらきーちゃんの事を理解しきれんやろし、ちょうど良かったんちゃう?変な男に蔑ろ(ないがしろ)にされるよりよっぽどマシやろ」あら。お父さんってば。「まあ、きーちゃんを上手いことモノに出来て良かったやんか。下手したらマジで変質者扱いされて捕まるところやったやんかw真弥の作戦勝ちってやつかw」その言い方よ。酷いわ、お父さん下世話よ。「まあ、ホンマ良かったんやろうな。お互いにとって」とシミジミと旦那が言った。

「何かそれっぽいな」きーちゃんから手紙が届いた。中にはパパさんが撮ってくれたという写真が入っていた。パニクって厳かな雰囲氣がどこかに行ってしまっていた3つの儀式も、とても素敵な雰囲氣。「私たちって絵になるよねー。美人姉妹的な?」旦那がこの言葉を聞いて無表情になったけど無視して自画自賛してしまう。
年明けに仕事で近くに来るらしく、寄りたいと書いてある。もちろん大歓迎。マハルに「お正月きーちゃん来るよ」と言ったら喜んでる。どうやら長男のお姫さまはきーちゃんで、保育園でお姫さまの絵を描いて「これきーちゃん」と言っているらしい。確かにきーちゃんはお姫さまみたいな格好してるもんね。
待ちに待った年明け。「きーちゃんが来る!」と朝からマハルはソワソワしながら自分のオヤツをテーブルに並べている。きーちゃんに食べてもらうらしい。いじらしいヤツ。(親バカ)
お昼前、きーちゃん達が到着。車から降りたきーちゃん、今日は巻き髪のせいかまた雰囲氣が違う。この年頃はどんどん変わるね。巻き髪でこげ茶色の別珍ワンピースに同じ布地のボンネット。マハルが見たらお姫さま確定だろうな。が、朝から待ち遠しすぎて日の出前から起きてたマハルは熟睡してしまっていた。それを伝えたらきーちゃんは「かわいいーー♡」と悶絶していた。
パーマをかけたのかと聞くと、真ちゃんが朝から巻いてくれたらしい。仕事に来てまでマメだわね。ホントムカつく位何でもやるな。2人に何か変化あるんじゃないかと思ってたりしたけど、まあ、早々変わらないか。
起きたマハルは、きーちゃんの姿を見つけて何故か照れているようで旦那の後ろに隠れてチラチラ見てる。うちの長男かわいいんだけど。「マハルくん、こっち来てよー」ときーちゃんが迎えに行って抱っこすると一人前にデレデレになってるから面白い。すぐにマイオヤツボックスを持ってきて、おもてなしを始めた。「うちの息子、モノでオンナを釣るタイプか?」と旦那。やめて、何かそれ人聞き悪い。人見知り絶賛タマキは、珍しくはしゃぐ兄を見てビビっている様子。

昨日から泊まりでお仕事に来ていたのに今日帰るとか言い出した。「泊まれないの?そのつもりだったのにー」「泊まっていいの?」きーちゃんは目をキラキラさせて言うけど、逆に何で今日帰るつもりだったの?「ねーさん良いって。お泊りさせてもらおうよー。お願い!お願い!」あ、きーちゃんの必殺技は健全だ。「誰もあかん言うてへんし。キリエが言うの忘れたって言うてたんやんか。人があかんって言ったみたいに人聞き悪いなぁ」真ちゃんに必殺技が効いたのか効いてないのか。だからっていちいちイチャイチャしなくていい。もうちょっと離れなさい。新婚さんだからって許しませんよ。両親の前では自重なさい。
きーちゃんは泊まりたいと言うのを忘れたと出かける直前に言いだしたらしい。そんなの、うちに来るって言ったら泊まるの当たり前じゃないの。むしろ(自称)両親なんだから、実家に帰ってくるノリでいいのに何で遠慮してるの。「2泊くらい居てくれると思ってたよ?」1泊だと全然ゆっくりできないし。と言うことで2泊のお泊り決定。「親切の押し売りや…」と旦那。押し売りって失礼ね。
みんなでお買い物も久しぶり。あれ?「きーちゃん、結構人居るけど大丈夫?」浮かれて忘れてた。きーちゃん、人が多いのダメだって言ってたのを思い出した。大阪より随分田舎だけどそこそこ人いるよ?「んーーー?」きーちゃんの表情が微妙に曇る。あ、ダメな予感。「大丈夫。キリコもおるから大丈夫」と真ちゃん。私が居るからって何で大丈夫なのよ。どさくさ紛れて外でちゅーすんなし。真ちゃん、一旦きーちゃんから離れなさい。旦那が見てなくて良かったわ。「じゃあ、大丈夫!レッツゴー」と言ってマハルと手を繋いで進みだすきーちゃん。大丈夫なのね。ああ、そうだ言葉か。マハルも一緒に「ゴー!」って言ってるし。
スーパーの向かいの公園。マハルとタマキのお氣に入りスポットで、買い物に来ると必ず寄る。今日はきーちゃんがマハルと遊んでくれてるから助かる。兄がとてつもなく懐いているものだから、人見知り発動していた弟まできーちゃんの所へ行こうとしてる。きーちゃんは「やっとタマキくん来てくれたー」と喜んで3人で遊んでくれてる。「着替えさせて正解やな」と遊ぶ娘と息子たちの後ろ姿を見て呟く旦那。出かける直前、ビスクドールが歩いてるような格好だったきーちゃん。マハルがくっつくのが目に見えていたから、汚してしまうとマズイので着替えてもらった。確かに、あのワンピースのまま公園で遊んだらそれこそ悲劇になるの見えてる。
「部屋着みたいなのしかないよ」と言いつつ着替えてくれたきーちゃん。うさぎ耳のついた白いパーカーに赤のタータンチェックのミニスカート。巻き毛のツインテールには黒いミニハット。マハルと歩くからとハイカットのスニーカーに履き替えて、カジュアルでかわいいんだけど派手。今回のお仕事の後、我が家に寄って息子たちと遊びたいからとスニーカーをわざわざ用意してくれたんだって。
感覚が鋭くなったことで他人の何かしらをキャッチしてしまいやすくなってるから人混みがダメになっていると真ちゃんが教えてくれたんだけど、その目立つ格好をもう少し地味にして、真ちゃんが絡まずにいたらマシになるんじゃないかしら。と思ったり。なにげにチラチラと見られてるよ、いろんな人に。
今日はお供がたくさんいるからマハルはご機嫌。夜スカッと寝てくれるといいんだけど。それより、寒い!きーちゃん風邪ひいて熱を出さないだろうかと心配したら、ちゃんと真ちゃんがコート着せてた。相変わらずオカンと子供だな。
対マハルのきーちゃん効果は絶大で、いつもなら公園で遊んだ後疲れて自分も弟のベビーカーに乗ると言いだすのに、今日はきーちゃんに手を繋いでもらって張り切って歩いてる。お菓子もあれこれ欲しいということなく、毎回なぜか野菜売り場で欲しいと言うアスパラガスを持ってくることなく大人しくついてくる。しばらくきーちゃんレンタル出来ないかしら。買い物が楽なんだけど。

夕食の支度中にきーちゃんがマハル達をお風呂に入れてくれて私は身軽で支度出来るし、旦那はゆっくり飲めるしで「本当にきーちゃん1週間でいいからレンタルしたいわ」と言うと、「うちレンタル禁止なんで」と真ちゃん。このおバカな会話も懐かしい。
昼間に思う存分遊んだ息子たちはいつもより早く寝てくれてきーちゃん様様ですわ。超久しぶり揃っての晩酌タイム。きーちゃんはさっきから一心不乱に何か描いている。集中タイム入っちゃったのかな。「これ何?」私より先に真ちゃんが聞いた。私が聞きたかったのに。「明日マハルくんと作る秘密基地」秘密基地?「ポチの家じゃなくて?」「秘密基地!」「これ、どう見ても犬小屋」「秘密基地!」犬小屋と言い張る真ちゃんと秘密基地と言い張るきーちゃん。何の掛け合い?「何で作るんさ」「段ボール?木?」「ボロアパートと高級マンション位の素材の違いやな」段ボールでも豪華だと思うけど。「材料どこから調達するん」「あ…どうしよう」そこまでは考えてなかったのね。「マハルくんと明日作ろうって言っちゃったぁ」ホンキで落ち込むから何だか申し訳無くなってきた。「朝イチホームセンターやな」と旦那。甘い!うちのとーさん娘に甘すぎる!「作ってええん?」真ちゃんが私に確認するけど、聞かないで。「美樹ちゃんホンマ好きー♡ありがとーー」きーちゃんが旦那に喜びのハグをすると真ちゃんの表情が変わる。父娘の触れ合いだからヤキモチ妬かないの。
「朝なったら買いに行こうな」と真ちゃんの表情を見たのかドヤ顔できーちゃんをハグ仕返して挑発的な旦那。「美樹と行って来たらええやんか」あ、拗ねたwww面白過ぎる。「真ちゃん一緒に行ってくれへんの?何で?いつも一緒に行ってくれるのに」きーちゃんの必殺技が出ると一瞬できーちゃんの勝ち。真ちゃん、溺愛レベル上がってる。だからいちいちイチャイチャすんなし。このバカ夫婦が。面白いから良いんだけど。

翌朝開店と同時にホームセンターへ行って段ボールを調達したきーちゃん達は秘密基地を作り始めた。と言っても、きーちゃんにはマハルがくっついているため、実際に秘密基地を作ってるのは真ちゃんできーちゃんはマハルと折り紙を切ったり紙に絵を描いてる。
「真ちゃん、ここに花壇欲しい」花壇や椅子とテーブル、きーちゃんの指示が増えるごとに難易度上がってるみたいだけど。花壇が出来て折り紙のお花を付けるきーちゃんとマハルはとっても楽しそう。
「完成!」三角屋根のおうちが出来て真ちゃんきーちゃんマハルの3人でハイタッチ。マハルがちゃんと中に入れて窓もある。確かにちょっと犬小屋っぽいけど言わないでおこう。タマキまでテンション上がって入っていく。2人入居も可能なようだ。花壇付きの庭はイスがちゃんと置いてあってマイホームを手に入れたマハルはご満悦。息子たちが家の中で遊んでいる間、きーちゃん達は余った段ボールで文字を切り抜いて「MAHAL AND TAMAKI」の表札。この2人すごいわ。「しん、すっごーーい」とマハルは尊敬の眼差しを向ける。「なんでキリエはきーちゃんで、ワタシは呼び捨てなんですかね」と真ちゃん。仲良しのお友達が新一郎くんの『新ちゃん』だからかな。
マハルは毛布を持ち込んでそこでお昼寝して、その後壊れてしまうまでお友達を呼んで一緒に遊んだり、壊れて解体する時は大泣きするほどのお氣に入りになった。
マハルがお昼寝してる間、2人は更に段ボールを加工してお侍さん好きな長男の為に鎧を作製。めちゃくちゃ楽しそうに作ってる。しかも、結構それっぽく見えるからすごい。「段ボール色だと武将っぽくないね」ときーちゃん。ちゃんと鎧に見えるよ。てか、この2人何かしら作るの好きだよね。お昼寝から起きたマハルは、もちろん鎧を着てテンションマックスになりメインの鎧製作者真ちゃんを何故か斬りつけていた。
マハルがハサミを安心して自由に使えるようになった時には、星好きな2人は一緒にプラネタリウムと天体望遠鏡を作ってくれた。年長さんの時は本格的なノコギリなんかの工具を使ってマハルが座る椅子を一緒に作ってくれた。工具デビューしたマハルはよっぽど楽しかったのか、大人になって種類は違えど工具を使う仕事をしていていて「小さい頃色々作ってたのがきっかけ」と言ったのを聞いて何だか嬉しかった。マハルはおもちゃはあまり欲しがらず自分で欲しいものを作ってしまう子になったけど、本人の言う通りこのお家と鎧がきっかけだと思う。兄が色々と作るものだから、弟も影響されて結果、成人した時に両親へプレゼントと当時付けたかったウッドデッキを兄弟で作ってくれちゃったのも2人の工作好きのおかげだと思ってる。

「最近?私1人でも呼んでもらうことあるよ」夜、最近のきーちゃんの事を聞いてみた。式とお披露目が終わってから、基本は真ちゃんかおばあちゃまとペアで仕事に行くけど、きーちゃん単独で…と呼ばれるようになったらしく、休日は仕事に行くことが増えたらしい。休みらしい休みが無いのを真ちゃんが心配しているけど、きーちゃん自身は色んなところに行けるし色んな人と話が出来るから楽しいよと言う。「お昼過ぎに終わったら観光するから、趣味と実益を兼ねるってやつ」と言ってうふふと笑う。
「お仕事って何してるの?」差し支えのない範囲で聞いてみると、色んなことをしているようで。「ただ話したりするだけのこともあったり、カードを引いてみたり兄ちゃんがくれた石を並べたり…お念珠とかも作るよ」よく分からなかった。

今回こっちに来てるお仕事に春、もう一度来る事になっていると言うので、スケジュール的に大丈夫なら安心してうちに泊まりにおいでと言っておいた。またチラッと寄ってその日に帰ると言われたら悲しいじゃない。
明日帰っちゃうから名残惜しいなーと思う午後9時。義姉と姪襲来。どんな時間に来るのよ。と、言っても向かいのお宅に来た時に必ず寄るし旦那がいる時だけなので最近は諦めているけど、ここ2週間は来てないなと氣を抜いた時、しかもきーちゃん達が来てる時に来なくてもいいんじゃないかしら。何かのアンテナを持ってるに違いない。義姉たちが来たからと言っても、私は特にすることはない。氣を遣うのをやめると旦那に宣言したし、旦那もそれでいいと言ってる。頻度は2週間に一度位。日付が変わる頃帰るんだけど、家に帰りたくないの?と思ったり。
きーちゃんは大丈夫か?と様子を見るけど全然平氣でむしろ和やかに義姉と会話してる。姪の方が一時期よりはマシになっているものの、きーちゃんに対抗意識を向けているように感じるけど、きーちゃんは氣にしていない。相変わらず真ちゃんがお氣に入りなのは変わらないらしい。「これ、本妻の余裕ってヤツ?」あまりにもきーちゃんが姪の敵意をスルーしているから旦那が若干ビビってる。
さすがに姪が明日夕方帰るならそれまでどこか遊びに行こうと言い出した時は、きーちゃんの周りの空氣が変わったような氣がした。これは上手に真ちゃんが断って義姉も止めたので行くことは無かったんだけども、変わったきーちゃんの周りの空氣はちょっと怖かった。
確かにその一瞬だけはきーちゃんの空氣は変わったけど、旦那が「本妻の余裕」と言うくらい動じてない。挙式の日、真ちゃんの作戦勝ちだとか言いつつも(仮説が本当だったとして)実は若干引いたし、きーちゃんはそれに氣付いているのかと不安にもなった。変に解釈すれば洗脳なワケだし。この辺りは本人から聞かなきゃ分からないんだけどね。事実婚とは言え「本妻」ポジションに収まったことはきーちゃんにとって自分の存在意義になって自信が付いたんだろうか。今まで、いつでも消えそうなくらい儚げというかそれ位不安定だった。2人のやり取りに特に変化があったわけでは無いけど、地に足がついたというかその不安定さはほとんど見られない。
私が心配したり不安になるような話では無いんだけどね。あんなに不安定だったきーちゃんが、結婚したことや家の仕事もするようになって安定しているって事実を喜ぶべきか。何だか釈然としないけれど、みんなと楽しげに話しているきーちゃんを見ていたら、この先どうなるのか全く見当はつかないものの必要な時に手を貸せるようにしていたらいいのかな。とも思ったり。きーちゃんは真ちゃんのことをずっとどう思ってたのか。ちょっとここは聞いてみたい。この辺り、何故か聞くのに抵抗があって結局ちゃんと聞けてないし。

きーちゃんがまじめに話し相手になってくれたおかげか(普段は旦那が飲みながらほぼ聞き流すだけ)義姉はいつもより早い時間に満足して帰っていった。「お仏壇あると、来るなって言えないからねーさんも大変だね」と妙に大人びた同情をしてくれるきーちゃん。仕事で良く嫁姑問題の話を聞くらしい。「その辺りは経験ないから想像つかないけど大変みたいだよねお互い」きーちゃんの場合、お姑さんはおばあちゃまになるのかしら。となると、真ちゃんが血の繋がった孫の自分よりかわいいらしいで。と言うくらいだから問題ないんだろう。「おばあちゃんは大変だったらしいよ」ときーちゃん。おばあちゃまってお婿さんに来てもらったって前にご本人から聞いた氣がするけど。よく聞くと、おばあちゃまが嫁の立場でなくて姑さんの立場の方。真ちゃんのママと折り合いが悪かったらしい。氣付いたら真ちゃんと中々の長さでお付き合いあるけど、真ちゃんのママの話を聞くの初めてかも。それくらい存在感が無かった。よく考えなくても、真ちゃんにもお母さんはいるよね。おばあちゃま達と養子縁組する前はお母さんの戸籍に入ってるって言ってたし。会ったことある?と聞いたらきーちゃんも無いらしい。でも、おばあちゃまが就職するか否かの話題になると「そこだけは」と強調しつつ、きーちゃんも真ちゃんママのようにやって貰って当たり前になればいいのに。とブツクサ言うらしい。まだ就職論争続いていたのね。
にしても、嫁姑の話含めて義姉たちへの対応といいきーちゃんいきなり大人になったね。そこに驚きだわ 。嫁に行くってことはこんなに大人になるってことなのかしら。まあ、きーちゃんが大人になったなぁと安心すると何かが起きがちだからあんまり感心しないようにしとこう。

春、結局きーちゃんは就職希望のまま卒業。卒業式に出たかったけど、タマキが風邪をひいてかなわず残念。卒業式にはこっそりおばあちゃまも参列したと聞いて嬉しくなった。卒業してすぐに就職先を自力で見つけたらしい。本当にお勤めなんて出来るのか心配だったりするけど、水を差すようなことを言うのはやめておいた。きーちゃんは「お仕事始まるから春休みは遊ぶの」と言っていた。それでも家の仕事は受けていて、まとまって休めないから私たちが遊びに行くことにした。