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Story 76.姪の興味。
真ちゃんは物腰が柔らかで、人当たりがいい。黙ってたら背も高くてそこそこ男前な部類にも入ると思うし、それこそきーちゃんという存在が現れるまでは常にモテていたし彼女が居たって構わず言い寄られていた。
きーちゃんに対しては別格に優しいけど、他人に対しても普通なら躊躇してしまうような場面でもサラッと人に手を貸すということをしてしまえるのが凄いところで。今回の怪我も会社で荷物をたくさん持ってる子が居て、あまり知らない子だったけど普通に持ってあげたんだって。しかもその子が階段から落ちそうになった所を助けて自分が落ちたらしい。それはいい。面倒な所は、その優しさを勘違いしてしまう子も居てることがあること。
多分ね、今回の子もね、そのタイプ。ただ、元カノのように変に暴走してないからまだマシだと思いたい。
怪我をさせてしまったからとその子と社長さんとがお見舞いに来た。もうね、だいたい顔見たらわかるじゃない。明らかに惚れたな。的な。まさにそんな顔なのよね。変な話に発展しなきゃいいんだけど。
厄介なのは、現在きーちゃんはおばあちゃまのお遣いで不在なんだよね。嫁が居たら大抵の子は諦めるか変な期待もしないだろうし、何より真ちゃんの溺愛っぷりを見たら諦めるはず。まあ、厄介事にまた巻き込まれないように社長さんも一緒に来てくれてるんだろうけど。
きーちゃんが出た後に今日やってくると決まって、一応社長さん達がお見舞いに来るよー。って電話はしたんだけど、まさか怪我の原因が若い女子だとは思わなかったからきーちゃんヤキモチやくんじゃないかとちょっと不安。ここ最近、表に出さないけどきーちゃんのヤキモチ妬きも一段とパワーアップしている氣がする。
連絡したせいかきーちゃんが思ったより早く帰宅して、つつがなく(?)ご挨拶してはいるんだけども。そして、きーちゃんが奥さんだって紹介された時の会社の子の落胆の表情よ。逆に氣の毒になってきた。
きーちゃんが帰ってきて10分ほどして社長さん達は帰って行ったけど、さて、きーちゃんだよ。ヤキモチ妬いて拗ねてないかと様子を伺ってみるとどうやらその通りになってる。お客さん2人が帰ってから一言も口聞かず出したカップを片付けている。真ちゃんが隣に立って話しかけるけど無視。これ、ご機嫌ナナメだな。きーちゃんが珍しくご機嫌ナナメだから息子たちフリーズしてるじゃないの。
「おばーちゃんとこ行ってくる!」「今、婆のとこに用事ないやろ行かんでいい」「今真ちゃんの顔見てたくない!」何の言い争いしてるの。きーちゃん言い返せなくて黙っちゃった。仕方ないなぁ。「きーちゃん、真ちゃんが女の子助けて怪我したからヤキモチ妬いてるだけだもんね。しかもお見舞いにって言われてうちに呼んじゃったもんね。そりゃ怒るよね。でもきーちゃんもむくれないのー」助け船(?)出してみる。真ちゃん、意外となんできーちゃんが機嫌悪いのか分かってなかったりするんだよね。何でそこはわからないものなのか。一方的に自分(真ちゃん)がきーちゃんのことが好きだと思ってるみたいなんだよね。そこだけ謎のネガティブよ。
「別にむくれてないー」きーちゃんはソファーに座ってアイスを食べ出したけど、明らかに拗ねている。「しん、きーちゃんいじめたん!?許さん!刀を抜けー!」きーちゃんがいじめられたとマハルは私が帰ってきて初めて刀を抜いている。
「いじめてへんわー。小僧の出る幕じゃないわ」と笑いつつきーちゃんの隣に移動して何か耳元で話している。余りにも2人の世界を作っちゃってるもんだから、娘にミルクあげながらうちのとーさんがすんごい殺氣だってるけど?小僧扱いされて怒って斬りつけるマハルにも氣にせずきーちゃんに絡む。少しして、ようやくきーちゃんが笑いだしてアイスを真ちゃんにあげた。「きーちゃん!マハルにも!」「タマキもいる!」それ見てきーちゃんの所に走って2人の間に割り込む息子2人。「キリエはしんの姫さんやから小僧共は向こう行っとけー」「マハルの姫やぞー!しんが向こう行っとけー」「タマキの!」何してんの。特にタマキ、あなた意味分かってないでしょ。
「きーちゃんはとーちゃんとかーちゃんのだもんねー♪」とソファーの狭い所で小競り合いが続いていた所からきーちゃんが私たちの方に来てアイスを一口ずつくれた。さっきまで怖い顔してた旦那も嬉しそう。ホント、娘2人に甘いとーちゃんだわ。
「かーちゃん、きーちゃんをひとりじめあかんで!」私だけエラい濡れ衣じゃない、息子よ。でも、何か良いよね、この空氣。すっごい幸せ。
1カ月健診も無事終わり、順調ではあるものの小振りな娘。真ちゃんのギプスも外れてリハビリも順調。
当初予定では1カ月健診が終わったら私たちは帰る予定だったけど、旦那の仕事の関係や娘がもう少し大きくなった方が安心なこと、大量の荷物を一緒に持って帰って貰うため真ちゃんが運転出来るようになってからという事で、もう少し延長させて貰うことになった。旦那だけ一旦単独で帰宅した。
なかなか快適生活な上みんなが居るから、旦那は最後まで「育休延長する」と言い張っていたけどしっかり稼いで貰わなきゃ。
真ちゃんの怪我は順調に回復しているもののまだ会社の方に出てこないからと、例の会社の子がまたお見舞いに…と単独でやって来てしまい、例の如くきーちゃんが後で拗ねてしまった。
この間と同じように助け船を出したら、きーちゃんは「優しいのが良い所なのは分かってるけど、ホントは真ちゃんが怪我する位なら助けて欲しくなかったし、そのせいでお見舞いにって言ってもらっても来て欲しくなかった。真ちゃんの事が好きな人と真ちゃんが話をするのも、それを見るのも本当はすごく嫌!」と珍しく自分からモヤモヤの理由を言ったから驚いた。成長したね。この2人一応夫婦なんだよね?そんな理由で半泣きになって怒るとか。初々しいと温かく見守っておいた方がいいのかしら。
きーちゃんが時々理由が分からず機嫌が悪くなるのが、ヤキモチ妬いているからと今更知った真ちゃんは今まで以上にきーちゃんにくっついて分かりやすく愛情表現するようになって、マハルがそれを見てヤキモチを妬いてきーちゃんを巡って2人が小競り合い(?)していて面白い。きーちゃんにしたら、迷惑だろうけど。
きーちゃんは3人目のお世話なだけあって、本当に色々と氣が付いてくれるしありがたい。きーちゃんが居なかったら旦那はかなり協力的だとは思うけど、私はきっと発狂していたと思う。いい感じで、マハルタマキの相手をしてくれたりマハルタマキに私が必要なら娘を見てくれたり。私が体調を崩した時は、3人の面倒も見てくれた。
真ちゃんが回復して車の運転が出来るようになると、マハルとタマキを連れて大きな公園やいろんな所にお出かけしてくれた。娘はまだまだ寝ててくれるから束の間の静寂の時を満喫できた。
この日は蒸氣機関車を見に連れて行ってくれたらしく、次男の電車好きはここから始まった。買ってもらった蒸氣機関車のおもちゃと本をずっと持ってどこに行くにも一緒。寝る時はちょっとした凶器に。笑
「パパママって言われたー。私、マハルくん中学生で産んだみたいやん。中学生で産むとか大問題やん。」お出かけが日曜日だったせいか、行く先々で言われたらしく流石に複雑な顔をするきーちゃん。そうだよね幼児とは言えマハルの母にしては若すぎるよね。「どっちかっていうと、弟やんなー。歳相応に見えないのかなー。若作りした方がいい?」と鏡を見ながら心配してるけど…いや、きーちゃん、充分若いから。
私たちを迎えに旦那が来た時にこの話をすると、笑いつつも「中学生の頃からうちの娘に手を出しおったんか!」と真ちゃんをまたマハルの刀で斬りつけていたけど、全くの濡れ衣じゃん。我が家の息子たちを遊びに連れて行ってくれただけなのに。真ちゃんは「さすがに中学生の時にはまだ手を出してへん!」と変な返しをするもんだから余計に斬りつけられてるけど、アホ男子たちは無視してきーちゃんと荷造り。
「えー、マハル、きーちゃんのこと守らないとあかんからここで留守番するわー。かーちゃんまた帰っておいでや」明日帰るよ。とマハルに伝えた時のマハルの返答。何かおかしいから。ここはあなたの家じゃない。かーちゃんよりも好きなオンナを取るとか20年早いわ。
「結構荷物あるねー」そんなに持ってこなかったはずなのにね。数ヶ月滞在すると荷物って増えるのね。「どれか置いてく?」「邪魔にならない?」「またねーさんちの近くまでお仕事行くからその時届けようかー?」良いこと思いついた。「その時フルでうちに来て。約束の前日からうちに泊まれば楽じゃない?」きーちゃんもノリノリで賛成してくれて決定。
前回と同じように、荷物を2台の車に乗せて帰途に着く。娘が出発の時に機嫌よくぐっすり寝てくれたから速攻で真ちゃんと運転を代わった。マハルもついて来ようとしたけど、マハルの椅子無いでしょ!できーちゃんと女子トークタイムゲット。
「別に大丈夫よー。ありがとー」相変わらず、義姉と姪はペアでうちに車があるとやって来るので、きーちゃんたちが居ても来るだろうと先に謝るときーちゃんは「そんな氣はしてる」と笑う。「やっぱり嫌だけどねー、オトナの世界は色々と大変なの分かったからねー、でも帰ったらいっつも怒ってるよ」と言う。怒ってるの?意外。きーちゃんが人に怒る所ってほぼ見たことがない。明らかに怒るでしょ。と思うところでも、それに対処出来ない自分に対して怒ってる。「真ちゃんはどんな反応なの?」「んー、色々。でもほとんど『ごめんごめん』って笑ってる」どんな意味であれ、怒りをぶつけられたり近くで表現されたら氣分を害しそうなものなのに。
後で真ちゃんにそれとなく聞いてみたところ、きーちゃんが「怒りを外に出すのはほとんどないからそれを見られるってレアな体験やん。それに自分にはその怒りを表すことが出来るって特権みたいなもんやん。奥さん可愛すぎるから怒ってもかわええねん」と言う。その感覚、よく分からない。勝手に言ってろ。
この間、きーちゃんが怒った理由を自分の言葉で言ったのは嬉しかったんだって。もちろんその理由も嬉しいけど、きーちゃんの中の怒りが何なのかきーちゃん自身も理解出来てないことが多いからちゃんと自分の感情を理解出来たのが嬉しいらしい。「ヒトになってきてるってことやん」なんだそれ。私のかわいい妹は人外だったと言いたいんか。と、思ったりしたけど、言いたい事は何となくわかる。
よく浮世離れしていると感じる。それは人間らしい感情をあまり出さないからかもしれない。昔よりは随分と感情を出すようになってはきているけど、それでもまだまだ出していないと思う。
その場に相応しい姿であること。その場の空氣を壊さないこと。これを常に氣にしてアンテナを張り巡らせている。そんな感じ。特に、その場の空氣を壊さないようにする為に必要以上に神経を尖らせてるように感じる。怒りだとか、悲しみだとか、ネガティブだと言われる感情は大抵その場の空氣を壊してしまう。その場の空氣を壊すくらいならと自分の感情に蓋をしているように感じる。もしかしたら、嬉しいや楽しいも半分はその場の空氣に合わせてそう演じているような時もある。
多分、きーちゃんが浮世離れしているな。と思うのはきーちゃんの本当の感情が見えることが少ないからだと思う。自分の感情を出すことを自分で許可していないから。自分の感情を出してもいいんだよ。と思うけど、これはきーちゃん自身が納得しないと出来ないだろう。きっともっと楽に生きていけるだろうなと思うんだけど。だから、真ちゃんも根氣強く言い続けてるし、きーちゃんが怒りだけでなく喜怒哀楽を表現することが嬉しいと思うんだろうな。
「しんどく無い?大丈夫?」きーちゃんに聞いてみた。「酔ってないよ」と笑う。「違う、違う。車酔いじゃなくてね、いっぱい頑張り過ぎてない?」ちゃんと何について聞いているかも言わなきゃ伝わらないんだった。「全然大丈夫。だってね、ねーさん見てて知ってるでしょ。私、全然頑張ってないよ」
真ちゃんやおばあちゃまはもちろん、周りの人はみんな優しいし、自分のことを否定しないし自分が存在することを認めてくれる。だから、頑張る必要なくて頑張ってないの。ねーさんも見てたでしょ。と笑った。「でも、時々それでいいのかなー?って思う。そこまで私がしてもらっていいのかな?って。でも、何を頑張らなきゃいけないかも分からないねん」
おばあちゃま達が適材適所って言ってること、だからそう思う事はないと言ってくれるけど、それに甘えていていいのか悩む事があるという。真ちゃんに守って貰えない所で自分の力で何かをしていくことも必要だと言って敢えて勤めに行ってると言ってた。この言葉に感心したし、成長していることに嬉しくなった。神さまに約束をして大丈夫と言いたいと言ってたように、事実婚ではあるものの結婚してからのきーちゃんは精神的に安定しているように思える。
けど、やっぱり『自分』に対しての価値をまだ見出せていないのかと思うと、子供の頃の環境がどれだけ人生に影響を与えてその体験が呪いとなって何年も何十年もこんなにも苦しめるのかと思うと悲しくなる。
これは、何て答えていいのが分からないけど、真ちゃんもおばあちゃまも私達も、きーちゃんが心から笑って過ごして欲しいと思ってるのは確かだと思う。だから、今は少し無茶してようが自分の思う通りにしてくれてるんじゃないかな。「多分ね、色々考えなくてもいいんだよ。ただ、今、楽しいとか、嬉しいとか、悲しいさみしい。それを感じてるだけでいいんだよ。『意味も理由も』ないんだよ。きーちゃんだけでなくて、みんなね」私がきーちゃんを大事に思う氣持ち、真ちゃんがきーちゃんを大事に思う氣持ち、きーちゃんが私達を大事に思う氣持ち、みんなそれぞれが勝手にそう思ってるんだから。人に合わせて意味を作らなくてもいいと思うけどな。
「やっぱり、ねーさんってすごいね。ねーさんみたいになりたいな」言いたいことが自分でもよく分かってないのに、きーちゃんはそう言ってくれた。
数ヶ月ぶりの我が家に帰宅。帰ってきたー!としみじみ思う辺り、私もちゃんと地元に馴染んでるってことだよね。⅓位はきーちゃんの所にいるような氣もするけど。
お昼ご飯を食べた後きーちゃんは氣分が悪いとダウンしてしまった。車から降りてきたきーちゃんの顔色はすごく悪い。「ごめんね。大丈夫。調子に乗ってご飯食べ過ぎちゃっただけ」と言うものの、立っているのも辛そうだ。旦那が迎えに来てくれる前に2人が泊まっていけるように準備をしてくれていたから、すぐに奥の部屋に連れて行く。「荷物運ばなきゃいけないから手伝う」と言ってくれるけど、どう見たって無理。
「途中で全部出せたから後は寝てたら大丈夫やで」と真ちゃんの言葉に、前にきーちゃんはフラッと入ったお店が合わないことがある。と言っていたのを思い出した。今回のお昼は初めて行ったところだった。「そういうこと。もう体の中に残ってないやろうから回復するだけやし」忘れるなんて大失態。だからお店で真ちゃんが何度も「無理して食べなくていい」って言ってたんだ。きーちゃんは「残すの勿体ない」と完食してたけど。「ホント嫌ー。なんでこうなるんだろ」お布団の中できーちゃんが悔しがる。食べて具合が悪くなるなんて申し訳なさすぎるし贅沢すぎる。と言ってるけど、そういう体質だから仕方ないと割り切ればいいのに。きーちゃんが相当辛そうだから、マハルもなるべく静かにしていようと頑張っているようで、タマキに「きーちゃんしんどいさんだから『しー』な!!」と言って自分はリビングで黙ったまま(自称)刀の稽古をしている。ホント、長男、いじらしいヤツ。かわいいわ。(親バカ)
そして、夜9時前の想定内。義姉と姪襲来。こんな時間までお向かいのお宅で喋ってるとか、お向かいのお宅は大丈夫なのか逆に心配になるわ。今日は娘の誕生祝いと顔を見に来ただけと言うから早く帰るだろう。
すぐに帰ると思ってたけど、なかなか帰る氣配なし。私はお風呂に入ってきたけど、まだ話は終わらないようだった。なんだかんだで、実家は落ち着くんだろうか。義姉は自分の家に居たくないのかな。家賃の話もそうだろうけど、それ以外の理由でもやっぱりこの家に住みたかったのかしら。とか今までは『うわー、迷惑!』と思ってたのにちょっと義姉に対しての捉え方が自分で変わってきたなと。ボケーっと旦那と義姉との話を聞いていた。
「ちょっとママ!」姪が血相を変えてリビングに入ってきた。てか、今までどこ居たのさ。珍しく静か過ぎて、居ること忘れてたわ。
少し前まで私たちの寝室でテレビを見てたらしいんだけど、面白い番組がないからケーブルテレビを見ようと奥の座敷へ行ったらしい。勝手に家の中を自由に歩き回るんじゃないよ。いい歳して。しまった、姪にきーちゃん体調崩して休んでるから座敷に行くなって言うの忘れてた。と思うと同時に「あの2人絶対おかしいって!」と姪が叫ぶ。
「一緒に寝てたんだよ!」「そら、真弥もずっと運転して来とるで寝るくらいええやんか」と旦那が答えてるけど、旦那は絶対色々と説明がめんどくさいからって最初に兄妹って設定にしてたの忘れてる。
もーやだ、説明するのめんどくさいー。義姉は最初同じ部屋で寝てると思ったみたいだから「疲れてるんだろうから静かにしなさいよ」と窘めていたけど、姪は相当衝撃だったみたいで「違うって同じ布団で抱き合って寝てるとかあり得ないから!」と叫ぶと義姉も絶句。兄妹だと思ってたら正常な反応だろうけども、やだー、ホントめんどくさいー。
「ああ、あいつら兄妹違うから。別に変でも何でもないで。きーちゃんが具合悪いから由佳は静かに」と旦那。飲むと強いな。焦ってる様子がない。「兄妹じゃないってどういうこと?いつから?」食いつく2人。「最初から。説明が面倒だから兄妹ってことにしてただけ」顔色変えずに旦那が説明。「パパとママが居なくて兄妹天涯孤独っての嘘やったん?どういうこと?最初私ら中学生やったやんか!」うん、あなた達大きくなったね。「せやなー中学生やったなー。デカなったなー」とマイペースな旦那。今日は好きなだけ飲みなさい。許す。「マジ意味分かんないんだけど、よっちゃんどういうことよ」食い下がる姪。よっちゃん(旦那)頑張れ。任せる。「嘘なんは兄妹なところだけ。後はホンマ。家庭が複雑で捨てられたんはきーちゃんだけ。これで納得したか?」よっちゃん、強いな。全く悪びれる様子なく淡々と話している。「きーちゃんだけってことはお兄ちゃんは?」まさかの義姉が食いついた。「真弥はあの頃からきーちゃんの面倒みてただけや。あの時そんなん言うても信じへんやったろ。それどころじゃなかったし」「まあ、そうだけどね。今も面倒みてるの?」食いつくねー。まあ、全く知らなかったら興味深い話だよね。「面倒みとるいうか、高校卒業してすぐ結婚しとるでな。なーんもおかしない」あ、ちょっとアレンジ加えたね。説明が面倒な所はちゃんとアレンジするのね。
しばらく義姉の好奇心は止まらなかったけど、旦那は上手いことサラッと説明。姪はやっぱりショックなようだ。まあ、数年越しで憧れの人がいきなり結婚してたもんね。その妹だと思ってた子と。氣持ちは分からないでもない。
そうしてるうちに、きーちゃん達がリビングに顔を出した。だいぶ楽になったみたいで表情も穏やかで顔色も良くて安心。ただ、今この部屋に居たらアレコレ詮索されるかもしれない。きーちゃんがご飯食べてないことを思い出して用意しようと台所へ向かうと真ちゃんが用意してくれるというから任せた。こういう時の為にと、きーちゃん用の野菜スープのストックを持ってきてるとかすごいな。遠出する時は大概用意してきてるらしい。ホントいい嫁さんだ、この人。うちにも嫁に来てくれないかしら。たしかに家に着いた時冷凍庫入れといてって袋渡されたわ。
きーちゃんのご飯の支度を真ちゃんに任せてリビングに戻ると驚いた。姪が興味深々にきーちゃんに話しかけてた。今まで超敵視してたのに。
「じゃあ、旦那しか知らんの?勿体無くない?遊ぼうとか思わんの?」一体、何の話してんのよ。「絶対勿体無いって!てかさ、明日まだいるんでしょ?遊ぼうや!誰か紹介してあげるって!呼ぶわ!任せて」いやいやいや、誰か紹介するとかあかんでしょ。何けしかけてんの。任せてじゃない。旦那さん居るのにオトコ紹介してどうする。ただでさえ溺愛して面倒な旦那さんだよ。この会話を聞かれたら。と想像しただけで面倒くさい。
「たまには違う世界見なきゃ。その若さで旦那と四六時中一緒とかしんどくない?」きーちゃん、笑顔がひきつってるやん。「何馬鹿なこと言ってんの。あんたがフラフラし過ぎなだけでしょ」義姉、ちょっとは言うようになってるじゃないの。「とにかく明日うちバイト無いし、迎えに行くわ。遊び行こうよ」「由佳、何言うてん。ホンマにびっくりするわ」旦那も引いてる。「多分よっちゃんの店の近くのカラオケかなんかだし、心配やったらよっちゃん仕事終わったら迎えに来たったらええやん」ああ、もう車運転するのね。大きくなったね。でも、きーちゃん、めっちゃ困ってるじゃない。「旦那がオッケー出したら行く?」きーちゃん、相変わらず戸惑っている。私も戸惑いを隠せない。これ、どう収拾つけんのよ。