Story 78.長い想い。

もっと話を聞いていたかったけど、旦那と息子2人が帰宅。もっと詳しく話を聞きたいけど、絶対後からは話してくれない氣がする。昼過ぎから話をしていた間きーちゃんは寝ていた。家で熱を出しても日中は真ちゃんが居る部屋のソファーで横になってると言うけど、こんなに長いこと続けて寝るならお布団で寝かせてたら良かったかも。治るものも治らないと思うよ。
帰ってきた旦那もマハルも一言目「きーちゃんは?」帰ってきたら「ただいま」でしょ。タマキのみ合格。心配なのは分かったから、ご挨拶はきちんと!旦那たちが帰ってきた為、真ちゃんもリビングにやってきた。やっぱり旦那の第一声は「きーちゃんは?」だから、帰ってきたら…(以下略。
「まだ下がりきらん感じやなー」昼過ぎからずっと寝られてるから明日には下がるだろうと言う。「そっちが大丈夫なんやったら、回復するまでゆっくりしてきや」と旦那。ホントそう。きーちゃんは無理矢理にでも明日帰るとか言い出しかねない。
昨日、カラオケだけでどれだけ消耗したんだろう。やっぱり止めたら良かったかなー。「その前から調子悪かった所に昨日は楽しすぎて羽目外したんやろ」と苦笑いする真ちゃん。今からちょっと買い物に行ってくると言う。きーちゃんが起きたら食べられるもの用意しとくんだって。「こんな事なら昨日買っておけば良かった」と言って出かけていった。「ホンマ、オカンみたいやな」と旦那。甲斐甲斐しいよね。昼間の話を聞いた後だけども、ホントすごいなぁと思う。多分、これもまたこれで嬉しいことなんだろう。
1時間弱で帰宅。旦那にビールと私たちにケーキのお土産付き。お氣遣いいただきまして、ありがたく頂戴致します。座る間もなく起きるまでに用意しておくと台所へ。ホント、マメだね。「私も寝込んだらああやって世話してくれる?」ビールを呑んだくれてる旦那に聞いてみた。心配してくれるし、やってくれるのは分かってるけど。旦那は黙って私を見る。「キリコの場合は、稀だから出来る。きーちゃんの頻度で寝込まれたら無理」潔い!氣持ちいいわ。「キリコが寝込むのって4年に1回くらいやろ」人の体調不良をオリンピックみたいに言わないでよ。風邪はひくけど、きーちゃんのように完全ダウンはそんなものかも。どうだろ。
「きーちゃんが家に居るのに、きーちゃんに会えへん」としょんぼりしながら、マハル就寝。続いてタマキも就寝。久しぶりの保育園で疲れたんだろう。
「きーちゃん、起きてこないねー」「なんや、そのマハルみたいな発言は」ずっと寝てるんだろうか。それとも起き上がれないだけかな。そんな事を言ってたら、きーちゃんが顔を出してそのまま真ちゃんを後ろからホールド。「ごめんって、でもご飯だけ食べさせて」きーちゃんの食事の用意をしていた真ちゃんは今ようやく食事中。起きた時、すぐ隣に真ちゃんが居なかったから姫さまはお怒りらしい。「まだ熱いなぁ。食べれるんやったらご飯作ったで」真ちゃんはホールドを解きながらきーちゃんに声をかけるもののきーちゃん無言のまま首を振る。「もっかい寝に行くか?」また首を振ると再び背後からホールドかけるきーちゃん。体調不良だから甘えモード入ってるのかしら。
「きーちゃん、アイスなら食べられる?」あ、きーちゃんの動きが止まった。これ、食べるな。ストロベリーアイスを取ってきてきーちゃんに渡すとようやく真ちゃんから離れる。アイス、好きだよね。「ありがとー」力なく言う。おでこに手を当ててみるとやっぱりまだ熱は下がってない。「病院行かなくていい?」きーちゃん頷く。「昨日、忘れとったやろ」と真ちゃんの言葉にまた頷く。「何忘れてたの?」最近、きーちゃんが覚えた技で、簡単に言えばバリアを張って時々それが弱くなったら張り直す。楽しかったりすると最初にバリアを張ってそのままにしてしまいがちだとか。そのままにするとバリアは消えて無防備なまま戦場に飛び込んでいくようなものなんだって。
まあ、しんどいのはかわいそうだけど、楽しかったってことだったらいいか。
外で車が止まる音がした。また義姉か?今日はきーちゃん寝込んでるし早めに帰ってもらおうと決意すると玄関が開く。「よっちゃん!なんでまだキリんとこの車あるん?」姪だった。上がってくる氣配なし。どうした?てか、玄関で叫ばないでー。しばらくして姪が現れた。「よっちゃんおるやん。今日のブーツ脱ぎにくいから玄関から聞いたのにー。てか、キリどうしたん?」「ブーツ脱ぎにくいからって玄関で叫びな。子供ら起きるやんか」冷静な旦那。「そうか、もう寝てるん?ごめんごめん。」「きーちゃんが熱出したから帰るん延期」「キリどうしたん?風邪?熱?大丈夫?ちょっと待っててー」バタバタとまた出て行って、しばらくしてまた戻ってくる。「これあげるわ。熱なら滋養強壮!彼氏待ってるで帰るわ。車止まってたから寄っただけ!あ、多分ママ後で絶対寄るよ。今日も向かいに居るから。電氣消して鍵かけといた方がいいよ。じゃあねー」栄養ドリンクをテーブルに置くと姪はまた嵐のように去って行った。「由佳、若いのになんで栄養ドリンク持ち歩いとるんや?」私に聞かないで。彼氏が待ってるって何か若いなぁ。良い情報をくれたので、言われた通り玄関の鍵をかけてリビングからきーちゃん達の寝てる奥の部屋に移動。姪、なんだかいきなり良い子になってない?
「かたい…」きーちゃんは姪が持ってきた栄養ドリンクの蓋も開けられない位弱ってるようだ。真ちゃんが開ける。「おぉぅ」きーちゃん、何そのおっちゃんみたいな声。「なんか、栄養ドリンクってパンチ効いた味…」きーちゃん、栄養ドリンクはチビチビ行くんじゃなくて一氣に行った方がいいよ。栄養ドリンクを飲んで、アイスを食べたきーちゃん。これでちょっとは楽になるといいね。
「由佳の言った通りやったで」娘を連れて来た旦那が戻って来た。寝室に行ったら、ちょうど義姉の車が見えたけどうちには寄らずそのまま帰って行ったらしい。姪、やっぱりいきなりイイヤツになったね。良い情報をくれたわ。
義姉の襲来も無くなったのでリビングに戻る。きーちゃんは栄養ドリンクを飲んで寝てしまったからそのまま寝かせておくことにした。男子2人はビール、娘はミルクで晩酌タイム。「ごめん、明日もう一泊させてもらってええ?」と真ちゃん。「そのつもりやったけど。大丈夫なんやったら回復するまでゆっくりしてき」旦那の言う通り。私もそのつもりで居た。丸一日熱が下がってないから、朝になって下がっていたとしても帰るのは負担大きいと思う。帰ってまた寝込んだなんてことになったら申し訳無さすぎる。

「あのさ、昼の話、あれ思い出すの夢で思い出せるの?」旦那が席を外したタイミングで聞いてみた。飲んでいたらポロっと色々話してくれるのではないかという計算でバッチリ飲ませた。
夢で思い出せるなら、朝起きた瞬間覚えてるかもしれない。夢って起きた瞬間覚えてるのにすぐ忘れがちだから構えておけば覚えておけるかもしれない。「んー、夢で見る時もあるし、何かしてる時にいきなり全部出てくる時もあるしなぁ」起きてても思い出せるの?「集中しとって他の事考えてない時にいきなり走馬灯みたいな」あ、その人生が全部って言ってたもんね。
「じゃあさ、いくつかあるじゃない。違う人の時。あれも一氣にくるの?それとも1つの人の記憶だけ?」「大抵は1つだけかな?まれに関連してそうなのも断片的に見ることあるけど」「いつから見てた?一氣に思い出したん?」「食いつきますね」「大好物だって言ったでしょ」
特に意味は無いんだろうと言ってたけど、私がどう関わってたか氣になるもん。何かそれを思い出すきっかけになるかもしれない。「一氣に思い出したわけじゃないで。まだ出てくるかもしれんし」「昔、きーちゃんが小学生の頃の話してくれたやん。みんなで住んでた頃。あの時はわりと漠然としてたやん。あの後からちゃんと思い出したってこと?」「よく覚えてますね」よく言われるよ。忘れて欲しいこと中心に物覚えが良いって言われる。「キリエが小学生の時点では思い出してなかったな。ハッキリ思い出してきたのはキリコらと住み始めた位から。割と最近思い出したのもあるで」
最初の夏に真ちゃんの様子がおかしくなって部屋からあまり出てこなかった頃、最初の旅人だった頃の最期の夢を見たのが始まりらしい。それこそ青いマントを被って色んな所を回っていたのは小さい頃から夢で見ていたらしいけど、それが自分の前世なのではないか?と疑問に思うことなく「またこの夢を見た」と不思議に思ってたんだって。その時の人生の最期を見た瞬間、まさに走馬灯のようにその人生の記憶が入ってきて、きーちゃんとの関係とそのマントを被って旅をしているのは自分だと理解した。私が前世だと思われる夢を見た時、あの小さい女の子はきーちゃんだとは思わず後から確信に変わっていったような感じだから人によって変わるんだね。
再会して引っ越ししてきた時は小学生の頃を知っている可愛い妹ポジションだったのがその夢を続けて見るたびに変化して行った。けど、当時きーちゃんは中学生になったばかりのまだまだ子供。そんな子に想いを寄せるなんて世間的にはとっても問題だし、自分でもそんなわけは無いと否定していた。けど、一緒に過ごすうちにやっぱりきーちゃんのことが異性として氣になる。でも、きーちゃんは年齢よりもずっとずっと幼かったし、その頃から既に希死念慮が離れず苦しむ姿を見ていて「自分の想いを成就させたい」と思うよりも先に生き永らえてもらう事を優先にした。
加奈子に「2・3年は待てる」と言っていた件はその辺りから来ていたらしい。それくらいの時間あれば思春期特有の不安定さも抜けてきて希死念慮もだいぶ落ち着くだろうし、きーちゃんも年頃になってる。その後から自分の想いをどうするかを考えたら良いと思ったとか。タイミング良くきーちゃんの進学の話が出て来たから行動に出るチャンスだと思ったし、その頃にはきーちゃんも真ちゃん自身に心を開いてくれるようになってきていたから「高校生活を含めて面倒を見る」という結論を出した。だからアキちゃんがきーちゃんを自分が過ごす所に連れて行った時は、きーちゃんが向こうで暮らすと言い出したらどうしようか内心不安で仕方なかったと言う。「キリコが地元戻るって言い出したのは嬉しい誤算やったわ」と笑う。人が珍しく葛藤して悩んでた時裏でほくそ笑んでたのね!許さん!確かに2人で生活しだして一氣にきーちゃんの真ちゃんへの態度も変わってきてた。厳密にはその直前だけど。

そっかそっかー。ってことは、私も思い出す可能性有りっぽいよね。「思い出せたからいいって話じゃないっすよ」そこ、念をおすよね。「でもやっぱり氣になるじゃない。好奇心ですよ。必要なら思い出すって言いたいんでしょ」「そういうこと」
「きーちゃんに思い出して欲しい?思い出さなくていい?」ここ、結構聞きたいところ。少し考える真ちゃん。「思い出したらまた何か変わるやろうけど、無理に思い出さんでええんちゃうかな。キリエはキリエやし。それに昔の身分差を思い出されて『無礼者!近づくな!』とか言われたら一生立ち直れん」と笑う。それはないと思うけどー。良い感じで話を締めたらいいのに、なんでオチをつけるかなー。これだから関西人は。

後日、全然関係ない繋がりから前世を見れるという人に私の前世を見てもらったら、きーちゃんとは全く関係ない前世だった件。全部が全部、きーちゃんと関わりがあるってことはなさそう。その人はきーちゃんとの縁は「今回の縁が初めてじゃないかしら」と言ってたけど、前に見た夢は絶対私ときーちゃんだった。まあ、説明するのが手間だったから「そうなんですねー」で終わらせたけど。だって、その人も前世を見ることが出来るかもしれないけど、全部分かるわけじゃないと思うし、何より自分が一番知ってるはずだからね。ちなみにその時は、開拓時代の農村の男の人だって言われた。でも、多分真ちゃんかアキちゃんが兄弟だったっぽいこと言われたからびっくり。「今親戚関係とかではないけど、とても近い間柄の異性の友達」と言われて真ちゃんかなーって思った。

「きーちゃん、何か食べるって。さっきの温めたらええん?」旦那が戻ってきて終了。きーちゃんも連れてきた。だいぶ顔色も良い。戻るついでにきーちゃんの様子を見に行ったとか。真ちゃんが「そう」と答えると台所に行って用意し始める旦那。旦那もお父さんだったんだなーと思う。
「明日も、もう1日泊まってくんだよー。しっかり元氣になってから帰らないと私たちがおばあちゃまに怒られるからね」ときーちゃんは「ありがとう」と言ってうふふ♪と笑う。ごめんね。じゃなくて、ちゃんとありがとうって言ってくれて嬉しい。
1日ほぼ何も食べてないきーちゃんのお食事は野菜スープ。離乳食かってくらい、小さく刻んで少しご飯も入っていて。ホント、真ちゃんマメだよね。もし、旦那が寝込んでたとしても、お腹に優しそうってイメージだけで饂飩かなんかで済ませそう。
「ちょっと下がってきたな」真ちゃん、旦那、私の順で熱を確認するから「食べられへんー」って笑うきーちゃん。
あの夢に出てきた女の子の名前も分からないけど、確かにあの時の私はあの女の子の幸せを願っていた。今、こうやってきーちゃんが笑うようにあの子も笑っていられたのかな。

「何か今日だけで、3ヶ月分位寝たかも」3ヶ月は言い過ぎでしょ。「お昼かなー。ねーさん達何か話してた?」あの時かな?何だろう。「なんかね、しんどいんだけど、ねーさん達の声が聞こえてね、嬉しかった」もう!いくつになっても、なんて可愛いの!おうちに帰したくないー。真ちゃんにも渡したくないー。私のきーちゃんだからねー!
さすがに、夜なかなか寝られなかったみたいで遅くまで奥の部屋の電氣はついていたけど、朝になったらきーちゃんは一段と元氣になって息子たちの登園に付き合ってくれて息子達も嬉しそうだった。担任の先生に「ああ、マハルくんとタマキくんのお姫さま!」と言われて照れてる姿も可愛いかった。特にマハルは先生にきーちゃんの事を相当話しているみたいで、「一度お会いしたかったのよね」と園長先生にまで言われた。マハルたちは昨日の1日で色々と報告したみたいで、真ちゃんのことを「きーちゃんをさらった悪い殿さま」と先生に言っていたらしく、保育園で爆笑してしまった。そこは悪代官でなくて殿さまなんだ。子供の表現っておもしろい。「美和ちゃん産まれてお姫さま2人になったからマハル達はお姫さまを守るの大変!」って言ってたらしい。ちょっと、なぜかーちゃんはお姫さまにカウントしてくれてないんだ。「かーちゃんは、1人でなんでも成敗するからお姫さまじゃなくて最強武将らしいですよ」と園長先生。やめてよ、変なイメージが先生方につくじゃない。目からビーム出して成敗するらしい。なんなの、私は大魔人か。

昼間、また姪が彼氏連れて顔を出した。今度は栄養ドリンクだけでなく、カップラーメンやレトルトお粥を大量に持って。「調子悪いって言ってたのに連れ回し過ぎたかなーって。彼氏にも無茶させ過ぎたんやって言われてさー」って。びっくりしたけど、こっちのお姫さまも大人になったね。彼氏くんはもっと今風な子かと思ってたら、随分真面目そうな子でそっちも驚いた。お見舞いの品がカップラーメンってどうかと思うけど。姪曰く「キリってお嬢みたいだから、カップラーメン食べたことないかと思って。病氣の時って普段食べないもの食べるやん」なんだそれ。カップラーメンはメロンかパイナップルの位置付けなの?
姪から「昼、ちょっと寄るね」と連絡があったきーちゃんは保育園から帰る途中、みんなで食べるケーキを買ってくれた。楽しそうにケーキを食べながら姪と話すきーちゃんを見ると、初対面の時のあの空氣が信じられない。あんなに真ちゃんを氣に入ってきーちゃんを敵視してたのに、今は逆転して真ちゃんを「束縛の激しい厄介な旦那」扱いなのがおもしろい。真逆なお姫さまたち。興味深いわ。

「えー、明日帰るん?じゃあマハルも帰るわ」夕方、旦那と帰宅した息子たち。明日きーちゃん達が帰ると伝えるとマハルは迷うことなくきーちゃん達と帰ると言って自分のリュックに着替えを詰め始めた。だから、かーちゃんより好きなオンナを取るなんて20年早いんだってば。帰るってあなたの家はここでしょ。
「長いことごめんね」きーちゃんが旦那に謝るけどやっぱり「謝らんでええって」と言われてる。
真ちゃんが酔ってきーちゃんにちょっかい出したり絡むのは変わらないんだけど、昨日の話を聞いちゃうと長いことこうやって過ごしたいと思ってたんだろうなと思うとホッとするというか私まで嬉しくなる。
昨日聞いたのは、どれも真ちゃん側の話。きーちゃん側がどう感じていたのかどう思っていたのか。映画だったりすると、両方の立場からどう思っていたのか描かれてるけど現実はそこまで丁寧に分かるわけじゃない。もしかしたら、延々とただ真ちゃん側が想い続けていただけかもしれない。けど、きーちゃん側も実は想い続けていて今ようやく成就した。みたいな展開だったらいいな。と2人を見ながら思った。
誰かこんな映画作ってくれないかしら。何千年も、何回も転生を繰り返して現代でようやく愛が報われる。的な。絶対観に行くわ。ドラマだと毎週細切れになっちゃうから興醒めするし、やっぱり映画だな。

きーちゃん達が帰ってしまうと、いきなり日常に戻ってしまった。時々義姉の襲来があるけど、前よりも穏やかな氣持ちなのが不思議。時々姪はきーちゃんと連絡を取っていて、今度関西に彼氏くんと遊びに行く時会う約束をしたらしい。「キリが家泊まっていいって言うから堂々と彼氏と泊まりに行ける」と笑う姪。きーちゃんちの別世界振りに驚くといいわ。「由佳が行ったら婆さん驚いて心臓止まらんか心配や」と旦那が言う。あなたの姪ですよ。

予約の入っていない日は、娘同伴で良いと言ってもらって私も仕事復帰した。産休期間は短めだけど、勤務自体とても融通してくれるのでいい氣分転換になる。私はやっぱり家でゆっくりするよりも外に出る方が向いているようだ。
エミさんに真ちゃんから聞いた話を少しすると、やっぱり食いついてきた。絶対好きだと思ったんだよね。
前世がどうとか言うのも、とっても氣になるけどその人の生まれ持った魂の性質や位の話が興味あるらしい。それにきーちゃんが覚えた技というのもすごく興味深いらしく、真ちゃんにその辺りを会って教えてもらえないかと言い出した。
自営業だし割と自由に生活出来てるとはいえ、エミさんも田舎の嫁さんなので泊りがけで関西出張が難しい。「交通費も報酬もお支払いするから、一度仕事として教えに来てほしい。と頼んで!」と言われてしまった。そういうの教えるのもお仕事としてくれるのかしら。そもそも真ちゃんたちのお家の仕事ってどんなものか未だによく分かってない。改めて仕事として依頼の為に電話するって何か緊張するなぁ。と思いつつ、その場で真ちゃんに電話してみる。
話をするとやっぱり驚いてた。時々エミさんが電話を代わってその熱い想いを伝えると「教えるってほど大層なこと知らんで」と言いつつ承諾してくれた。親しい人と報酬について交渉するってのは変に氣まずい。普段の仕事だと一件どのくらいの報酬が発生するのか聞いて驚く。そら、別世界な生活するわ。基本の報酬額はなくて、お心付けみたいな感じで支払う人が決めるそう。なので報酬と言っても普通に交通費だけで良いと言ってくれたけど逆に申し訳ない氣もするし悩む。
『そしたら、滞在中キリコんちに泊めてや。キリエも喜ぶしホテル探さんでええから助かるわ』とのこと。エミさんに伝えると、平均報酬に驚きつつ交通費プラス我が家に泊まる。で来てくれることに喜んでいた。平均報酬額をお支払いすることになると今月赤字必至だ。エミさんの知り合いも話を聞いてみたいとのことで私達プラス2人が教えてもらうことに。旦那に言わずに泊めること決めたけど、いいか。
夜の晩酌タイムの時に旦那に話してみた。「うちに泊まるのは全然ええけどさ、交通費だけで呼びつけるのはどうかと思うで」と返ってきた。私とエミさんだけでなく、他の人も呼んで教えてもらうならそれなりに報酬を支払うのが礼儀ではないかと。真ちゃんは私が頼んだから引き受けてくれた。というのを前置きして、友達だからこそ報酬は払わないと失礼にあたると言う。
「そのお客さんがどれくらい支払ってるか知らないのよねー。今から真ちゃんに聞いてもいいかしら」平均的な報酬は聞いたけど。「それこそきーちゃんに聞いてみたらええんちゃうの?」
そうだよ、一緒に行動してるし何より奥さんだから知ってるはず。きーちゃんに電話をかけてみた。『真ちゃんから聞いたよ。お泊りさせてくれるのありがとー!楽しみー♪』ときーちゃん。楽しみにしてくれて嬉しい。
そして本題。『私、知らないねんなー。でも、真ちゃんが交通費で良いって言ったんだったらそれで良いと思うよ』知らないって意外だ。普段、交通費という請求はしないそう。『金額があるわけじゃないから、「そちらで報酬を決めて下さい」だとねーさん達が困ると思ったから分かりやすい交通費って言ったんちゃうかなー。あとはねーさんちでお泊り♪これが一番贅沢だよねー』ときーちゃん。確かに『決めて下さい』って言われたらとっても困る。「そしたら、真弥ときーちゃんの2人分の往復交通費くらいを用意したらええんちゃう?」と旦那。
仕事の日にエミさんに伝えると、エミさんもそこを考えていたらしく旦那の案で行くことにした。

翌月に入って依頼した仕事の為きーちゃん達がやってきた。暖かくなってきたもの春独特の天候の悪さといきなり寒くなるしできーちゃんの体調が心配だったけど元氣そうで安心。雰囲氣も随分と落ち着いているように見えた。きーちゃんが来る日、マハルはやっぱり朝からソワソワしていて面白い。保育園でも張り切ってお手伝いをして先生に「きーちゃんが来たらお手伝い頑張ってるって言って!」とお願いしていたらしい。息子よ、そんなのは頼むものじゃない。
夜、到着したきーちゃんは一息つく間も無くマハルをベッドに連れて行ってくれて寝かしつけてくれた。「マハルくん、ホンマかわいいー。誘拐して帰りたいー」と真ちゃんに言ってる。うちの長男で良かったら10日ほどレンタルしましょうか?